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ペンダント?

王子様の手を握ったまま、教室から出ました。


教室から出ると、王子様はさらにプルプルプルしはじめました。

これはこの国に暮らす、いち民として、何が何でも校庭までお連れしなければならないと

強い使命感に、かられた僕でした。


教室から、王子様を連れて出てすぐに、王子様は僕と繋いでいる手を振り切りました。


「どうなされたか!?」


王子様は僕に目もくれずに、トイレにいきました。


んん?


僕は茫然と立ち尽くしました。

急いで校庭に行くんではなかったのかと、なぜトイレに行くんだと。


数分もしない間に、王子様がトイレから出てきました。

見たことのないような豪華なハンカチで手をふきながら。


その時の顔はまさに王者という自信満々のキラキラするエフェクトを携えて。


「大儀であった」


んん?


「おまえの名前はなんだ?」


「と、トラ・チャーチルです。」


「チャーチル?聞いたことがないな。」


「すみません。」


「まあ、よい、大儀であった。」


「えっ!?」


「おまえのおかげで余は救われた」


「校庭のお花摘みは・・・?」


「それはもうよい」


「へぇ」


「ん?おまえの父上はオオトラというものか?」


「はい、うちのパパ上でございます。」


「そうか・・・」


若干遠い目をしながら。


「大儀であった」


「このことは他言無用で頼む、もし違うことがあったならばおまえを罰せなければならぬ」


「へぇ」校庭にお花を摘みにいくんだったけどトイレに行っただけなのに他言無用とは。

そんなに授業を抜けてまでお花を摘みにいきたかったんですね。


おもむろに王子様は胸元をゴソゴソし始めました。

ゴソゴソ終わると、首にかけているペンダントが出てきました。

王子様はおもむろにそのペンダントを外し、手に取りこちらにそのペンダントを見せてきました。


「おまえにはこのペンダントを受け取ってもらいたい」


「そんな大事そうなものいただけません」


「おまえは余を救ってくれた」


「校庭まで連れて行ってません、お花もまだ摘んでいません」


そいう僕がこたえると、王子様は笑っていらっしゃいました。

手のひらにあるペンダントをこちらに押し付けながら


「受け取るがいい」


笑い終えたあとに、いかにも高価なペンダントをこちらに渡そうとしてきます。

たぶんこれ、金でできてます、あと何か宝石もいっぱいついています。

王族からそんな高いもんもらったら、後から何か起きても怖いので断ろうとします。


「いりませ・」


「受け取れ!」


「いただきます・・・。」


王子様は満足したようで、教室に足をむけあるいていきます。


「教室に戻るぞ、トラ」


「へい」


なぜかご機嫌な王子様の後を僕は追うように、ついていきました。

鼻歌まで歌う、王子様、よっぽどいいことがあったのでしょうね。

よかったよかった。


王子様を先頭に、教室に戻った僕たちでした。

まだ授業中でした、みんなの視線が集まりました。


「おかえりなさい、花はみつかりましたか?」


ダブル先生がなぜかポーズを決めながら微笑んできました。


「ええ、見つかりましたよ、まだ蕾ですが満開に咲いてくれる花を」


先生は


「エクセレント!!!」


といいつつ拍手をしていました。

王子様はそれをみて、うなずきながらウンウンと何度も嬉しそうに頷いていました。


高位の方々の話ていることはいまいち意味がわからないな、と思いつつ

王子様が席に座ったのを確認してから、自分の席に戻りました。


校庭のお花摘みにいけなかったなぁ、と思っていると。

王子様の取り巻きから、すごい圧力を受けました、隣に座った時とは比べ物に

ならないような、圧力、むしろ殺意まであるような。


トラ・チャーチル6歳、この世界は何が何だかわからぬ。

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