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第五十四話

 一之瀬や天川らが遊撃をしているその頃、各クラスの本隊はというと、既に出会い闘いが始まっていた。


  「ちくしょう! Bクラスの奴あんなアルマを持ってやがるのか」

  「怯むんじゃない! アルマの質はこっちのが上なんだ、耐えて弾切れを待て!」


 戦況は、Cクラスが一番不利なのは誰もが予想していたことであった。しかし、次に不利だったのは生徒達の予想を裏切りAクラスがBクラスに押されていた。


  「俺の弾をくらいやがれ!!!」

  「次弾来るぞ! 防御に徹しろ!」


 AクラスがBクラスに押される。何故そんな事態になった理由はというと。それはAクラスの主力である一之瀬や鳳城が遊撃に回った為に、今この戦場には居ないというのもある。が、一番の理由としてはBクラスある生徒が付けているアルマ、"ビックキャノン"のせいだろう。

 このビックキャノンは、名前の通りスモールキャノンの超強化版である。砲弾の大きさもスモールキャノンとは比較にならず、威力に至っては、スモールキャノンが地面を凹ませる程度とするならば、ビックキャノンは地面が爆発したような有り様になると比べ物にならない。

 たしかにこれだけの性能を持ったアルマならば、Aにも対向できるかもしれない。だが、それだけでこんなにも押されるほどAクラスは甘くない。それにキャノン系のアルマは攻撃力が高い傾向があるが、弾数制限に再装填という明確な弱点がある。なのに何故ここまで押されるのか、それはこのビックキャノンを操る男のスキルにある。


  「(俺のスキル、高速装填(クイックリロード)なら再装填までの隙が大きいビックキャノンもほぼノータイムで再装填ができる)」


 男がそう思いながら弾の切れたビックキャノンに触れると、一瞬で再装填が完了する。

 この男スキルは、再装填を一瞬で完了する。とい至って単純なものであり、その分こう言った高威力のアルマと組み合わせると強力である。


  「(不味いな、ここは一旦体勢を建て直すべきか……)」


 今Aクラスの指揮を担当している生徒はそう思い、一時撤退を知らせるために声を張り上げようとする。するとその時、後ろから女生徒の声が聞こえてくる。指揮をしていた男はその声に撤退命令を出すのを見送りそちらを向く、するとそこには今まで姿の見えなかったAクラスの主力の一人。背中には機械的な羽を生やし、回りには拳大の球体がいくつか浮遊しているといった、派手なアルマを見にまとった生徒。


  「あら、随分とやられてますわね。あと少し来るのが遅かったら撤退していたかもしれないわね」


 鳳城灯がそこにいた。





 男はその姿を見て一瞬思考が止まっていたが、直ぐに気がつくと鳳城向かって話す。


  「……撤退していたかもじゃない、もう一度撤退するのは決定している。ここは一度体勢を建て直してから、一之瀬と合流してからBクラスを叩くべきだ」


 男は苦い表情を浮かべながら話す。この状況はそう簡単には変えられない、全勢力をかけなければならないと暗に鳳城へ伝える。

 しかし鳳城は、


  「撤退なんて必要ないですわ、あの谷中光一のような例外(イレギュラー)でもない限り下位クラス相手に撤退など」

  「じゃ、じゃあ一体どうするんだよ!」

  「ご安心を、私も伊達や酔狂で学年次席にはなってませんのよ」


 男は鳳城の口から出た"谷中光一"という人物に一瞬疑問を持ったが、直ぐにそれよりも目の前の障害を何ともないように話す鳳城の方への疑問の方が大きくなった。

 男がどうやってこの状況を打破するのかと思っていると、鳳城はビックキャノンを操る男へ向けて手のひらを向ける。すると手のひらと鳳城の回りを浮遊していた球体に光が集まっていく。

 すると男がそれを見て言う。


  「遠距離攻撃なら無駄だ、あいつの回りには盾を持った兵が大量にいる。しかもあの盾はかなり頑丈らしくて俺達でもそう簡単に傷は付けられなかった」


 そう、あのビックキャノンを操る男を直接攻撃出来なかった理由としてはこれがあたる。遠~中距離から砲撃で戦力を削られ、ボロボロの状態ではBクラスにやられる。遠距離から狙撃しようと思えば盾に防がれると、まさにBクラスは要塞のようであった。

 その説明を聞いて鳳城は、


  「私のスキルを、あなた達のようなアルマの攻撃と同じに見られるのは心外ですわね。よく見るといいですわ、あんな障害私のスキル紅光線(アポロンゲイザー)の敵ではないと」


 そう言って溜めていた光を光線として解放する。その光線に気づいた盾の部隊が光線を防ごうとするが、


  「!?」


 あっさりとその盾を光線は貫通する。そして光線はビックキャノンを操る男に当り、男は後方に生えていた木まで吹き飛ばされ気絶した。


  「手加減するのも楽ではないのですこと。……さて、これであとはあなた方でも十分でしょう。それでは私は一之瀬さんでも探してくるとしますわ」


 そう言い残して鳳城はまた森の中へと入っていってしまった。

 部隊の指揮をしていた男は、目の前の光景に驚き少しの間呆けていてしまっていたが、直ぐに立ち直ると混乱しているBクラスを責める為の指示を飛ばす。

 



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