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第五十六話

  「(まさか竜の鎧 (ドラゴンスケイル)を使うことになるとはね、でも良い試運転の場となったし良しとしようか)」


 スキルを解除した一之瀬はそう今の闘いを評価すると、もう一人の男の方を向く。


  「さて、君も闘うかい? 良い具合に僕の体も暖まったとこだし、今なら喜んで闘いを受けるけど」


 一之瀬はそう木崎と共にいたもう一人の男に問いかける。男は一度考えるように目を閉じたが、直ぐに目を開ける。


  「……いや、やめておこう。今のBクラスで肉弾戦が一番強いコイツがやられるような相手だ、俺では敵わん」


 そう言って気絶した木崎に近より揺り起こす。木崎はまだダメージが残っているようで、顔を抑え少しふらつく足取りで立ち上がる。それでも目の光は損なわず、最初に対峙したときとほぼ同じ睨み付けるような視線を一之瀬に向ける。


  「今回は俺の負けだ、だが次は必ず勝つ!」


 そう木崎は言い残して先に移動し始めた男の背中を追う。その背中を見ながら一之瀬は、


  「(木崎君か、彼も次に会ったときはもっと楽しめそうだね)」


 そう思い口元を弛ませると木崎らとは反対方向へ歩きだす。






  「おい、待ってくれよ。先に行くなんて酷いな」

  「さっさと起きないからだ。それにお前があいつに勝ってたら遅れるなんてことはなかったんだぞ」

  「うっ、次は絶対に勝つっての!」

  「はいはい、期待してるよ」


 木崎が先に移動した男へ追い付くと、最初は男への文句を言っていたが、負けたことを言われ空元気めいた言葉を叫ぶ。男は軽くそれを流しながら歩いていると、木崎がふとある疑問を持つ。


  「なあ、なんで一之瀬と闘わなかったんだ?」

  「一之瀬には俺でも敵わん、だったらハチマキ奪われるより逃げた方が得だからな」

  「マジか! 啓太でも敵わないのか」

  「あいつは学年首席、俺はたかがBクラスのトップ。格か違いすぎるっての」


 そう言って男、萩野啓太は木崎との会話を打ち切る。すると、萩野は木崎にも見えない角度で少しニヤリと口角を上げると


  「(今の俺では一之瀬には敵わん。"今はな")」


 そう小さく呟き、高く生い茂る木によって暗い森のなかへと消えていった。








  スキル説明


  一之瀬颯真のスキル、鋭利な刃 (シャープエッジ)

 

 自由に刃を作り出すことの出来るスキル。刀等の刃物を生み出すことも可能。

 刃の強度はある程度のアルマなら壊す事が可能。しかし、一之瀬は作り出した刃とも同調(シンクロ)を行うことで強度を高くしている。

 自身が触れているものならばある程度範囲からスキルを使うことが出来る。 

 

 鋭利な刃 (シャープエッジ)ver竜の鎧 (ドラゴンスケイル)

 一つ一つは数センチほどの刃が、まるで鱗の様に一之瀬の体から生えることで作り出された鎧。

 何枚も刃を重ねることで刃の脆さもカバーしている。



 木崎孝太郎のスキル、野生の本能 (ワイルドシャウト)


 使用すると目は見開かれ、爪は尖り、頭上には特徴的な獣の耳が生える。まるで野生の獣のようになった使用者は、五感が強化され、目を閉じていても回りの状況がある程度分かるほど。

 さらに全体的に力も強化される。作中ではあまり触れなかったが、この能力の弱点としては使用すると思考がある程度単純になってしまう、通常の武器を持てなくなるといったものがある。

 


    


 


 

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