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第四十四話 天災料理人の優雅なブランチ

スカル視点です。

俺が朝起きると、テーブルの上に一枚のメモが有った。


『ちょっと出かけて来る。三日ほどしたら戻ってくる。シグ。』


と、そのメモには書かれていた。

・・・・・どこ行ったんだ?あいつは?


「スカルさん、おはようございます。」

「ん?ああ、ユウか。シグなら居ねえけど?ほら、これ。」


と、俺はテーブルのメモをユウに渡した。


「あらら・・・・・どこ行ったんでしょうか?まあ、作る量は変わりませんが。」


まあ、あいつ一人居なくなった所でユウの仕事量はそこまで変化は無い。

ハイドが居なくなったら仕事量は変化するんだろうが。

主に食事量で。


「ごめんくださーい。」

「ん?誰か着来たみたいだな?」

「スカルさん、お願いできます?私洗濯物して来るんで。」

「おう、行って来い。」


と、俺は来客の対応に向かった。

これが悪夢の始まりだったんだよな、よく考えてみれば・・・・・。


「どうも。」

「おはようございます。」


と、あの中華料理店と言う名のイギリス料理店店主に朝の挨拶を交わす。


「朝から早くごめんなさいね、先日ハイドさんがジャムが無くなったっておっしゃってたものですから、持って来たんですよ。」

「・・・・・え・・・・・ああ、ありがとうございます。」


先日持ってきた刺激臭の凄いジャムの様な物をまた持って来たようだ。

しかし、俺は一つ思う事がある。

・・・・・何かパワーアップして無い、それ?

蓋閉じてても、マジ臭いんですが、そのジャム。


「あれ?サリア。何だ、こんな朝早くに?」

「ハイドさん。先日ジャムが無くなったと聞いていたので。後、シグさんはいらっしゃいますか?」

「ああ、ありがとう。シグなら二、三日は戻って来ないみたいだけど?」

「え?そうなんですか?」

「でさ、ちょっと頼みがるんだけどさ、聞いてくんねえかな?」


ハイドの頼みとはこうだ。


1・ご飯作って。

2・ユウの家事の手伝いやってあげて。店番とかもあるだろうから。

3・ついでに泊まってけ。


である。

ちなみにこれ、シグに対しても同じようなことを言っていたが、全力で拒否られている。

理由は言うまでも無い。


「ええ、分かりました。手伝わせていただきますね。」


って!何OK出してんだあんた!?


「いやいやいや、あんたも店あんだろ?そっちがら空きに・・・・・。」

「あまりお客は来ないので、別に臨時休業していても大丈夫ですよ?」


・・・・・はじめて、この人の店が開店休業状態だったことを恨んだことは無い。


「こっちに来る時、ユウさんが洗濯物をしているのを見ていたんで、朝ご飯の方を用意させていただきますね。手作りのパンもご賞味くださいな。」


すみません、ご賞味したくないです。

しかし、朝食は瞬く間に用意され、


「遅くなりました、今か、ら・・・・・ぁぁ!?」


ごめん、ユウ。

おじさん止められなかったよ・・・・・。


「さあ、召し上がってくださいな。」


と、皿に盛られた毒物に俺とユウは対面してしまった。


「よし、んじゃいただきます。」

「「・・・・・いただきます。」」


・・・・・どうしよう。

食指が、まるで動かない。

パンは・・・・・普通そうだが、刺激臭漂う紫とピンクのマーブル状の謎ジャムがすでに塗りたくられている。パス。

で、おかずの方だが、ハム・・・・・かな、これは?さかなの頭がシュールに飛び出してるけど。・・・・・これもパス。

後はスクランブルエッグとサラダなんだが、なぜ。

色が逆なんだよ、おい!?

・・・・・どれ食っても地雷な気がしてならない。

が、食わないとういうのも、アレな気がする。


「・・・・・。」


俺は覚悟を決め、パンにかじりつく。

その瞬間。

口の中で何かが爆ぜた。


「おぶほぉぉぉ!?」


あ・・・・・ありのまま、今起こった事を話すぜ!


『俺はパンを食っていたと思ったらパンが爆発したように感じた後、苦さと辛さ、そして塩辛さにエグ味が一気に襲い掛かって来る位に不味かった。』


な・・・・・何を言っているのか、マジでわからねーと思うが、俺も何を食ったのか一瞬わからなかった。 

本当に頭がどうにかなってしまったと思ってしまった・・・・・ヒロインの失敗料理だとか料理と言う名の物体だとか、そんなギャグ補正全開の取り返しのつく料理とは断じて違う!

もっと恐ろしいものの片鱗をリアルに味あわされたぜ・・・・・。

・・・・・。

ちょっとはネタに走れるから大丈夫。

大丈夫なはず!

顔・・・・・って言うより髪型が元ネタの人っぽい感じになってしまってるけどまだ大丈夫!

しかし・・・・・。


「ごめん何か食欲が・・・・・食ってくれねえか?ハイド・・・・・。」

「私もお願いします・・・・・。」


本能が告げている。

もう食うなと。

それ以上食えば死ぬ、と。


「ん?お前ら朝から元気ないな?ちょっと横になってたらどうだ?」

「「そうします・・・・・。」」


言えない。

あんたの隣の人が原因だとは。


「しゃあねえ、今日は俺が店番やるか。」

「そうですか?じゃあ家事の方は私の方でやらせてもらいますね。」


と、止めないと・・・・・。

でも、気力が・・・・・。


「後でなんか持って行かせようか?」


って、追い打ち要らん!


「・・・・・昼までには復帰できそうだから別にいいわ・・・・・。」


そして、地獄のランチタイムへ続く・・・・・。

この回想は大体四、五話を想定。

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