第六十三話 神族にも免許は要るらしい
久しぶりです。
ぜかましが出ない!
「え?は・・・・・マジで?」
「マジだ。」
マジだったらしい。
「まあそもそもこいつがお前を連れて来た時はもうそんな時期かと思ったがな。」
「・・・・・闇の炎に抱かれて消えてくれる?あれ、無理やり連れて来たとかにしないと上が面倒・・・・・ってか私とこの子の上なんて数えるほどしかいないけど。」
何人だったかしらね?と指折りを始めた痛女。
「お前たちの様に元人間な奴らはノリで世界を作れる。そう何人も居てたまるか。大体、何で人間交じりは神格を得ると色々すっ飛ばして最上位付近に行ってしまうのやら。」
「・・・・・それ以上喋るなら夢想阿修羅◯ぶちかますぞ。まあ、他はテコテコ地道に上がって行く階段に対して、人間はその階段にある物も何もかもひっくるめてまぜこぜにして凶悪な高さの壁になってるから超えちゃうと後は落ちるだけなのよね。」
神の座は人間だけむずいけど格の上昇はエスカレーター式(しかも下り。上がっているのに対して、である。)だからね、と痛女は続ける。
「・・・・・ところで、あんたら生んだ神様ってのは誰だよ?ここに来てないみたいだけど?」
「来て無くて当然よ、ハイドより弱いもの。ウォル太君でもぶちのめせるほどに弱いのよ。まるでスぺラ◯カーよ。世界の壁すら越えられないもの。」
私達は平然と超えてるけど、そこの微生物とハイドは星の流れや大規模な儀式を行った上じゃないと渡れないしね。
と、痛女は続ける。
「で、結局の所何の用なんですか?」
「ああ、君はもう所定の仕事の居付いているからわからなかっただろうが、お役所仕事という奴だよ。」
「こんなニートみたいなホームレスが仕事、ねぇ・・・・・。」
「いや、ホームレスみたいなニートじゃね?」
「・・・・・お前ら姉弟は性根まで似ているな。」
「で?もしかして試験か?」
「そうだハイド、お前も受けるといい。去年は滑ったが今回は大丈夫だろう?」
「・・・・・16年連続で滑ってる奴が言うわね~。」
試験、ねぇ・・・・・。
「受けなきゃ駄目なの?」
「受けなくてもいいが、身分証明が取れないと世界間漂流時に正しい世界線に帰る事がほぼ不可能になるぞ。まあ、お前ら最高神レベルからすればそんな物無くても普通に戻って来れるが。」
「Fラン神。」
ビキィ!と、俺に向かって忠告の様な事をしていたキモ男は固まった。
「・・・・・。」
「兄さんさ、私たちの中でもランクがえらい低いのよね、あんまりおいたが過ぎると、」
と、痛女がここで言葉を切り、
「ぶ ち 殺 が す わ よ ?」
キモ男の顔色は一気に氷点下に突入した。
「ってそんな事言ってる場合じゃ無かったわね、確かに試験を受けといたら、権力で黙らせることもできるだろうし、受けといた方が良いわね、で、いつだっけ、ド底辺神。」
「着かぬことを聞くが、お前等のランクってどのぐらいだ?」
「えーと・・・・・紙に書くわね。」
と、軽くメモを書き渡されたものに書かれていたのは、
Fラン 父、キモ男
若干飛んで、
Cラン ハイド
また飛んで、
Sラン 痛女、俺(暫定)らしい。
「・・・・・一応ハイドは中堅クラスなんだな。」
「まあ、その他多数ってとこね。現在絶賛自宅警備中だけど。」
「ほっとけ。」
「じゃ、行きましょうか。」
と、痛女は殊更に痛いステッキを取り出してこれまた痛い見た目のピンク色でフリフリのレースで彩られたドアを召喚した。
ハート形のドアってお前・・・・・。
「・・・・・歳を考えおごふぅ!?『あら、失礼。肩にゴミが。』いや、そこ肩じゃなくて頬ぼふぇ!?」
キモ男が思った事を口にした途端、裏拳を叩き込まれ、更にその申し開きをしてる所に強烈なアッパーカットを顎に決められていた。
あれは痛そうだ・・・・・。
「さ、行きましょう。」
「お、おう。」
悶絶しているキモ男の足を引きずりながら、痛女はドアをくぐって行った。
「・・・・・俺らもいくか?」
「だね、移動よろしく。」
「この格好のままでか!?」
そうです。その恰好のままです。
「じゃ、ユウ。晩飯までには帰って来ると思うからよろしくな。」
「はい、行ってらっしゃい。」
と、俺はハイドの上に乗ったまま、ドアをくぐって行った。
さて、どうなる事やら・・・・・。
*****
「あれ?あいつ等は?」
「スカルさん?先ほどシグさんたちは出かけてしまいましたが?」
「あいつ上がって来いっつった癖に置いて行きやがった!?」
あ・・・・・忘れてた。




