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第三十七話

 放課後となり生徒達は皆帰り支度をしており、光一もその例に漏れず帰り支度を済まし帰ろうとすると。


  「ねぇ、あんた大丈夫なの? 他の皆からマークされてるみたいだけど」


 隣にいた詩乃がそう話しかけてくる。確かに光一は他のクラスメイトからマークされており、もし入学時の二次試験のような事があれば真っ先に狙われる上に、ペアを作る活動などでは溢れる可能性が高い。が、光一はそんな事を気にする様子もなく、


  「別に、対したことないだろ。こんな下見て安心するような奴にはそうそう負けないさ」


 そう言い切った。それを聞いた詩乃は驚き目を丸くするが、直ぐに顔を戻すと、


  「もしかして代表を狙ってたりする?」

  「勿論」

  「クラスの大半を敵に回すかもしれないのに?」

  「そうだ」


 詩乃は信じられない者を見るような目をすると、続けてこう質問する。


  「じゃあ聞くけれど、あなたはアルマを幾つ纏えるのかしら? 私でも三つは纏えているわよ」

  「一つだな、これより増やす気もほぼない」

  「よくそれでクラス対抗戦に代表入りしようと思えるわね。私にはそんな大口叩くなんて出来そうもないわ」

  「そりゃどうも」

  「誉めてないわよ」


 詩乃と光一の会話の中心となっている¨クラス対抗戦¨とは、各クラスが代表者を出し、アルマによる闘いを繰り広げるといったものである。このアルマトゥーラ学園のようなアルマ学に力を入れている学校では、スカウトマンがやって来てアルマ使ったスポーツや軍の方からスカウトされることがある。普通はAクラスやBにクラスCクラス辺りまでしかスカウトマンは興味を持たないが、このクラス対抗戦では各クラスの代表を見てくれるので、下位クラスでもスカウトマンにアピールが出来る数少ないチャンスなのである。なので代表争いは毎年過酷となる、そんな行事に対してアルマ一つで学年最下位がここまでの大口を叩くのだ、詩乃が呆れるのも無理はない。


  「じゃあ俺は帰らせて貰うぞ」

  「じゃあね、寝る前にでもゆっくり考えた方が良いわよ」


 詩乃の目には光一はスカウトの目に留まりたい大言壮語を吐くバカな男、と映っているだろう。しかし、光一の目的はそんな事ではない、


  「(クラス対抗戦か、それが主人公破りの一番早い機会だな)」


 そんな思考を巡らせながら光一は教室を出て帰路に着く。











   場面は変わりCクラス内、そこには光一が一度だけ会った男の姿があった。


  「へっくしょい! 誰か俺の噂でもしてるのかな」

  「テストに遅刻ぎりぎりで来たことかもよ」

  「うっ! それは言わないでくれ」


 そんな会話をしているのは、二人の男女であり片方は天河智也、もう片方は国崎凛と言う。


  「まあ、それは置いといて、もう放課後だし帰ろうぜ」

  「そうだね、じゃあ帰ろうか」


 そこで会話を打ちきり帰り支度をしていると、国崎がはっと何かに気づいたような顔をする。


  「あ! 私クラス委員の仕事があるんだった、ごめん先云ってて」

  「おう、頑張れよー」


 天河は、そう言って駆け出して行ってしまった国崎を中庭のベンチに座って待っていると。


   「………えっと」

   「(何してるんだ? あの子)」


 青色の髪をした少女が何かに困った様子でうろうろと歩き回っているのが見えた。


  「どうしました?」

  「あ、その…………えと」


 天河は助けになれないかと思いそう話しかけるが、少女はうつむいてしまう。天河が耳を済ませると所々日本語ではない言葉も聞こえる。


  「(まてよ、確か同じクラスにこの子みたいな女子がいた気がするな、確か名前は)」

  「アリエノールさんだっけ? どうしたの? 俺でよければ力になるよ」


 アリエノールと呼ばれた少女は天河の言葉に反応すると、少し緊張が和らいだのか、少しだけ片言だが普通に聞き取ることの出来る日本語で話始めた。


  「ああ、職員室なら二階の端にあるはずだよ」

  「あ、ありがとうございました!」


 そうお礼を言ってアリエノールは去っていく。それから数分後に戻ってきた国崎と一緒に天河は帰路へと着いた。




 

 

試験的に二十九話から三十一話までサブタイトルをつけましたがどうでしょうか?

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