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第四十五話 天災料理人の愉快なガーデニング

惨劇の朝食事件から一時間ほど。

体調もある程度回復したので、部屋から出る。


「お、ユウ。お前もういいのか?」

「ハイ・・・・・それにしても、何であの人が・・・・・。」

「ハイドが強引に泊まるように説得してたからな、ったく・・・・・。」


朝の惨劇、元をたどればあいつのせいなんだよな。


「取りあえず、お前は昼飯の安全を残力で死守しろ。俺は店番かあの人を飯から気を逸らす。」

「分かりました。とりあえず、部屋掃除をしつつこの辺りを見張ってますね。」


さて、何して気を逸らすべきか・・・・・。

そう考え、俺は店の方に降りる。


「お?もう体は良いのか?」

「ああ、もう良くなった。で、あの人は?」

「ん?着替えやら何やら取りに行くっていったん戻って行ったけど?」

「・・・・・もうちょっとしたら戻って来るだろ。『今戻りましたよ、ハイドさん。』・・・・・ほらな。」


噂をすれば影、か。


「何を取りに?」

「着替えと・・・・・後は、ちょっとシグさんの庭って花とか何も植えて無いじゃないですか。持って来たんですよ、花を。」

「へぇ・・・・・でも花なんてねぇけど?」

「ああ、もう庭に置いて来たので、後は植えるだけなんですよ。」


手伝ってくださいな、と言葉を続けてきた。

・・・・・これどうにか昼飯時まで引き延ばして、昼飯作りに意識が行かないようにすれば、大丈夫か。


「ああ、分かった。ハイド、店番頼む。」

「了解。」


と、俺とサリアは勝手口から庭に出た。


「・・・・・で、これが・・・・・花?華?ハナ?」

「ええ、私が育ててる花の・・・・・ベンジャミンちゃんです。」

『フシュァァァ・・・・・。』


と彼女が花と言った物は・・・・・。

いや、その、これ、マジ、あの、その・・・・・うん、言おう。

ぶっちゃけさせてもらおう。


「コレ、ハナジャナーイ!」

「まあ、初見は花に見えないかも知れませんが、ベンジャミンちゃんは立派な食虫花ですよ?」


何て言うか、マジあれである。

この花の見た目。

土管から出て来る分類上花・・・・・になるアレそっくりの花が植木鉢に・・・・・五、六個あった。


「取りあえず植えるので、一度鉢から出さないと・・・・・あら?」

「猫か・・・・・。」

「にー。」


と、ふらふらと俺達の近くまで来た。

その時だった。


『シャァァァ!』

「なあ・・・・・さっき食虫花って言ってたよな?」

「ええ、言いましたよ?」

「俺の見間違いじゃ無かったらだけどよ、あの花・・・・・さっき来た猫喰ってるんだけど!?」

「ミィ・・・・・ギャ・・・・・。」

『ゲェェェプ!』


踊り食いの要領で食いやがったよこの危険植物!?

ちょ、マジでこれ植える気!?


「ちょ、あの・・・・・これを本当に植える気か!?」

「はい?可愛いでしょ?」

「いやいやいや!もうちょっと大人しい・・・・・むしろその辺の野草植えるだけでも充分ですから!これ持って帰って下さい!」

「あら・・・・・そうですか・・・・・可愛いんですけどね、ベンジャミンちゃん・・・・・。」


もういいからそのベンジャミン持って帰って下さい!


「仕方ありませんね・・・・・ほら、皆。戻るわよ!」


と手をパンパン、と叩くとベンジャミンたちはボスボスと跳ねながら、彼女の家?に戻って行ったようだ。


「・・・・・花屋行って買いましょう。センスは・・・・・お任せしても?」

「・・・・・はい、せっかくの広い庭なんですから素敵にしませんとね!」


よし、とりあえず昼前まで花屋周辺に居座って・・・・・。


「サリアー。ちょっと小腹が『石でも喰ってろやぁ!』・・・・・おぶぅ!?」


出て来るなアホ!

反射的にその辺の石を顔面に投げてしまったが、別に問題無い・・・・・はず。

シグ(がやった)なら問題無いはずだし。


「先ほど、ハイドさんが『居ない居ない居ない!』・・・・・そうですか?」


取りあえず、この場から連れ出さねば!

で、花屋。


「んー・・・・・。実際に見てみると、迷いますね。おすすめは?」

「そうだねぇ・・・・・。」


うんうん、花屋で気が逸れてる逸れてる。

ユウ、後は頼むぜ。

と、俺は自宅の方から出ているであろう普通の料理の臭いに気を取られていた。

だからだろうか。


「はい、じゃあこれをお願いします。」

「・・・・・ほんとにこれでいいのかい?取りあえず、毎度あり。」

「スカルさん、これにしました。」

「ん、何に・・・・・って!?」


またこの人ベンジャミン?買ってる!?


「今度のはフランクリン君です。可愛いですよね?」

「ああ、でもそれは君の庭に植えた方が良いな。俺らンとこは無難にひまわりとか植えとくから。」

「ひまわりですか・・・・・良いですよね?」

「ああ、まあ・・・・・で、昼飯時だな。そろそろ戻るか。」

「はい、じゃあ戻りましょうか。」


で、戻ったら何とかユウが昼飯を作り終えていた。

た、助かった・・・・・。


「あら、ユウさん。昼ご飯の方私が用意しましたのに・・・・・。」

「い、いえ流石に頼りっぱなしと言うのは・・・・・。」


思いっ切り目が泳ぎまくってるよ、ユウ。

分からんでもないが。

しかし、俺達は勝った!勝ったんだ!

殺人料理なんかに絶対負けたりしない!(キリッ!)


「・・・・・ちょっと味が薄いですね、こちらをかけてはどうでしょうか?」

「「あ。」」


昼飯(しかも全部)に、謎ソースが・・・・・。

殺人料理には、勝てなかったよ・・・・・。

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