第四十話
光一が大きく¨F¨と書かれた看板を持つ購買へ行くと、結構な数の生徒がそこでアルマを見ていた。
この学園には購買が購買がA~Fまでの六つあるが、基本的に生徒は自身のクラス以外の購買しか使えないとされている。勿論クラスが上になればなるほど、ポイントが高くつく代わりにいい性能のアルマが売っている。しかしまだ入学したばかりでポイントに余裕の無い生徒は、自身のクラスよりランクの低い購買に来てポイントを節約しようとするので、このようにかなりの生徒がFクラス購買に集まるのだ。
「(ここで一番良いアルマは……これか)」
光一が目を向けたのアルマは、スモールキャノンと書かれた腕のアルマパーツ、それに付けられた値段は2500ptとなっていた。光一は自身のポイントを近くにあったATMのような器械で確認すると、
「何を買えっていうんだよ」
ディスプレイに表示された813ptという数字に思わずため息と共にそんな声が漏れた。
光一がため息をつくのも無理はない、ここに置かれたパーツは基本パーツですら1000ptほどのものしか置かれておらず、しかも支給されるパーツは二次試験で装着出来たもののみとなっているので、光一は今基本の右腕パーツしかアルマを持っていない状態なのだ。
「(仕方ない、メインパーツは諦めよう)」
光一はATMのような器械から購買へと戻る、だが先程居た場所から少し離れた¨サブパーツ¨と書かれた所で足を止めた。
アルマパーツは大きく分けて二種類ある。一つが基本パーツやスモールキャノンのようにしっかりと装着して使うもの。もう一つはサブパーツと呼ばれ、主に武器とされるパーツである。例えるなら剣や槍といった獲物を使う者もいるが、その剣、槍はサブパーツとされている。
そう書かれていた教科書の一文を思い出しながら、光一はサブパーツを漁る、するとあるパーツが目に留まる。
「こいつでいいかな、ポイントもぎりぎり大丈夫だし」
そう言って光一が手にしたパーツは、¨簡易スモールキャノン(800pt)¨そのな名の通りスモールキャノンの簡易版である。
ここであのスモールキャノンの性能だが、あれは腕に装着し、任意で手のひらに開けられた穴から砲弾が発射されるといったものである。シンプルな構造ながら威力もなかなかあり、弾は五発まで装填可能。弱点は弾が切れたなら別売りの弾を買うため、出費がかさむのと反動が結構大きいことくらいだろうか。
それと比べて簡易スモールキャノンはほとんどスモールキャノンと性能差は無い、だが大きく違うのが一発限りで弾の補充ができないという点である。その弱点のお陰で出費のかさみ方がスモールキャノンよりも大きく、人気の無い商品となってしまっているパーツである。
光一は会計を済ませると、未だ人で溢れかえる購買を後にし、帰宅した。
光一は帰宅中¨あ、謙二忘れてた¨とふと思い出したが、直ぐに¨まあいいか¨と思いその後は特に何もなく普通に過ごし普通に寝た。
それから謙二に¨おい、何で昨日さっさと帰ったんだよ。彼女か?¨とからかわれたり、¨やっぱりあんた何か隠してるでしょう¨と詩乃に言い寄られたりして、一週間ほどの時間が過ぎた。
「さて、皆さん入学して一週間たちこの学園には慣れたと思いますが、本日は合同アルマ学の授業があるので気を引き閉めてください」
担任が朝のHRでそう連絡すると、生徒達は少し顔を引き締める。なぜなら、合同アルマ学の授業とは。その名の通りアルマ学の授業を数クラス合同で行うのだが、ここでクラス代表戦での情報を手に入れようと躍起になるものも多いからである。