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第七十七話

 天河と国崎が代表入りを決めた日から一週間ほどたった頃。光一が朝、Fクラスに入ると皆同じような話題の話をしていた。その会話の中心は、


  「なあ、聞いたか今度のクラス代表決定戦のメンバー」

  「えっ? もう全クラス決まったのかよ。発表は今日だろ」

  「そんなの他のクラスの奴から聞けばいいだろうが」

  「なるほど、その手があったか!」


 そう、クラス対抗のことである。話の内容からも聞き取れるように、先日全てのクラスで代表決定戦が完了した。本日代表が集められて、集会が行われることになっており。学園内では誰が代表となるのか、といった話題の他にも


  「なあ、代表戦は誰が優勝すると思う?」

  「そりゃ、無難にAクラスのどっちかだろ」

  「いや、俺はBクラスがくると予想するな」


 このように何処のクラスが優勝するかの予想も白熱していた。

 光一がクラスの中に入ると、クラスメイトは一瞬光一の方を見たが、すぐに目線を戻して自身の会話へと戻る。


  「(大方優勝予想で、一応クラス代表の俺の方を見たってとこか。)」


 光一はそう予想しながら席に座る。実際にその予想は当たっており、Fクラス内の生徒は一瞬"こいつなら勝てるか?"と思い光一を見たが、すぐに"いや、Fクラスが優勝できるわけないな"と思考を打ち消した。

 その後、朝のホームルームで本日の連絡事項が告げられる。ほとんどがたわいもない連絡であったが、本日の六項時目を使って行われる代表説明会の連絡だけは、光一も真面目に聞いていた。





 そして、時は流れ六項時目。普通の生徒はロングホームルームをしているなか、光一と謙二は、黒く重々しい観音開きの扉の前にいた。扉の上を見ると、会議室と書かれた金属製のプレートが貼り付けられている。


  「会議室。ここだな、指定された場所ってのは」

  「そうだな。さて、中に入るとするか」

  「誰が居るんだろうな。これから戦う相手だと思うと緊張するぜ」

  「さて、鬼が出るか蛇が出るか」


 二人は、そう会話しながら扉に手をかける。重々しく開いた扉から部屋の中へ入ると、既に四人ほどの生徒が中央に置かれた円卓に座っていた。二人は、円卓にFクラスと書かれたプレートが置いてある席を見つけてそこに座る。

 光一がその場で回りを見回すと、見覚えのある顔を見つけることができた。Dクラスの席、そこにはかつて光一と闘った安室麗と藤堂花梨の姿があった。

 光一の目線に気づいたのか、安室は光一の方を向くと鋭い眼光を返す。ただし、その目線は嫉妬や憎みなどではなく、純粋にリベンジに燃える気持ちからの目線であった。


  「やぁ、久しぶり。光一君」


 しばらく席に座って待っていると、後ろから声をかけられる。その聞き覚えのある声の主は、


  「これはこれは、学年主席でおまけにAクラス代表の一ノ瀬君じゃないか。Fクラスの俺に何かようかい?」


 Aクラスの代表、一ノ瀬颯真であった。光一は少し皮肉めいた口調でそう答える。もっとも、この皮肉は入学試験での出来事を知らないものには意味がないのだが。

 一ノ瀬と光一がそう会話するなか、一ノ瀬の後ろにいた女子生徒がまさかといった表情で後退りする。


  「あ、あなたがあの、光一君でしたの……」

  「ん? あ、あの時の人か。確かに、俺は光一だけど何か?」


 鳳城は、頭の中でまるでパズルのピースがはまるような感覚を覚えた。あの一ノ瀬を破った男、確かに素手でアルマの攻撃を受け止めることのできた、この男ならあり得る。そう全ての事柄に説得力ができた。


  「光一君。今回こそは負けないよ、僕だって強くなってるんだからね」

  「Fクラス相手に何を気負ってるんだか。まあ、俺もおとなしく負けてやる通りはないけどな」


 二人はそう会話していると、説明役である笹山が入室する。それを合に、立っていた生徒は皆自分の席に座る。

 光一が回りを見ると、一ノ瀬との会話に気をとられていたが、既に全クラスの代表が集まっていた。光一は、


  「(アイツが"主人公"か、こりゃ確かに似ているな)」


 Cクラスの代表の一人である、天河を見てそう思っていた。


  「えー、これからクラス対抗戦の説明会を始めるぞ」


 笹山がそう言うと部屋が暗くなり、円卓の中心から緑色の光のディスプレイがいくつも飛び出す。一クラス一面分割り振られた

ディスプレイに図を映し出しながら、説明が始まる。

 しばらくすると、今回でもっとも重要なルールの説明に入る。ディスプレイに箇条書きで著されたルールは、


  『・A~Fクラスの代表各二名づつ、計十二名で行う。

   ・場所は全員パルスギアを被り、仮想空間で行う。

   ・アルマを全て破損などで失うと、リタイア。(サブアルマはアルマにカウントしない)

   ・気絶した場合もリタイアとする。

   ・最後の一人以外、全員リタイアした際にリタイアしていなかった者が優勝。

   ・最後に一人残った勝者には、五万ポイントを贈呈する』


 と、いったところである。そして、リタイアした際の体が光の粒となって消えていく映像を見せられ、説明を受ける。他にも、気絶の場合はショック症状を起こすことがあるので、光の粒となるのではなく、直ぐに消えていくことなどの説明を受ける。

 そして全ての説明が終わり、笹山があるデータを生徒全員に送る。生徒はポイント入れや、こういったデータ受け取りなどに使われている襟章に触れて、送られてきたデータを見ると、


  「それは、全員に同じだけ配られたポイントだ、それと今回は代表に限り全てのショップに行くことを許されているからな」


 五千ポイントが、ポイントに追加されていた。

 これにて説明会は終了し、生徒は各自教室へと帰っていく。                          

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