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第七十八話



  「(さて、どうするかな)」


 光一は今、Aクラスのショップの前にいた。説明会の後、アルマを強化するためにとりあえず最高ランクのショップに来たのだが。


  「やっぱり高いな」


 ふと店内の商品を見ただけでも、ゼロが四つ五つ並ぶ商品が多く、光一には手の届かない商品が多い。ここは素直にアルマのグレードを落とそう。そう考えて、下のクラスのショップへ足を運ぼうとしたその時。


  「ん? なんだあれ」


 光一の目線は、ショップに併設するように建てられた、カスタムと看板が立っている施設にいく。Fクラスのショップには無かった施設であり、単純な好奇心からその施設の中へ入る。

 光一が中に入り中を見回すが、店員が一人いるだけで商品らしきものは無い。不思議に思い、一人だけの店員にこの施設のことを聞くと、


  「ここは何をする場所なんだ?」

  「ここは自分のアルマを強化できる場所ですよ、ポイントさえいただければ出来るだけアルマを強化しますよ」


 そう店員が説明する。光一はその説明を聞いて、考え込む。確かにアルマの数を揃えるのは大切だ。しかし、自身のスキルの都合上、普通のアルマを考え無しに装着(インスタリアム)すると、逆に弱くなる可能性すらある。それならば、一つのアルマを強化すべきではないか。そう頭の中で考えを巡らせていると、


  「あれ? そういえば、お客様。あなたFクラスなのに何でAクラスのショップにいるんですか?」


 光一の襟章に気いた店員が、そう聞いてくる。確かに、普通は生徒は自分以下のクラスのショップしか利用できない。しかし、今は事情が違う。


  「俺はクラス対抗戦の代表でね、特例的に代表は全てのショップを利用できるようになってるのさ」

  「ああ、なるほど。それで、ポイントが足りずにここに顔を出したと」


 光一はそう話す店員の顔を見る。その顔は隠そうとしてはいるものの、明らかに下の者を見る目をしていた。確かに、この店員がいつも相手をしているAクラスの生徒よりは、Fクラスの生徒は劣っているのだろう。

 しかし、光一は少しだけその態度に苛立ちを覚えた。その上でとった行動は、


  「このアルマを強化してもらいたい。ポイントは手持ち全部で」

  「え? あ、はい分かりました。では、パーツ一つのなので一時間ほどしたら戻ってきて下さい」


 今、持っている全ポイントを使っての一点強化。初期アルマを渡し、五千ほどのポイントを払った光一は、ポカンとした表情を浮かべた店員を尻目にその施設から出ていった。



  「(さーて、もうポイントも無いし、強化が終わるまでどうしようかね)」


 ポイントを使い果たし、アルマもない。暇になってしまった光一は、とりあえずAクラスのショップを後にしようとしたその時。


  「おっ、いたいた。ちょっといいか」


 後ろから声をかけられ、光一が振り替えると、そこにいたのは


  「どうしたんですか? 笹山先生」

  「なーに、ちょっと話があるだけさ」


 アルマ学を教える教師である、笹山であった。光一は笹山に、ついてこいと言われて後ろを歩く。笹山の足は校舎から離れ、特別棟まで進む。そして、数分ほど歩くと


  「ここだ。ちょっとお前に話があるから、ここに入ってくれ」

  「ここは……アルマ学用の実習室。何をする気ですか?」


 笹山に連れてこられたのは、アルマ学用の自習室。ここは、アルマを使った少人数での実践を目的とした部屋であり、普段はアルマを使った自主練習などに使われる部屋である。

 辺り一面白に覆われた、質素な部屋の中に光一と笹山は入る。光一がそう笹山に質問すると、


  「ん、ちょっとお前に闘って貰いたくてな」

  「闘う? 誰とですか……まさか相手って」


 そう答える笹山に、光一は嫌な予感を感じとる。


  「そう、私だよ」

 

 光一は、自身の嫌な予感が当たったことに対して、思わずため息をつく。光一の思考は、もっぱら目の前にいる闘う気マンマンの女教師をどうするかということに使われていた。






今回は短いです、本当にすみません。

次回は光一VS笹山となります

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