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#10 反省と出発

#10 反省と出発


あーどうしようかなと佇んでいると、宿の人達が窓から顔を出したり、中庭に集まってきた。


そして暫くすると女将のアラミスさんもやって来た。


「おいおい一体何の騒ぎだい。」


辺りの人がざわざわしているが、良くは分かっていない様子なので、中心にいる自分のところまでやって来た。


「あのう、アラミスさん。。。」とごもっていると。


「なんだいこの穴は?隕石でも落ちたのかい?」


「はいそうです。いやー間一髪避けられましたよ。」


と何となく返して見るも、そんなわけあるかと拳骨を食らってしまった。


昨日、打ち解けたとはいえこっちは客なのに。


とはいえ、迷惑をかけたのも事実だ。素直に謝ろう。


「スミマセン。魔法の練習をしていたら、暴発しちゃって」


「なんだい。あんた魔導師の才能があるんだね。まぁ、シラユキのパーティーメンバーになるってんだから、今回は見逃してあげるけど、こんなとこで騒ぎを起こされたら困るから、今度やったら追い出すからね。」


「はい。すみませんでした。」


「まぁ、後片付けはしといてくれよ。」


そう言うと女将さんは集まった野次馬を何でもないから散った散ったと追い払いながら宿の中に帰っていった。


何とか許してもらえたが、シラユキの知り合いだからというのが大きかったので、感謝しないといけないだろう。



片付けを終えると辺りは完全に日が昇り明るくなっていた。


まずは朝御飯を食べようと食堂に行くと、すでにシラユキがそこにいた。


「あっユウキさん!」


そう言って手を降ってくる。


明るく振る舞っているが、フードを目深に被っているのを見ると、何とかしてあげないとなと思う。


「お早うございますシラユキさん。そして有難うございます。」


何がですか?と言われたので、ここまでお世話になりっぱなしなのでと言うとエヘヘと照れられてしまった。


何だろう、まだ15に満たないぐらいなのだが、こう庇護欲を掻き立てられる感じわ。


これが、貴族から人気がある理由なのだろうか?と思っていると。


「片付けが終わったようだね?朝御飯を食べるのかい?」とアラミスさんがやって来た。


注文を済ませるが、片付け?とシラユキが聞いたので、アラミスさんが説明した。


「へぇーそんなことがあったんですね。というかユウキさんって魔法が使えたんです?」


「最近覚えたばっかりなので、全然コントロール出来なくて、困っているんですけどね。」


「覚えたってことは、詠唱魔法です?」


「そうだよ。簡単なファイヤーボールだけどね。」


「簡単な分けないじゃないですか。詠唱魔法を使う人なんてほとんどいないんだから、失敗して当たり前ですよ?」


「え?」


「ん?」


「えーっと、詠唱魔法って皆が使えるんじゃないの?」


「はい勿論ですよ。普通、魔法といったら記録魔法と固有魔法で、詠唱魔法を使える人何かいないです。」


へぇー。と色々と聞いてみるとどうやら、100年の間に色々と常識が変わってきたみたいだ。


勇者である自分が魔法を使わない戦い方をしていたからなのかもしれないが、魔法は発動までの時間がかかるので、実用性が低いものとして扱われ、詠唱魔法は完全に廃れた。その代わりに、魔力を込めたら直ぐに発動出来る記録魔法が広まり、またスキルや固有魔法をメインとする戦い方が主流らしい。


憧れても魔法が使えなくて、仕方なく確立した戦い方が主流になったというのは、何だか変な感じがするが、まぁそのお陰で魔道具の進歩があったと聞くと悪い話ではないのだろう。


そんな話をしながら、朝食を済ましたところで、これからどうするのか聞いてみる。自分はシラユキの冒険者としての仕事を見て覚えたいといった所。普段行っている仕事についていくことになった。


「ところでシラユキさん。今日は何をする予定なのですか?」


「うーん。そうだね。まずはギルドに行って、条件の良い素材買い取りの依頼が出ていないかの確認をすることかな。」


普通の買い取りより、依頼の買い取りの方がギルドへの貢献ポイントも貯まるし、価格が良いらしい。


「それでは、ギルドに行きましょう!」



そうして、宿を後にして、ギルドに出発した。


戦い方の主流が変わったみたい。

詠唱魔法は珍しいらしい。

まずはギルドへ行こう。

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