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第三十二話

  「ッ! 青あざぐらいは覚悟しとくかな」


 光一は森を抜け出す為に歩いていると、一瞬痛みに顔を歪め自身の体を見る。出血は止まり、傍目から見れば無傷に見えるが、少し服の袖を捲れば赤くなったり青くあざが点々と出来ている。


  「でも、これぐらいで済んで良かったな。さて、あれ使ったしもう闘いは出来るだけ避けないとな」


 そう言って光一は先の戦闘を思い返しつつも、足を速める。





  「(くっ、あれを使いたいが時間がない。だったら作るまでだ!)」


 光一は颯真との戦闘により少しずつ押されている中、そう考え腕を乱雑に振るうことでほんの一瞬の隙を作る。


  「(一瞬あれば充分!)」

  「魔力強化……集中(カンセントレイション)


 光一はそう呟き魔力を纏い、魔力強化を全身に施し、さらに集中も併用する。


  「くらえ! 鋭利(シャープ)(エッジ)一斉発射!」


 颯真が叫ぶと颯真のスキルにより生み出された刺や剣が光一に向かって発射される。

 だが集中状態の光一にはその刺や剣らは、通常よりもゆっくりと飛んで来るように見える。それゆえ落ち着いてそれらを防ぎ、壊す事が出来た。さらに、仮にそれらが直撃しても殆ど光一を傷つけることは出来ず、肌を軽く傷つけるに留まっていた。

 その後も攻撃を加える為に颯真に近づいた際に、鋭利(シャープ)(エッジ)の一斉発射を食らったが、同じように落ち着いて対処が出来た。(颯真を戦闘不能にしてハチマキを奪わなかったのは、その必要性を感じなかったからである)



 そうして先の戦闘を思い出していると、光一は明るい所へ出る。

  

  「おっと、考え事してたらもう抜けちまったのか」

 

 どうやら考え事に夢中になっている間に思ったより進んでいたらしく、森を抜け出すことに成功した光一は近くの試験監督にハチマキを渡し二次試験終了となり、待機を言い渡される。



  谷中光一__二次試験終了







 


___一方その頃、天河智也と国崎凛はというと。


  「この状況どうする? 智也」

  「闘う以外の選択肢があるならこっちが教えてほしいね」


 背中合わせ構えそう会話していた、彼らの回りには五人の男たちが円を描くように包囲している。


  「なあ、お前ら二人とも降参する気は無いのか? ハチマキを置いて行くなら見逃してやらんこともないぞ」


 包囲網を敷く男たちの内一人がそう言うと、


  「「断る!」」


 国崎と天河はそう強く言い切り、男たちに襲いかかる。


  「そうか、威勢は買おう。だが、二体五で負けるほど俺たちは弱くないんでな」


 


 しばらく戦闘は続き、最初の内は天河達が勢いにのり若干押していたが。


  「二体五で勝てると思ってんのか、調子にのんなよ!」


 人数の差に加え、先の戦闘の傷がたたり段々と押され始める。

 そして、


  「オラァ! あれ、この女もうへばっちまったぜ」

  「そりゃこれだけの人数でタコ殴りにしたらそうなるだろ」


 国崎は腹を殴られ、うずくまってしまう。せめてもの抵抗なのか、キッと力強く男たちを睨むが。


  「なんだぁ? 生意気だな、ガン飛ばしてくるなんて。」

  「こりゃちょっとお仕置きが必要だな」


 男たちの怒りに触れたのか、押さえつけられて身動きがとれないようにされる。


  「凛! 大丈夫か!」

  「おいおい、他人の心配してる場合かよ」

  「一対三だぜ、状況考えろよ」

  「やはり威勢だけのようだな」


 天河も一対三の人数の差には勝てず、国崎と同じように押さえつけられてしまう。


  「さーて、お待ちかねのお仕置きタ~イム」

  「気の強そうな女だが、顔は中々良いからな。楽しみだぜ」


 国崎を押さえつけていた男二人が、国崎の顔を除き混みながらそう言う。


  「(ちくしょう、俺はまた凛を守れないのかよ。さっきだって何もできなかった、それはもう嫌なんだ! だから何でもいい、俺に仲間を守る力をくれ!!)」


 天河はそんな思いが頭の内で渦巻き、やり場の無い怒りを拳を握りしめ地面に叩きつける。すると、


 ドックン!!


  「(な、何だ!? ち、力が沸いてくる? ___何でもいい、仲間を守れるなら何でもいいから力を___)」


 そこまで思った瞬間、天河の体が光に包まれる。あまりにも眩し光により天河を押さえつけていた男の拘束が緩む。その隙に脱出すると、


  「な、何だ!? 何が起こっ____」

  「お、おい! 大丈夫か__」


 国崎を押さえつけていた男の一人が顔面を殴られ、吹き飛ばされそれを心配した男も殴り飛ばされる。

 やがて光が収まり、そこにいたのは、


  「お、お前。なんだよそれは、その金色のパーツは!」


 左腕と頭部以外を金色のパーツに包んだ智也の姿だった。


  「ビビるんじゃねえ! まだ一対三だ、人数ではこっちが勝っている__」

  「じゃあこれで一体二だな」


 男の一人がそう言おうとした間に、天河は素早く間合いを詰めて男を殴り飛ばす。


  「ち、ちくしょうーーー!」


 残された男たちは自棄になり、天河に向かっていったがあっさりと叩き伏せられる。


  「大丈夫か……凛」

  「う、うん大丈夫だよ、智也こそ大丈夫なの!?」

  「ああ、だけど少し休ませてくれ」

  「え、ちょっと!…………いいよ、少しだけおやすみ」


 残った天河に国崎が駆け寄ると、天河はそう言ってぐっ!にもたれ掛かるように倒れた。






  その後、天河達は倒した男のハチマキを回収し、見事二次試験を終了した。



   ____天河智也、国崎凛 二次試験終了


 


 


 


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