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第二十九話 主人公VS好敵手(ライバル)

 ある男が森の中を歩いていた、その男は左腕のパーツを欠損していたが。ゆっくりゆっりと進み、木の影に身を潜める。そしてそこにがさがさと落ち葉を踏む音が近づいてくる。

 男は右拳を握りしめ、足音が自身の隠れる木の近くに来たその時、全力の拳を叩き込もうとする。が。


  「り、凛!」

  「え。と、智也!」


 男が近づいてきた人物に拳を叩き込もうとしたその時、智也は拳を止めて二人は顔を見合わせる。

 この男の名は天河智也(あまかわともや)、このアルマトゥーラ学園に受かるためにやって来た受験者の一人である。そしてもう一人の女の名は国崎凛(くにざきりん)。天河の幼馴染みで、天河と同じく受験者の一人である。



  「まさかこの広い森で会えるなんてな」

  「そうだね、ここで会ったのも運命だと思って、一緒に試験突破を目指さない?」

  「よし、乗った」


 そうして二人は共に試験を突破するために二人で移動を開始する。天河が先行し前方を警戒、国崎は後方で後ろを警戒といった布陣で進んでいく。するとガサリと落ち葉を踏みしめた音が聞こえたかと思うと、その音はだんだんと近づいてくる。

 この状況で二人いる天河達に向かってくるのは、あっちも二人以上いるといった状況か…………


  「次の相手は君達かな」


 よほどの戦闘狂ぐらいであろう。天河と国崎は瞬時に目の前に現れた頭のパーツが無く、手に二本のハチマキを持った男が闘う気があると感じとり、戦闘体制をとる。


  「セイ!」

  「おっと危ない」


 まず天河が飛び出し突きを繰り出すが、それは受け流される。次に国崎が回し蹴りを放つがその足を男に掴みとられる。


  「な!? は、離せ!」

  「(こいつ、なんて力だ)」


 国崎は必死に男の手から足を離そうとするが、男の手はびくともしない。そして男が掴んだ足を出前に引っ張り、国崎に拳を打ち込もうとしようとする。しかしそれは体制を立て直した天河が、横からタックルを仕掛けたことで防がれる。


  「ありがと、智也」

  「礼はいいから気を引き締めるぞ」


 そう短く言葉を交わし二人は構えをとる。そしてしばらく戦闘が続いた時。


  「ッ!?」

  「ここだぁ!」


 国崎が男の体制を崩すことに成功すると、天河は右拳をアルマが無く無防備な頭部へと叩き込む…………が。


  「!?」

  「いやー焦った焦った、入学レベルなら全パーツを装着しなくてもいけると思ったんだけどなー」


 その拳は¨今まで着けていなかった頭部のパーツ¨に受け止められていた。


  「じゃあ、少し本気出すかな」


 そう言うと、男は動揺により一瞬動きが止まった国崎と天河の腕を掴む。当然二人は抵抗をするが全く外れる気配はない。


  「だめだなー君達、まだまだ同調(シンクロ)が出来てないよ」

  「同調(シンクロ)だと?」

  「ああ、そうさ。このアルマは、使用者の体に馴染めば馴染むほど力が増す」


 ¨同調(シンクロ)¨知識としては知っていたが、それはそのパーツに馴染まなければならない、それをまだ使って数時間の内に馴染ませるなど並大抵のことではない。二人がその事実に驚愕していると、男は手を掴んだまま二人を持ち上げ、木に叩きつけた。

 二人は受け身も取れずに激突し、木にもたれ掛かるように倒れる。


  「さて、君達のハチマキも貰おうかな」

  「(ちくしょう、ここで終わりかよ)」


 男は手をハチマキに伸ばしたその時、その手の動きが止まる。


  「いや、僕に頭部のパーツを装着させたのは君達だけだからね、これからに期待しといてあげるよ」


 そう言うと男は手に持っていたハチマキを二本天河達の前に落とし、去って行ってしまう。


  「(ま、まちやが……れ)」


 天河はその背中に手を伸ばしたが、喉からは声すら出ず、手は虚空を掴むだけであった。



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