第十四話
短くて本当にすみません
あれから光一は、魔力を節約しながらもテロリストから奪った武器を使い、合計十二人ものテロリストを無力化することに成功していた。
(あれから見つけたテロリスト達が持っていたメモ用紙によると、あいつらはボスの他に、三人づつでA~Eの五つの班に別れているらしい。俺が倒したのは十二人だから、ボスを除いてあと三人!)
光一は、そう残りのテロリストの人数を計算すると、残りを倒すために校舎内を散策していく。
ーーー時は少し遡り、グラウンドでは光一を始末するために見張りのテロリストが居なくなったため、ぽつりぽつりと生徒や教師がグラウンドから出ていく。中には屋上の智也達が心配で残るものやグラウンドを出たら外に待ち伏せされていて殺されるかもしれない、と疑心暗鬼になり残るものもいる。
(智也、無事でいてくれよ。私に出来ることはこれくらいだ)
この少女、湊紗江花は前者であった。そして、この少女に出来ることはただ手にした携帯で警察を呼び、智也達の無事を祈るくらいであった。
紗江花が連絡したお陰で直ぐに警察がやってくる。警察は、手際よく生徒らを避難させると、テロリスト達の説得を開始する。だがテロリストは説得に応じることはなく、身代金と逃走手段を要求し、沈黙してしまう。
「出番だ、豪。あと二十分以内に標的が動かなければ撃って構わん」
「了解」
警察の中でも特段偉そうな男が、無線機にそう指令を出す。指令を出された男は豪と言い、特殊部隊のスナイパーである。今は智也達がいる新校舎から、離れたマンションの屋上でボスを撃つ機会を探っている。
(あと二十分か、恐らく標的は動かない)
そう考え、豪はより一層注意してスコープからテロリストのボスを見る。するとそこから驚くべき光景が目に写る。
(標的が人質の縄をほどいた!?)
スコープからは人質の少女と少女が一人づつ縄をほどかれ、二人の男女が、テロリストのボスと対峙する姿が広がっていた。