第七話 日常から非日常へ
休み時間となり、鳳條が質問責めにあっていた頃。光一は智也に朝のことについて聞こうと思い、智也と話しをしていた。
「智也、お前転校生と面識があるみたいだが、どうしたんだ?」
「大したことじゃないさ、朝話したぶつかった人っていうのが鳳條なんだよ」
「そういうことか、それはすごい偶然だな」
そんな会話をしながら光一らは休み時間を過ごす。そしてそろそろ休み時間が終わりそうな時間になり、教室の生徒達は各々の席へと座り、授業の用意をする。智也もその例に漏れず、次の授業の用意をしていると
「ねぇ、ちょっといい?」
「なんですか? 鳳條さん」
「転校してきたばかりで教科書が無いので、見せてほしいのだけれど」
「別にいいよ、じゃあ机をくっつけるね、鳳條さん」
そう隣の席にいた鳳條から話しかけられ、そんな受け答えをしていると。
「私には灯という名前があるのよ、あまり男には名前で呼ばれたく無いけれど。朝のこともあるし、フレンドリーな関係を築きたいから灯でいいわ」
「そうか、なら俺も智也でいいよ」
「ええ、よろしくお願いね、智也」
そんな会話を聞かされたクラスメイトの内、大半の男は¨チクショウ、俺達は名字にさん付きなのにいきなり呼び捨てかよ。お前のところの女運をこっちに分けろよ¨といった視線を送り。詞乃と凛は¨朝のことってなによ、あとで説明してもらうからね¨と言った視線を送っていた。ちなみに光一は。
(魔力ってどうしたら自由に使えるんだ?)
そんな事を考えながら、教師が来るまで自分の世界に浸っていた。
それからは、休み時間の度に鳳條が質問責めに合い(智也も、詞乃と凛の二人から説明を求められていた)それらが落ち着いたのは昼休みになってからだった。
「なあ、光一。昼飯一緒に食おうぜ」
「別にいいが他に誰かいるのか?」
「ああ、凛と詞乃に健司、それに灯も来るぞ」
「分かった、頼まれごとを終えたらすぐ行くから先いっててくれ」
「じゃあ先に新校舎の屋上で待ってるからな」
光一は、次の授業担当教師から頼まれた資料を取りに行くために、隣の旧校舎の二階へと向かう。
「さっきも考えてたけれど、魔力が有るってことは魔法とかも使えるようになるのかね」
そんな独り言を呟き、光一は自分の掌を見る。そこと目に意識を集中させると、うっすらと光っているように見える。
(この光、集中すると分かるが体全体をうっすらと覆っているようだな。仮にこいつが魔力だとしても、俺には魔法なんか使えないし後でリースにでも聞こう)
いや、神様召喚なら使えるから召喚魔法は使えてるのか? と、そんなことを考えながら歩いていると、目的の資料が有る資料室へと到着する。
(っと、その前にトイレに行くか。この後は智也達と昼飯を食うから、済ませられる用は先に済ませておいた方がいいな)
そう思い光一は、トイレのドアを開け用を足す。用を足し終えたところで、光一は少し違和感を覚える。
(なんか今日は静かだな、いつもなら少しくらい話し声が聞こえてもいいはずだが)
そう不思議に思っていると、誰かが階段を上がってくる音が聞こえてくる。しかも足元は複数人の者らしく、かなり急いでいるようだ。
(誰だ? 旧校舎にそんな急ぎの用がある奴なんてほとんどいないはずなのに)
そんな事を思っている際に、ちらりとトイレの窓からの外の景色が視界に入る。そこから見える光景は、光一が目を疑いたくなる光景だった。
(なんだ……これ?)
そこから見えたのは、大量の生徒や教師達がグラウンドに出され、黒づくめでサブマシンガンのようなものを構えた男が校内に侵入してくる光景だった。