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第八十二話

 朝、光一が学校に着いた時、なんとなくいつもと違う雰囲気を感じる。特に教室に入った際には、教室内の生徒が一瞬光一の方を見る。生徒達は嫉妬や尊敬、畏敬と様々な表情を浮かべたが、それ以上なにかするわけではない。この表情は肩書き上、学年最下位である光一がクラス代表になったせいである。そんな中、そのような事は意に関せず、光一は自身の席で机に突っ伏して自分の世界に入っていた。


 その後、午前中の授業は滞りなく進む。しかし、各クラスの代表の顔を見てみれば、その表情に大なり小なりの緊張が見える。そして、午前中の授業が終わり、昼休みへと入った頃に放送が入る。


  『えー、各クラスの代表者への連絡です。前日に指定された場所で待機するようにとのことです』


 そう放送委員による放送が入ると、それを聞いて各クラスの代表は各自席を立って移動を開始する。AクラスやBクラスにCクラスと言った上位クラスの代表者は、廊下を歩く際にも他の生徒から一目置かれたような視線を受けながら歩く。DクラスとEクラスも、自身のクラスメイト達から幾ばくかの応援を受ける。


  「期待されてないとはいえ、ここまでとはね」

  「仕方ない、俺らに構うより良い席を確保したほうが特だと思われてるんだろ」


 そんな中、Fクラスの代表である光一と謙二は特に応援を受ける訳でもなく、人一人もいない教室から移動を開始する。本日のクラス対抗戦は、午後の授業を丸ごと使って行われ、代表以外の生徒は講堂などでテレビを介してそれを視聴することになっている。(Aクラスなどの一定以上設備があるクラスでは、生徒ごとにある小型ディスプレイでも観戦ができる)


 そうして、二人は指定された場所まで到着すると、それぞれの名前が記された部屋へと入る。ここは控え室のようなもので、二畳ほど広さを持ち、その内の一畳はベッドとなっている。代表は、時間になるとこのベッドに横たわり、併設されているヘルメット型の器具であるパルスギアを被ることになっている。それまでは代表は待機となっているので、光一が弁当を広げて昼食を食べていると、暫く使っていなかった携帯が振動する。ポケットから携帯を取り出して開いてみると、そこにはメールを受信したの通知。その受信したメールを開いてみると


  『件名:神様より 本文:光一、今日の決戦頑張ってね、応援してるよ』


 この世界で初めてメールアドレスを交換した相手からのメールであった。光一は、それを見て


  「(そういえば、携帯を買った日の夜。熱心に説明書を読んでたっけ)」


 一瞬に頭浮かんだ、リースが携帯の説明書片手に四苦八苦している姿を想像して、思わず吹き出す。それにより幾分か緊張がほぐれる。


  「さーて、ここまでしてもらったんだ。これは勝たなきゃいけないな」


 誰に聞かせる訳でもないが、そう呟くとそろそろ時間が迫ってきた時計を見て、パルスギアを頭に被る。そして、ベッドに横になる。そして指定された時刻となり、


  「ダイブイン」


 そう仮想空間へ転移するためのワードを口にした。


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