第六十話 いろいろ予想外
執筆中に間違えてEscキー触って無に帰した時の脱力感は異常。
2、3回やらかしてモチベがえらい事になりましたが、どうぞ。
「っははは!どうしたんだい?さっきの言葉は?」
「おまっ・・・・・他力本願のやつがほざくな!」
戦闘開始からたぶん10分ほど、まったくと言っていいほど膠着状態だ。
あっちのダメージは大した事無い・・・・・って言うかノーダメージなわけだが、こっちから決定打を入れられずって状態だ。
こっちのメンタルが尽きるか、こっちが一撃叩き込めるかが勝負を分けるだろうな。
向こう側もそれが分かってるのか余裕ぶっているが、その実自身が攻撃を止めれば一瞬で負けるという事を理解してるのかまさに出し惜しみ無しと言わんばかりの数をぶつけてくるせいでなかなか本体に近づけない。
飛び道具ねえのか、飛び道具!
おっさんかリンネがいりゃそこまで苦労しねえんだろうが、俺だけだと投げられるのが死体共だけだしそれに死体投げたら術解除して消滅するから飛び道具として機能しねえし・・・・・。
しゃあねえ、距離を取って・・・・・。
「16番から24番、射撃用意。28番より41番、投擲槍用意。」
「ぬぉお!?」
待ってましたとばかりに攻撃してくんじゃねえよ!?
弾幕雨霰ってとこか?
効かねえけど視界塞がれてやりにくいったらありゃしねえ!
投げて来られた槍の何本かを掴み、投げ返すが・・・・・
「3番から11番、防御陣形用意。50番より54番、防御壁展開用意。」
戦いは数だと言わんばかりに肉壁と防御壁ですんでの所で防がれる。
さっきからこれの繰り返しばっかりである。
「だぁぁ!じれったい!」
と、突撃かますも物量の差で押し返される。
雑魚もあつまりゃ脅威ってのが良く分かるいい例じゃねえか。
「ふむ・・・・・雑兵じゃ君の相手は務まらないか。なら・・・・・これはどうかな!?」
向こう側もこの膠着状態に痺れを切らせたのか、指をまた鳴らした。
次の瞬間、5メートルはあろうかと思う巨人が立っていた。
ただ、それが『巨人』に見えるだけで実際の所、人間、亜人、魔物の死体につぎはぎを行って擬似的な巨人の様になっているが。
「さあ、行け!」
「こう言うのでいいんだよ、こう言うのでなぁ!」
と俺は巨人に突っ込んでいく。
「だりゃぁぁ!」
「ヲオォォォ!」
俺と巨人の拳が衝突する。
が、重量差には勝てないのか、
「うぉう!?・・・・・っつう・・・・・吹っ飛ばされたな。」
その辺の壁目掛けて吹っ飛ばされたが、ぶつかる直前で体勢を立て直して壁を足場に元の位置に戻る。
やっぱどんだけ強くても真正面から受けると引力とかには勝てんか。
そう思い俺は、正面から受けずに攻撃を行おうとしたが、
「グルルァア!」
「ちょ、おま・・・・・髪が武器になるとか聞いてねえぞ!?」
髪?鬣?とにかくそれが鞭状になるわトゲとして機能するわで後ろや横から攻撃しづらいったらありゃしない!
「ハッハッハ!常識にとらわれていたら僕の『キマイラ』に勝てる訳が無いだろう?もとよりそれはそう言う物さ。」
「なら、てめえを狙うまでだ!」
と、突っ込むが、
「来い、『キマイラ』守れ。」
「テレポートとかアリかよ!?」
「アリだ。」
そうか。
どうしよう・・・・・このままじゃマジできつ、い・・・・・?
「なぁ!」
「射撃!どっからだ!?」
銃声が後ろから数発聞こえ、巨人擬きに当たったのを見て撃ってきた方向を見ると、おっさんがいた。
「兄ちゃん、無事か!?」
「おっさん!来たのか!リンネは?」
「置いて来た!流石に連れてきたら守りがやばいんでな!」
よし、ちょっとは形勢がこっちに向いて来た!
「しっかしまあ、随分と趣味の悪い死霊使いだな。死体を粘土よろしくくっつけてどうなるってんだ?」
「・・・・・?何撃ったんだ、おっさん?あいつの治り何かさっきより遅い・・・・・って言うかむしろ崩れってるけど!?」
「馬鹿な!?僕の『キマイラ』が!・・・・・!まさか、その銃弾!」
「嬢ちゃんに即興で用意して貰った祝福儀礼済み純銀弾だ!死体相手ならこれが一番だろうってな!」
おお、やっぱり死体にしろ吸血鬼にしろ銀には弱いのか。
そんな会話の傍で体が来るれるのも構わずにこちらに襲ってくる巨人擬き。
「ギ、ギギギ。グゥオァァァ!」
ま、こん状態なら俺一人でも、
「さて、ぶっ潰れろ!オラオラオラァ!」
凄まじい速度でラッシュを仕掛け、
「よっ、と!」
「王手詰みってな!」
「そ、そんな馬鹿な!全部隊、防御に回れ!」
ちょ、おっさん!
俺のとどめを持ってくな!
ま、いいや。
本体のとどめをこっちがさす!
だが、さっきより死体共が脆過ぎる上にこれじゃ時間稼ぎにもなんねえぜ?
「あ、ば、よぉぉぉ!」
と、死体共の残りをまとめて吹き飛ばして俺は渾身の速度で殴りつけようとした瞬間、
「は?」
俺の拳は空を切った。
俺はどこへ行ったのか確認しようと周りを見た瞬間、
「―――――ふむ、劣勢を見かねて手を出したはいいが・・・・・あの男、やってくれるな。」
頭上から、全身でヤバいと感じる声が聞こえて来た。
そこには、獣を模したような黒のフルプレートに顔の上半分を覆うライオンみたいな仮面をつけた奴が居た。
「・・・・・!」
「誰だ!」
「―――――あの男が用意した木人形に名乗る名など無い。」
・・・・・何だ、あいつ。
あいつ、本当に喋ってるのか!?
機械でももうちょっと声色とかあるってのに!
「―――――まあ、あの男が用意した物もなかなか馬鹿に出来んようだな。しかし、此奴では役不足か・・・・・さて。」
やる気か?
俺達は身構えるが、
「―――――失せろ。この場はこれで手打ちにしてやる。」
と言って、一瞬で姿を消した。
・・・・・いやいや、自分から消えてりゃ世話ねえって。
「・・・・・兄ちゃん、大丈夫か?」
「怪我らしい怪我はしてねえな。しかし、あいつなんだ?」
「ああ、それは・・・・・。」
と、おっさんが何か言おうとしたら、盛大に顔が引きつった。
何事かと思い、おっさんの顔を覗くと、こっちを見て無かった。
・・・・・いやな予感と共に、おっさんが見ている方向を見ると、
「よくも蹴り飛ばしてくれたな、この糞筋肉達磨ぁぁ!」
「おごふっ!?」
顔面に蹴りが飛んできた。
あーそうだったそうだった!
シグのやつ空気だと思ってたら今やっと戻ってきたのか!
「怪我ねえか?っつーかいい加減足を俺の顔からどけてくんねえか?」
「ダメージないから別にいいだろ?それよりも俺のやり場のない怒りを受け止めろ。」
「受け止めたくねえな、そんなもん・・・・・。っつーかお前出番ゼロだったな。」
「誰かさんが蹴り飛ばしてくれたおかげでね。そもそもお前は・・・・・。」
あー、流石に蹴り飛ばしたのはまずかったか?
さっきから俺の不実不誠実さを延々と罵倒しまくるシグ。
あのさ、こういうのって勝どきなりなんなり上げる所だろ?
締まらねぇ・・・・・。
*****
はーい、こちら実況の・・・・・じゃないね。
シグ・レインフィールドです、ハイ。
戦闘を見ていたけど思ったよりウォル太相手に善戦したね、こいつ。
何と言うか、思わず助けちゃったけど、どうしよう・・・・・こいつ。
殺処分・・・・・はあの状況でやるべきだったかな?今となっちゃ殺してもあまり面白くないし、どうせならクライマックスパート開幕を告げる感じに殺したい。
「・・・・・。」
で、どうしようかね、この子?
ま、他にも20人ほど同じような事を片手間にやってたとはいえ、この子の戦術眼?あの魔王様に匹敵するんだよねぇ・・・・・。あの魔王様もウォル太もレベルを上げて物理で殴るって言うのをコンセプトにしたせいで生半可な攻撃とか大して通じないし・・・・・。
「・・・・・なぜ、助けた。」
おっと、彼を無視してはいけないね。
「―――――少々私としても予想外だったのだ、あの一戦はな・・・・・。」
嘘ですがね、こいつ使い潰す気満々でした。
「―――――お前には少々目をかけているのだ、あれの相手が十二分に勤まるのを探すのは少々骨だ。」
「・・・・・その口ぶりだともう一度戦えと言ってるように聞こえるんですが?」
「―――――無論だ。故に、もう少々力を付けねばならんと判断した。もう一度問おう、力が、欲しいか?」
ま、返事なんて決まってるんで割愛。
この少年適当な所に放逐して、さっさと元の姿にもどり、ウォル太に跳び蹴りくらわすところまで戻ると言う訳ですね。
・・・・・まあ、この後は移動パートですので、もう一人の俺になるでしょうね。
それと、仕込みをここでやろうにも適性が無いからなぁ・・・・・。
いろいろ予想外だったんだよね、この戦闘。
自分の行動にしろ、役者の行動にしろ、ね。




