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やめないで?

部屋から飛び出すように出て行った先生に驚きながらも、トリーが来てくれるのを待ちます。


「バンッ」


乱暴に部屋の扉が開き、先生、家族、使用人達が入ってきました。

こんなに大勢で何事でしょうか。


部屋に入ってきた全員が酷く驚いた顔をして僕を見つめてきました。

すぐに母親が僕を強く抱きしめてきます。

痛いよママン


「良かった、本当に良かった・・」



ママンが泣きながら僕を抱きしめてます。

事態が把握できず、抱きしめられるまま、周りを見回してみると、みんな良かった良かったと泣いて喜んでいます。

パパンと先生だけ涙目で良かった良かったと喜んでいました。



ママンからの抱擁に解放されると、

そのまま強制的にベットに寝かされ、病み上がりなので無理をしないで寝ていなさいとのことでした。

何が何だかまったく分からないので、先生にこの現状は何なのか、

詳しい話を聞くと、宝物庫探検が終わってから体調がおかしくなり、先ほどまで生死の境を彷徨っていたようです。

そんなことも知らずにぐっすりと寝ていましたぜ。



なんやかんやで部屋に突然乱入してきた家族&使用人達がどこか安心した顔をしながら出ていきました。

ようやく部屋から出て行ってくれたことにホッとしながらベットに横になっていると、

パパンと先生だけ残り、部屋のの隅で何か内緒話でもしているようでした。




「すまないが、今回のことについては他言無用で頼む。」



「当然です、こんなことが教会の耳にでも入ったら大変なことになりますからね、一度、帰天なされた方が再び蘇ったなどと・・」



「頼むぞっ!」



「はっ!医の神に誓って。」



「うむっ」



密談していた二人は急に、そろって僕の方を見つめてきます。

すかさず日本独自かつ秘伝の「TANUKINEIRI」をばっちり決めて、話を聞いていません寝ていましたアピールをします。


パパンと先生はあっさりと騙され、再びあれこれ話をしてから部屋から出ていきました。



なんか、大変なことになってしまったなあと思い天井を見つめます。


しばらくするとトリーが部屋に入ってきました。



すでに涙目です。


僕とトリーの目が合うとすぐさま僕を強く強く抱きしめてくれました。



「私が至らぬばかりに、申し訳ございません、本当に申し訳ございません・・・」



涙目だった目からボロボロと涙がこぼれています。


僕は抱きしめられるままにされます。



優しく抱きしめられたままトリーは静かに僕に向かってささやきます。



「今回の責任を取って、チャーチル家のメイドを辞めようと思います。」



「!?」



ちょっとまって、ちょっと待ってよ、トリー。

そんなのダメだよ、トリーはまったく悪くないじゃないですか。

このかた生まれてからトリーにお世話になりまくっているのに、こんな意味の分からないことで辞めさせたくない。



「トリーがいなくなったら、僕生きていけないかもしれない」



「ト、トラ坊ちゃま・・」


あれなに、これなに、と質問しても嫌な顔を見せずに優しく説明してくれたり、

おやつを食べられた仕返しに兄の尻を木刀で思い切り振りぬいた時も見ぬ振りをして黙っていてくれたし、

いろいろとお世話になってますし、好きだし辞めさせたくない。



「トリーはぜんぜん悪くない、僕からお父様やお母様に話すからお願いだから辞めないでっ」




そう言って、トリーに抱きしめられている僕は、逆にトリーを小さな腕で抱きしめ返します。



何も言わずボロボロと涙を流すトリー、

しばらく僕とトリーは抱き合ったままでいました。




トラ・チャーチル3歳、メイドのトリーの忠誠心100%を得る。

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