ただ振りぬくだけ?
ケーキ君が長兄チャールズの胃袋の中へ行ってしまい泣いていると、すぐに双子の兄と姉がやってきて詳細を聞くと、犯人のチャールズを叱ってくれました。
二番目の兄と姉の説教二重奏攻撃、会心の一撃。
チャールズはそそくさと逃げ出した。
僕はまだ若干ぐずりながらも再びシェフが用意してくれたフルーツがふんだんに使われているケーキを食べることで機嫌を直すことに成功したのであった。
次、おやつを食べた後はお昼寝の時間です。この小さな体では散歩したり遊んだりするとすぐに眠くなってしまいます。すでに、もうまぶたが勝手に落ちてきて体がだるくなって意識が飛びそうになります。
メイドのトリーに抱きかかえられながら、自室の天蓋付の高級感あふれるベットでおやすみします。前世ではお昼寝はしない方がいいとか、お昼寝した方がいいとかなどという議論もありますが、眠くなった寝た方が自然的でいいと思います。まぁ、あんまり眠りすぎると夜眠れなくてしんどいことになりますが。
だいたい2時間ほどお昼寝して、目を覚まします。するとなぜか一番上の兄のチャールズが部屋にいるではないですか。チャールズはおもむろに木で作られた剣のようなものを差し出してきました。
「さっきは悪かった、これやる」
なんとチャールズがケーキ君を食べてしまった謝罪の意味もこめてプレゼントを持ってきてくれました。3歳児に木刀を選択するのも微妙なところですが、わざわざ部屋まで来てくれたので、いきなりのプレゼントに大変喜んでいるという格好を見せながら受け取ります。
「にいたん、あんがと」
チャールズもほっとしつつまんざらでも無さそうな表情を浮かべ、部屋から出ていこうと後ろを向きました。
僕はすかさずプレゼントに頂いた木刀を振り回すふりをしながら、兄チャールズに攻撃をしかけます。ケーキ君の恨みです、狙いはお尻です!!
「パンッ」
「アぁッ!?」
手ごたえ十分、3歳児にしては見事な威力で木刀を叩きつけることに成功しました。
やってやった、やってやりました。小さくガッツポーズ。
チャールズはお尻を痛そうに手で押さえながら、よろめきながら僕の部屋から出ていきました。
すぐ近くに控えていたメイドのトリーに僕が目を向けるとあきらかに目をそらし、下手な口笛を吹きながら、さきほどの光景を見なかったことにしてくれました。
ありがとうメリー、君はメイドの鏡です。
見事にケーキ君の仇を討ったトラ・チャーチル3歳の夕暮れ・・・
あとからチャールズの反撃にあい頭を叩かれ、泣いた僕でした。