表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/102

第七十一話

今回結構短いです

本当にすみませんでした、次回は元に戻せるようにします

  「え?」


 予想だにしなかった放送に、思わず謙二がそう言う。謙二と光一の二人の間には、先程までの張りつめた空気は消え、二人そろって、戦闘が止まった原因を探すために辺りを見回す。

 そして、二人の目に映ったのは、


  「………」


 うつむきながら、自身のハチマキを手に持った山崎詞乃の姿であった。


 その後、指定された集合場所に戻る光一達三人の間は沈黙に包まれていた。詞乃はいまだうつむき加減でおり、謙二は詞乃の行動を理解できない、といった表情を浮かべていた。


  「なあ、なんであの時ハチマキを取ったんだ?」


 その沈黙を破ったのは、そんな謙二の言葉だった。その言葉に三人の足は止まり、目線は詞乃の方へと向く。


  「それは………クラスの為よ」


 少しの沈黙の後、詞乃はそう答える。そして、そのまま言葉を続けていく。


  「私の力じゃ、今回のクラス対抗戦みたいなイベントでは力を発揮しずらい。しかも、只でさえFクラスは注目度が低のに、地味な支援系統の私じゃ対抗戦に出ても、多分何も残せないまま終わるわ」


 詞乃は、そこで少しの間を取ると、今までうつむいていた顔を上げて、光一と謙二の方を向いて話す。


  「けれど、もしFクラスが対抗戦でいい成績を出したら、下位のクラスにも注目が集まるかもしれない。それが出来るとしたら、それこそあんた達二人みたいな、闘いが得意なのが勝ち残ったほうがいいと思っただけよ」


 その言葉に対して、今まで黙っていた光一が口を開く。


  「大きく期待されたものだな、折角のチャンスを棒にふってまで俺達に期待するのか」


 そこまで光一が言うと、さらに謙二が横から言葉を付け足す。


  「だったらよ、いい成績なんてものじゃなくて、いっそのこと優勝してやるぜ」


 そう笑いながら話す謙二と共に、光一達は足を進め出す。謙二の顔は、詞乃の想いを受け取り、さらに引き締まった顔をして、堂々と前を向いて歩く。

 詞乃は、二人の闘いを止めてしまったことや、代表を自ら蹴ったような行為により不安などから、暗い顔色をしていた。が、今は想いを話したことで、純粋に二人を応援する気持ちから、明るい顔となっていた。


  「(………優勝ね)」


 そんななか、光一は一人そんな事を思っていた。実際、光一に重要なのは"主人公、天河智也を倒す"ことであり、優勝することは、光一にとってそれほど重要ではない。

 しかし、


  「(確かに、俺にとって優勝はそんなに重要ではない。だけど、自分のチャンスすら不意にしてまで支援してくれたんだ)」


  「(ーーーなら、俺も本気で優勝狙ってみるかね)」


 そう心に決めた光一の顔は、他の二人と同じように前を向いて、引き締まった顔をしていた。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ