第五十二話 経過報告
前回から随分日が空いてしまいました。
ネトゲに集中したら駄目だね。
ま、昼にあったごたごた(後日分かった事だがスリは左側の奥歯は軒並み折れ、内臓及び骨も何個も持ってかれる重傷だったらしい。)から、日も落ちて戻ってきた俺達。
店の中に入るといつぞやの五人組とスカルが居て、
「あぁ、やっと戻ってきた。」
「シグじゃないと分からんからってお客さん待たしちまったけど、良いのか?」
「・・・・・あなたは確か、先日の・・・・・あ、スカルもう引っ込んでいいよ。」
「あいよ。」
と、スカルは三階に引っこんで行ってしまった。
俺はお客さんの方に改めて振り向くと、
「何だシグ、知り合いか?」
「違うかな?前来たお客さんかな?で、待たせてしまって申し訳ないんですがご用件の方お伺いします。」
「ああ、先日の巨大ゴーレムの件は知ってるかな?その時君は居なかったからまた後日と言う事になったんだがな。」
ウォル太の質問を軽くあしらいつつ、レッドさんが切り出した。
「いえ、その辺起きたことはよく知らないもので・・・・・野暮用で出かけてましたし。」
恐らくジェノサイドスープ事件(四十六話参照)のあたりかな?
「まあ、前に来た時は感謝祭の時で・・・・・そこのスープか何かに当たってしまった来るのが遅れたんですよ。」
「・・・・・家の者から聞いていましたが、結構な惨劇だったようですね。」
「シグ、何の話だ?」
と、会話中にウォル太が割り込んで来たので、
「先日、お祭り、あの人の料理。以上。」
「・・・・・オーケー把握。」
よし、黙った。
「で、本題なんですがね。」
「続けて下さい。」
「あなたから貰った装備で、何とか討伐は出来たのですが、その・・・・・。」
「・・・・・手に入らなかったんですか?」
「いえ、私たちの装備が軒並みおしゃかになりまして、新しいのをと。」
・・・・・。
ちょっと頑丈に作りすぎたかな?
ゴーレムの体の破片を受け取りながら、そう思った。
「・・・・・まあ、いいですよ。こちらも目的の品は手に入りましたし、格安でお譲りします。」
「助かります。」
「それと、明日にはお渡しできるかと。」
「随分と早くねえか?」
と、さっきまで黙ってたブルーさんが口を開く(ちなみに構成はと言うとレッド、ブルー、イエローさんは男で残りはグリーンとホワイトで女の人。何でそんな名前の付け方かと具体的に言うと、髪。)。
「ああ、これ仕上げに使う程度なのでお気になさらず。」
「・・・・・なら何で欲しがったんだ・・・・・?」
「実物が見てみたい。それじゃあ駄目ですか?」
「・・・・・いや、まあ・・・・・。」
と、ブルーさんは口をつぐんだ。
まあ、その気になれば一瞬で作れるわけですがね?
ここはある程度常識的見えるように自重するわけですが。
主に人前限定で。
しかし、さっきの轟音は何だろうね?
冒険者さん、思いっ切り顔引き攣ってるし。
「・・・・・とりあえず、用事はそれだけですね。失礼します。」
「はい、またのお越しを。」
と、俺は客を見送った。
「・・・・・なあ。シグ?」
「どうしたよ、ウォルター。」
客も帰った所で、ウォル太が話しかけて来た。
が、心なしか目が泳いでる。
むしろ完璧に目が泳いでる。
「明日渡す装備って、ここにあった奴の事か?」
・・・・・。
壊したな?
ま、壊したところで修理も代わりも以下略なわけですし、少々からかってみようと思います。
「うん、そうだけど?」
「・・・・・ごめん、やっちまったZE☆」
と、本人的にはかわいい顔をしたつもりなのでしょうが、かわいくないです。
そして、被害のほどは・・・・・。
「・・・・・ねえ、何やったら、棚がドミノ倒しになって鎧とかが粉々になるの?」
「素振りしてたらすっぽ抜けた。やっぱ素手だわ。信用できるのは。」
「弁明になってないんだが『何だ!?さっきの音、は・・・・・うちの筋肉馬鹿が申しわけありませんでしたぁぁ!』・・・・・こっちから貰ったしいいか。」
先ほどの音を聞いて降りた来たらしいリンネちゃん、この惨状を見てウォル太くんが何をやったのか即座に察知、そして鮮やかに土下座をかましてくれた。
でも、土下座に俺は空中に前方二回転を加える必要は無いと思うんだが。
それが彼女の誠意の形だと言うのなら受け取るけど。
*****
「・・・・・本当にいいのか?お前はあいつの友人だと聞いているが、恐らく前世と比べ物にならないほど破壊神化しているぞ?」
「・・・・・それでも友人や身内に手を上げるような真似はしてないだろ、あいつ。元からそう言う奴だったし。」
で、先ほど一階であった破壊事件(すぐに元に戻した。二人には物質状態限定の時間逆行装置を使ったと言っておいた。)から少し時間は経ち、夕飯を取っている。
「・・・・・何だろう、こう・・・・・普通においしい料理が食べられるってだけの事なのに涙が止まんねえんだけど。」
「昼に娘の料理食べたからなおさらじゃね?」
「考えたくないことを言うんじゃねえよ、兄ちゃん・・・・・。」
まあ、いつもの食卓に彩りをそえる他三名マイナス1を迎えて食う食事もいいもんである。
「・・・・・ほんとこういうのっていいですよね。・・・・・後、私が喋るの随分久しぶりな気がするんですけど、筆者さん?」
「ユウ、言っても無駄だから。たぶん筆者のアホはお前を背景キャラぐらいにしか考えて無いと思うし。」
「・・・・・それでも言っておかないと、また干されそうですし・・・・・。」
「ユウ、と言ったよな?うちの馬鹿どもを見て不快な気分になったら言ってくれ。懲らしめるから。」
「そんな事無いですよ。とても楽しい方だと思いますよ?」
・・・・・やさしいね、ユウちゃん。
こうでもしないと出番取れないって一体・・・・・。
「・・・・・そう言えば、シグ。うちの馬鹿どもを見ていないか?」
「さあ、さっきまでそこに居たと思うんだけど。スカルは何か知ってる?」
「いや。とくに、は?」
しかし、何でスカル君は俺の足元から声が聞こえるんだろうね?
そんな事を話していると、
「ここのロリィは良いロリィ~。」
などと言いながらウォル太君が入ってきました。
心なしか酔っぱらってる様にも見受けられる。
「才色兼備で乳もでけぇ~。」
おっさんも酔っぱらって何かウォル太君に追従してます。
「「おぉ、ロリィよフォーエバーソーファイン!」」
と、キメポーズを決めてくれた。
それを見たリンネちゃん、テーブルに面っきり顔を打ち付けた後、
「うちの馬鹿どもが何かもう本当にすみません!今すぐ片付けますんで!おい、お前ら!大人しく座ってろ!」
「「・・・・・。」」
と、リンネちゃんが羞恥にまみれながら二人を怒鳴りつける。
が、二人とも酔っぱらっているせいか、据わった目でリンネちゃんを見つめた後、
「うちのロリィはやなロリィ~。」
「心が狭くて乳もねぇ~。」
「「おぉ、ロリィよアイウォントクイックリースーサイドフォーユー!」」
と、部屋から出て行ってしまった。
・・・・・今の言葉から察するに、リンネちゃん早く死ねばいいのにって言われたようです。
「・・・・・貴様ら、調子に乗るなぁぁ!」
と、リンネちゃん怒って飛び出して行ってしまいました。
「まあ、騒がしいって言うのもなかなかいい物だね。」
「・・・・・なあ、シグ?」
「何?俺これからマンガ読むのに忙しいんだけど?」
「・・・・・俺、何時までお前の椅子してなきゃいけないんだ?後、こんな体制が原因で起こった犬食いに関する弁明は?」
とりあえずこの話が終わるまでかな?
と、窓の外で激走大逃亡及び電撃大追跡を見ながらそう思う俺だった。




