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布陣を整える
信長は、これ以上時間をかけられないことを悟っていた。
「お前たち、はやいうちに光秀と蹴りをつけるぞ」
腹心が口を開く。
「私にいい案があります」
さらに続ける。
「先陣は、秀吉に勤めてもらいます。後陣は、家康殿に任せたいと思います」
信長が割り込むように口を開く。
「俺が総大将で、義元が参謀長といったところか」
「ええ。そして、出過蔵殿は秀吉の補佐と戦況の報告を頼みます」
寡黙な出過蔵が怪訝そうな仕草をする。納得がいかない事があるようだ。
「心殿、何故家康殿は後陣なのです?彼なら先陣を勤めるのに十分な力と才能があるはずでは?」
腹心は、家康に視線を送る。家康は首を横に振った。トラウマは拭えないようだ。出過蔵は納得した。恐れがあると力を振るえない。
信長は声を張り上げた。
「お前たち、早速戦の準備をするんだ!俺についてこい!」




