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第三十話 好敵手(ライバル)VS異常(イレギュラー)

 天河智也達が、頭のパーツの無い男との戦闘を終えようとしていた頃。光一は森を抜け出す為に移動をしていた。他の受験者からしたらハチマキを二本も持ち、パーツは右拳を残して欠損。こんな格好の的を逃す者は無く。


「やいやいやい、痛い思いしたくなけりゃハチマキを置いて__ひでぶ!!」

「ったく、何人目だよ。こういう奴ら」


 光一の元にはハチマキを奪おうと、一人から三人ほどの仲間を集めて襲ってくる者が多く現れる。光一は何度目かの襲撃を襲撃者を倒すことで乗り越え、また森を抜け出す為に歩を進める。


 そうしてしばらく歩いているとまた、光一に向かってくる足音が聞こえる。


(また、闘いを挑んでくる奴かよ……いや、それにしては¨堂々としすぎている¨)


 今まで光一に闘いを仕掛けてきたのは、数で勝っていない限り奇襲を仕掛けてくるのが主であった。しかし、いま聞こえる足音は一人分だが奇襲をする様子もなく堂々と向かってくる。光一は足音の主はかなり己の腕に自信があると見て、警戒を強める。


「人はっけーん、次の相手は君にしようかな?」


 そんな真の抜けたような声を出し、光一の前に現れたのはパーツの欠損も無く、ハチマキを既に数本手にしている男だった。


「次の相手と言うが、お前は既にハチマキを二本以上持っているようだが?」

「ハチマキ? ああ、これか。確かに僕は試験突破の条件を満たしているけどさ」

「¨それ以上に強い人と闘いたいんだよね¨だから僕は、闘いを仕掛けてるだけさ。それが試験突破に無意味でもさ」


 光一はこの会話で目の前の男からあることを感じとる。それはこの男はどうしようもない戦闘狂で、この闘いを回避することは出来ないと。


「いつもならもう少し楽しんで闘いを長引かせるんだけど。さっき、僕に少し本気を出させるほどの人に会って興奮してるんだ」


 その男は「だから」と一呼吸置くと。


「最初から本気で行かせてもらうよ」


 その直後男は鋭く踏み込み光一の懐に入ると、パンチを光一の顔面に放つ。光一はそれを右腕のアルマで受け、左手でパンチを顔面に放ち返す。男はあっさりと首を横に傾けて回避するが。


「!? ……君、随分面白いね。アルマが片腕しかないのにここまで僕とやりあうなんて」

「舌噛むぞ」


 光一はパンチを外した左手を戻す際に魔力強化を掛け、男の後頭部を殴った。男は驚き、少し体制を崩すが直ぐ様立て直す。光一は攻撃の手を緩めずさらに右拳を男の顔面に突き出す。だが男はそれをバックステップで回避する。


  




 男、一ノ瀬颯真(いちのせそうま)は笑っていた。笑おうとして笑っている訳ではない、ただ目の前に現れた強者と闘っていると自然に口許がが緩んでしまうのだ。

 颯真と光一との戦闘はしばらく続いた。事が動いたのは光一が颯真の拳を半歩下がることで避けようとしたその時。


「しまっ!」


 光一が足元の落葉に足を滑らせ、大きく体制を崩してしまう。その好機を颯真は逃さず、勝負を決める一撃を見舞うため追撃をしようとしたが。


「ぐあっ!?」


 光一がニヤリと笑ったかと思うと、颯真は顔を手で覆う。なぜなら光一は、体制を崩すと同時に颯真の顔を目掛けて土を蹴りあげたからだ。

 一瞬の内に形勢は逆転し、光一がアルマを纏った右腕の拳を全力で颯真の顔面に放つ。颯真は顔を覆うようにガードをしたが、光一はそのくらいならガードの上からでも戦闘不能に出来る、と確信する。

 しかし、そうはならなかった。


「ぐあっ…………」

「本当に驚いたよ、まさか片腕だけで闘うならまだしも。同調(シンクロ)もほぼ完璧、その上この僕に…………奥の手まで使わせるなんてね」


 殴った筈の光一の腕には数本の大きな刺のようなものが刺さっており。颯真の両腕のアルマには無数の刺が付いていた。



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