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第三十四話

すみません、途中の話を挙げてしまいました。

※編集完了

  「(しかし、よく考えると凄い状況だな)」


 光一は都心部へ行くための電車内で、扉近くに立ちつり革を持った状態から、自身の隣で目を輝かせながら外を見るリースを横目で見ながらそう思う。

 今隣に居るのは間違いなく神様なのだが、こうして都心部の景色に目を輝かせているところを見るとただの女の子にしか見えない。


  「(でも、リースが居なければ俺はここにいなかったんだろうな)」


 もし、光一がリースと出会うことがなければ、あの時のテロリスト騒動であっさりと死んでいただろう。そういった意味ではリースは光一の命の恩人なのである(リースに出会ったせいで、一度トラックに引かれて死んでいるとはいえ)


  「ねえ、光一。早くいこうよ」

  「ああ、そうだな。リース」


 光一とリースの乗る電車が目的地に着き、リースは先に降りると光一に方に振り向きそう話す、その顔はやはり神様と言うよりもただの少女に見えた。



  「で? どうする?」

  「んーそうだね、とりあえず適当に見て回らない?」

  「そうだな、地図なんて良いものもないしそれでいいか」

  「じゃあ、それで決まり!」


 二人はそう言って、街中へと繰り出す。




  「あ」

  「ここは……電気屋か」


 しばらく街を散策していると、リースの足が電気屋の前で止まる。電気屋と言っても光一の世界よりもかなり進んだ家電ばかりの所ではあるが。


  「これは、凄いな。元の世界じゃまず無い物ばかりだ」

  「そうだね、やっぱりここは異世界ってことが改めて分かるよ」


 光一達が今いるテレビ・ゲーム等を扱う場所では、光一の携帯のように空中にディスプレイが浮かんだり、VRMMOの機体が実装されていたりなど元の世界では考えられない水準にあった。


  「やっぱりこんな物を作った人は天才なんだろうな」

  『これだけの科学技術発展の足掛かりを作ったのは、偉大なる天才¨エルナンド=ドミンゲス¨です』

  「うわっ! な、なに」

  「人工知能付きの携帯なんだろ」


 光一がそんな事を呟くと、近くに展示されていた携帯電話が人工音声でそう答える。(話によると、これだけの目まぐるしい発展は今は行方不明の天才エルナンド=ドミンゲスという男の作った¨Alシリーズ¨のお陰らしい)


 しばらく見て回り、外に出ようとしたその時。リースの目が一瞬携帯電話ショップの看板に止まる。


  「……欲しいのか?」

  「い、いや。別に、あんなストラップなんて欲しくないよ」


 そう光一が問いかけると、明らかに動揺した様子でリースは答える。それを見て光一は、


  「もしかしたら入り用になるかもしれないからな、念のためだ」

  「え、ちょ、いいってば」

  「いいから。ほら、いくぞ」


 光一はそう言って携帯ショップ内に入っていき、リースはそれに着いていく。


  「すみません、あの看板のキャンペーンを申し込みたいのですけど」

  「はい、ではこちらの書類にサインをお願いします」


 光一はどんどん店員と話を進め、時折リースに¨色は何がいい¨等の質問をし、それを終えると。


  「ほら」

  「これ…………ありがと、光一」


 光一は少し待たせてしまったリースにお詫びも込めて新しく契約した白い携帯電話を渡す、リースはそれをポケットに仕舞おうとしたその時、


  「あ、光一。あれは……」


 そう何かをいいかけた時光一は先を歩き出しており、新しく契約した自身の携帯電話を弄っていた。


  「どうした」

  「ううん、なんでもない」


 そう言いながら、嬉しそうな顔をしたリースと前を歩く光一の携帯にはお揃いのストラップが着いていた。








 しばらくして、そろそろ帰ろうと駅へ二人が戻っている最中に事件は起きた。


  「なあ、そこの嬢ちゃん俺達とちょっといいことしない~」

  「そっちの男は有り金置いていくなら見逃してやるよ」


 光一達が帰る際に、駅までの近道と称して余り人通りの無い道を歩いているとき、この馬鹿そうな男三人に絡まれてしまったのだ。


  「(あーあ、めんどくさいことになっちまったな)」

  「光一…………」

  「大丈夫、俺が負けると思ってはないだろ」


 不安そうな顔をするリースにそう言って、光一は男達を見て拳を握りしめると、


  「おーっと! まさか一対三で喧嘩なんかしようと思うなよ」

  「この人数差だ、まず勝てないぜ」

  「それに、絶望の追加情報だ」

  「「「装着(インスタリアム)!!」」」


 そう男達が叫ぶと、その腕や足に一つから二つのアルマパーツが装着される。


  「粗悪(ジャンク)品とは言え瓦を割れるくらいは有るんだぜ、このアルマ」

  「分かったらさっさと降参しな」

  「強いやつには不用意に闘いを挑まないものだぜ」


 光一は、アルマを見せびらかし、光一の逃走を促す言葉にため息を一つ吐くと。


  「そうか、ならその言葉そっくりそのまま返してやるぜ」

  「何?」

  「まだ、分からないのか。¨さっさとかかってこい¨と言っているんだよ」

  「この野郎、舐めやがって!」


 男三人が光一に殴りかかろうとしたその瞬間。男の後ろから声が聞こえてくる。


  「おまちなさい、三対一。しかもアルマを持って無いものを袋叩きにするなどこの私が許しませんわ」

  「誰だテメェは」

  「本当はあなたごときに名乗る必要はないのですけれど。鳳城灯ですわ、覚えなくて結構ですこと」


 現れたのは、頭以外をアルマで覆った鳳城灯を名乗る少女だった。少女は襲いかかって来る男を軽くいなしていき、一人また一人と無力化していくが、


  「このッ! 女ごときが舐めるなよ!」

  「しまっ!」


 最後の男が叫びながら、こちらに向かってくる鳳城に向けて腕を突き出すと、その掌に穴が空き、そこから拳大の砲弾が発射される。

 鳳城灯は避けられない、と悟り目をつぶるが、いつまでも衝撃は来ず、恐る恐る目を開くと


  「多対一で女相手に喧嘩するんじゃねぇよ」


 アルマを持たぬ男が灯を庇うように砲弾を素手で受けとめ、すぐさま砲弾を放った男と距離を詰めて、一撃で気絶させる。


  「さて、帰るぞ。リース」

  「うん、帰ろう。光一」


 それを終えると男は、連れていた女性を連れて去っていこうとする。鳳城はその背中に思わずこう言った。


  「あ、貴方の名前は!」

  「別に、名乗る程のことはしてないさ」


 男はそれだけ言って去って行ってしまった。



 



 




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