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第九十四話

「ほらほら! さっきの威勢はどこ行ったんだい!」


 一ノ瀬の切り札に対して、天川は追い詰められていた。一ノ瀬がドラゴンの頭上に立っているせいで、飛び道具がない天川は攻撃が出来ず。ならドラゴンの方を何とかしようとするが、鱗など全身が刃で作られていることから、素手が武器の天川は相性が悪い。


(ヤバイな、早いとこ何か突破口を見つけないと)


 結果として天川は回避一辺倒となり、段々と一ノ瀬に追い詰められていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



 一ノ瀬が天川を追い詰めていた頃。国崎凛と鳳城灯はというと


「このっ、チョロチョロと!」


「どこ狙ってるのかしら、そんなんじゃ一生当たらないわよ」


 国崎の攻撃が届かない上空から鳳城が熱線を放つが、国崎のスピードのせいでなかなか狙いが定まらず、膠着状態となっていた。しかし、二人の戦闘にある転機が訪れる。



ーーーーーーーーーーーーーーーー


「うーん、もう少し何かあると思ったけど、逃げ回るだけじゃなぁ。そろそろ飽きてきたし、倒しちゃおうかな」


(不味い……!)


 天川が致命傷を避けながらドラゴンの猛攻に耐えていると、一ノ瀬がそんな事を言い出し、ドラゴンの頭上から天川に片手を向ける。現状、天川はドラゴンの猛攻に耐えるので精一杯である。そこに一ノ瀬の攻撃が加われば、直ぐにやられてもおかしくはない。しかし、一ノ瀬がまさに攻撃をしようとした瞬間、


「おっと危ない」


(な、なんだ?)


 空が光ったと思うと、そこから数本の光線が飛んで来る。一ノ瀬はギリギリで避け、天川は両腕をクロスさせて受ける。


「おーい、鳳城さーん。闘うのはいいけど、こっちまで巻き込まないでよー」


「あら、ごめんなさい。ちょっと私の相手はすばしっこくて、こちらの方まで逃げてきたらしいのですわ。では、私はこれで」


「どうする? 手伝おうか?」


「いえ、最終的には敵になるのですから協力は遠慮しておきますわ。下手に貴方に手の内を晒したくはありませんから」


「つれないなぁ。ま、それも一理あるしここは各自自分の敵に集中するってことで」


 上空で一ノ瀬と鳳城がそんな話をしている中、地上はというと


「り、凛。どうしてここに?」


「見てわからないかしら、あの機械の天使と闘ってたのよ。どうやらそっちは刃のドラゴンなんてものと闘ってたようだけど」


 光線を防いだ後、天川は舞い上がった土煙に紛れて森の中へ身を隠した。すると、そこに人影を見つけたと思えば、国崎凛の姿を見つけ合流したという訳だ。


「で、これからどうする? 二人で協力してあいつらを倒す? 認めたくはないけど、あんなドラゴン私の剣じゃ切れないわよ。それに、あいつらに連携なんてされたらかなり厳しいと思うけど」


 そう悔しそうに言う国崎の意見は正しい。彼女は速さを生かした闘いを特異としており、一ノ瀬のドラゴンのようなものを倒せと言われれば、パワー不足に嘆く羽目になるだろう。


(クソッ、一体どうすればいい? あのドラゴンに手の届かない上空の敵。連携されれば手がつけられない。問題が多すぎる……っ!)


 天川が、思い詰めたような顔をして頭に考えを巡らせていると国崎が口を開く。


「なーんかアンタらしくないわね」


「え?」


 思わずそんな声を天川は上げた。考えを巡らせている最中にそんな事を言われれば、そんな間抜けな声も上がるだろう。

 国崎は、まだ言ったことを理解していない顔をしている天川の眼前に指を指して続ける。


「そんな悲観的な顔するなんて、らしくないって言ってるのよ。アンタが昔憧れてたヒーローってのは、そんなものだったかしら?」


「!」


 そう、天川が昔憧れてた。と言っても小さな頃の男子なら、一度や二度漫画やアニメなどのヒーローに憧れることも有るだろう。その例に漏れず天川も小学生の頃には、困難に出会っても諦めない気持ちを持ったヒーローに憧れた過去を持つ。


「……そんなの昔の話じゃないか。でも、そうだな、諦めるなんて俺らしくなかったな」


「そう、ようやくいつもの顔になったわね。じゃあ、私はあの天使の方を何とかしてくるわ。じゃあね」


 それだけ言うと、国崎は超スピードで駆け出す。言った通り鳳城を引き付けに行ったのだろう。一人残された天川は、薄く笑うと


(あーあ、本当にらしくなかったな。……そういえば、昔憧れた漫画のヒーローってどんなのだったっけ)


 そう考えながら思い起こすのは、強力なドラゴンにも一振りの剣と諦めない心を武器に闘うヒーロー像。それを思い起こすと同時に、天川の手に光が宿る。そして、その光が一際大きく輝き収まったと思えば、


「さあ、反撃開始といこうか」


 その手には一振りの剣が握りしめられていた。








まだ、土曜日だからセーフ

そんな言い訳は置いておいて、すみませんでした

中々筆が進みませんでした



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