#11 依頼を受ける。
#11 依頼を受ける。
依頼を受けるためにギルドに行くと受付に今日もネネさんがいた。
受付の人は何人かいるのだが、数少ない知り合いなので、自然と足がそちらに向かう。
「あら?今日はユウキさん。借金の返済ですか?笑」
「いや、開口一番!確かに着実に借金は増えてるけど。。。」
「ふふっ。なら頑張って働かなきゃですね♪」
「はい。勿論、その為にギルドに来たんですから。」
「そうです。今日は初めての依頼受注なのです!」
「あら?ネネさん?今日もユウキさんと一緒なんですか?」
「そうなんです。実はユウキさんとパーティーを組むことになったんです!」
と、話していると既に酒で出来上がっている周りの冒険者から嘲笑された。
「ぷはっ。あいつあのチビと組むってよ。」「あいつ、見ない顔やししらねんじゃね?」「やめときな兄さん、足引っ張られるぞー。」などなど。愛玩ペットとして楽しむために近づいてるんじゃね?とかもっと酷いことをいう奴もいた。
「あのなぁ」、とちょっと文句を言おうと振り向くと、シラユキに後ろ袖を引かれた。
「いいんです。長年C級の壁を越えられないでいるのも事実です。」
「いや、それでもな。」と反論しようと思ったが、まだ実績を残していない自分が出来ることなど少ない。ここで文句を言っても火に油を注ぐ結果になりかねない。
と思っていると。
「あなた達。。。朝からお酒は飲むのは構いませんが。ギルド内で、堂々と差別発言をするとはいい度胸ですね。」
言葉の主である、ネネさんを見てみると、顔は笑顔なのだが目が笑っていない。
なんか。後ろに修羅のオーラが見えるのは気のせいだろうか?
ゴゴゴと変な効果音まで聞こえる。
暴言を吐いていた冒険者達もすみませんでした!と尻尾を巻いて逃げ出した。
「あの?ネネさん?」
「ふぅー。全く困ったものです。いくらクズな冒険者でも、私の目の前でよくも。。。お仕置きが必要かしらね?」
「そうですね。。。」
「あら?何か言いたいことがありそうな顔をしてるわね?」
「いえ、何でも無いです。すみませんでした。」
うん、あれだ。この人は怒らせてはいけない人だ。
いや、魔王と対峙しても平気だったのに、膝が軽く笑ったぞ。
これは借金を絶対に返さなければ、殺されかねない気がする。いや、もちろん最初から返すつもりではあったが。
「もうーネネさん。私は大丈夫です。そんなに怒らないで下さい。」
「いいえ。貴方が良くても私は許せません。それにギルドの和を乱すことを許せるわけないでしょ!」
この後もしばらくシラユキがネネさんをなだめていた。
それにしても、確かに許せないことを言っていたと思うが、一冒険者に過ぎないシラユキにここまで肩入れしているのは普通ではないと思う。
その辺りのことを聞いてみたいが、流石にこの雰囲気では聞けないので、後でシラユキに聞いてみよう。
ギルドに到着早々、ひと悶着あったわけだが、今日は依頼を受けに来たのだ。
気を取り直して、どんな依頼があるか見ていこう。
「それではシラユキさん。依頼を見ていきましょうか?」
「そうですね。でも、掲示板を最初に見るのも悪くはないですが、ネネさんとか受付に良い依頼があるか聞くのが一番です。」
「そうですよ!まずは私を頼ってください。」
どうやら、ネネさんの機嫌が直ったらしい。
どんな良いことがあるのか聞いてみると。
まず、冒険者にあったレベルの依頼を見繕ってくれる。
確かに依頼内容を全てしっかりと見ていくのは時間がかかるので効率が悪い。
次に、表にまだ出ていない、美味しい依頼を斡旋してくれることもある。
これは依頼をこなし続けて実績が伴わなければ無い。
なので自分には教えれないが、シラユキと一緒なら問題ないとのことだ。
他にも、ギルドだから知っている耳寄りな情報を元に、今やった方がお得な事を教えてくれることもあるらしい。
確かに美味しいことばかりなので、受付嬢に頼らない手は無いだろう。
「凄いですね!それなら確かに聞いた方が良いです。」
「ふふっ。そうでしょ、そうでしょ。でも実績が伴わないとか印象が悪い人にはサービスしないので気をつけて下さいね!」
つまりあれだ、ネネさんを怒らせるとここでは、良い仕事にありつけないということだ。
「気を付けます。」
「よろしい。それでは初めての依頼ということでサービスしてあげたい所ですが、どのような依頼を受けるつもりなのですか?」
「えっと、自分はとりあえずシラユキさんの仕事ぶりを見て学びたいと思っているのですが。」
「あら?そうなのですか。ならシラユキさん、今日はどうしますか?」
「うーん。最初なら余り難しいことをしないで簡単な所からの方がいいと思うのです。なので、薬草とかの簡単な採集依頼はあるです?」
「それなら、普通に薬草を集めてきてくれますか?ポーションの材料に使う上質な物が少なくなってきているので、品質の高いモノであればギルド買い取り価格の倍価格で買い取るという依頼がきていますよ。」
「はい。それでいいです。でもあんまり危険な所まで行かないほうが良いと思うので、期待はしないでくださいです。」
「シラユキさん。普段通りで、そこまで気を使わなくても大丈夫なのですよ?」
流石に、普段の稼ぎを邪魔するほど気を使われると悪いし、自分も早く借金を返したいので、あんまり初心者過ぎる扱いはしないでもらいたい。
「うーん、それなら道中でちゃんとついてこれるか確かめるです。」
「はい。それで大丈夫です。」
「ふふっ、何だか、初々しくていいですね。どうやら話がまとまったようなので、こちらが今回の依頼書になります。多く集めた物などはギルドで買い取りを行うので、出来るだけ持って帰ってきてくださいね♪」
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依頼:薬草収集[ランク:F][期限:無し]
品質の良い薬草の納品をお願いします。
薬草[上][中]をギルド価格の倍で買い取ります。
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こうして、初依頼を受注し、ギルドを後にした。
酔っぱらいに絡まれた。
ネネさんを怒らせては((( ;゜Д゜)))
薬草収集に行くことに




