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第十三話 日常の終わり

 ¨ああ、なんでこんなことになったのだろう。俺は普通の高校生だってのに¨。と、そんなことを思いながら新校舎の屋上で手足を縛られている天川智也は周りを見渡す。そこには、友人の斎藤健司や山崎詞乃に幼馴染みの久崎凛、最後に転校生の鳳條灯が智也と同じように手足を縛られていた。


(どうしてこうなったんだ。今日だって朝から特に変わり無い一日だったってのに、いきなりこんな中学生が授業中に考えそうな展開になってんだ?)


 頭の中でまた、何度目か分からない¨どうしてこうなった¨を繰り返しながら智也は今日一日の出来事を思い返す。




「zzzz……」


 男がベットの中で眠っていると男の部屋のドアが開き、学生服を着た一人の女が入ってくる。女は、男に近づくと男の胸の当たりに手を置き。


「ほら、智也。遅刻するぞ、早く起ろー」


 そう言って寝ている男、天川智也を久崎凛は揺り起こそうとする。


「ん……凛か、分かったよ起きるよ」


 そう言って智也は眠い目を擦りながら、ぼやけた視界の中布団を剥ごうとする。すると、ふにょんと手の甲に何か柔らかいものに当たったような感触が伝わる。


(柔らかい?……まさか)


 嫌な予感とともに、先ほどまで鈍かった思考が一気に目覚める。そして、おそるおそる久崎の方を見ると。


「目、まだ覚めてないようね。ちょっといい目の覚ましかたしってるからさ、やってあげるわよ」


「いやいやいや、いいって、目はバッチリ覚めてるからさ」


「いいよ、遠慮しないで」


「いや、遠慮なんかじゃないから! だからその振りかぶった手を降ろしーーー」


「この変態ーーー!!!」


 こうして、頬に真っ赤な手形を作る目覚ましを受けて、天川智也の一日は始まった。



「ふう、やっと学校に着いた」


 あのあと、天川は久崎と共に朝食を食べて登校し、今は自身の教室に向かう途中である。(凛は、委員会の仕事があると言って途中から先に行ってしまった)


「智也じゃないか、奇遇だな」

「あ、会長。おはようございます」

「うむ、おはよう。今日は珍しく一人だな」

「はい、凛の奴は先に行ってしまったんでね」


 今智也に話しかけてきた女子生徒は、湊紗江花(みなとさえか)この学校の生徒会長を務めており、運動も勉強もできる文武両道な人間である。天川は生徒会が忙しい時によく手伝いに行っており、湊とは割と交遊のある関係となっている。


「そうだ、会長」

「なんだ、智也。相談事なら何でも言ってくれ、力になるぞ」


「いえ、そうじゃなくて。今日の昼を一緒に食べようかなと思いましてね、会長もどうです?」

「その誘いは嬉しいけれど、遠慮させてもらうよ。今日は昼に生徒会の仕事が有ってね。次の機会にでも誘ってくれ」

「はい、分かりました。仕事頑張って下さいね、会長」


 そう言って智也は会長と別れ、自身の教室へと向かう。


 「あ」


 智也が教室のドアを開けようとした、その時。ドアが開き、中から腰まである長い長髪をした少女、山崎詞乃と鉢合わせる。天川は、昨日故意ではないとはいえ、山崎の胸を触ってしまった負い目からなんとなく二人の間に気まずい空気が流れる。


「………えっと、昨日はごめんな」


「別に」


 そう気まずい空気に耐えきれなくなった天川が謝罪すると、山崎はそう一言だけ言って、智也の横を抜けて教室の外へ出ていく。時は立ち、天川が昼時に昼食を取ろうと席を立つと、隣の席である灯が一人で居るのが目についたので声をかける。


「なあ、一緒に昼飯食べないか?」

「私?」

「ああ、そうだよ、一人で居るみたいだったからな。嫌なら断ってもいいぞ」

「いいえ、そのお誘い受けさせてもらいますわ」


 そうして昼食を取るメンバーに灯を加え、智也達は屋上へと向かう


 





「な、なんだこれ……!」


 昼食を取ろうと智也達が屋上に集まり、光一を待っていると健司がそう言ってグラウンドを指差す。そこには、続々と生徒や教師がグラウンドに出されている光景だった。


「動くな、抵抗すれば撃つぞ」


 グラウンドの光景に驚いていると、後ろのドアが勢いよく開きサブマシンガンを構えた黒ずくめの男達が智也達にそういい放つ。


(どうしてこうなった……)


 智也は、また頭の中で何度目かになるか分からない¨どうしてこうなった¨と、ため息を付く。

  

 

  

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