第二十九話 最終鬼畜弟・収束編
「で、これで何人目だよ・・・・・?」
『今ので都合18人行ったな。』
「何考えてんだ、ハイドの野郎・・・・・。」
『あの状態でまともな考えしてないのは確かだがな。』
と、俺は事態の揉み消しをしつつ、ハイドを追う。
ここまでスプラッターにやりやがって・・・・・。
「あら~?何か大変な事に・・・・・ふべぇ!?」
聞き覚えのあるむかつく声がしたので、瞬間的に相手の頭上から地面の痛烈なディープキスをかます。
ぶっちゃけ後頭部から踏んで地面に叩き付けただけだが。
「現れた所悪いけどあれが何かきりきり説明して貰おうか?」
「・・・・・っぐ・・・・・教えて貰う態度じゃ・・・・・いぢぢぢぢ!痛い!痛いから!?踏む力強めないで!?」
「重ね重ね悪いけど、こっちは気が立ってんだ。あんまふざけた真似するとふんじばってハイドの前に放り出すよ?」
「分かったから!今回ふざけないから!?だから足のけて!?」
ま、このままじゃ話が進まないと思い、足をどけた。
「いたた・・・・・。まさかあの子がキレるなんてねぇ・・・・・。」
「キレたらあんな風になるのか!?」
と、俺はハイドを指差す。
そこには・・・・・。
「ヒャッハァ!シネヤクズゥ!」
「死ぬ!?死ぬ死ぬ死ぬ!?」
「へ?ギャァァァ!?」
と、あいからわず猟奇的に暴れている。
ああ、これで19人・・・・・。
「あんた姉だろ?止め方の一つや二つはあるだろ?」
「あ、ごめん私あの子止められ『は?』・・・・・ゴメンナサイ、スグトメテキマス・・・・・。」
断ろうとしたので人中殴ったら、途端に大人しく言う事を聞いてくれた。
「でも、私あの子生かして止められないのよね、手加減出来ないし、私。」
「出・来・る・だ・ろ?」
「脅されても無理な物は無理!あいつ人間じゃないから常識の範囲内の手加減できないのよ、ほんと。」
「殺すことでしか止められん、ってか?冗談はそのスク水だけにしとけ。」
「良いでしょ?旧式のスク水。」
と、セクシーポーズを取る痛女。
・・・・・無視しよう。
『で、どうすんだ!?このままほっといたらこの国さら地になるぞ!?』
「ああ・・・・・取りあえず、俺等なら死ぬことも無いし止めるぞ?」
「へ?何で私持ち上げてんの?」
「ああ、これからあんた投げるんで。」
と、俺はこいつを投げ、その上に乗ってハイドに突進する。
「見せてやるよ、俺等の合体攻撃!」
「ってこれ、実際攻撃判定私しか無いわよね!?」
『この攻撃ってよ、桃◯白リスペクトか?』
「うん、やって見たかったんだよな、これ。」
「いやぁぁぁ!?」
「ヒャーハハハ!シャラクセェンダヨ!クズガ!」
「「『うわぁぁぁぁ!?』」」
俺達の誇りを満載?した合体攻撃は、あっさり防がれあらぬ方向に吹っ飛ばされた。
「思ったより強えーな。流石に人外ってとこか?」
「あのさ、咄嗟に私をクッションにしたでしょ?」
別に良いだろ?
有り物は使わねば。
でも、どうやって止めるか・・・・・。
「おい、貴様!何をやっている!?」
・・・・・ああ、事態がさらにひどい事に・・・・・。
国家レベルでこの事件隠蔽する羽目になったな、こりゃ・・・・・。
軍隊さん?ひと時ばかりの冥福をお祈りします。
後でちゃんと生き返らせるから死んでちょうだい。
「アン?ナンダヨ、ゴミクズカヨ。テメエラナンニンデテキテモシガイヲサラスダケダゼ?」
「戯けた事を!総員、かかれ!」
ま、結果なんて・・・・・戦闘描写なんて語る必要も無く、
「ぐ・・・・バ、バケモノ・・・・・め・・・・・・。」
「アーア。イッタノニナァ。イウコトキカナイカラコウナルンデスヨ?ヒャハハハハッ!」
物の見事に全滅である。
「流石に人間じゃ止められないのか?よく漫画で神をぶち殺すとかって展開あるってのに・・・・・。」
「あー、そう言うのって、大概敵側の三文芝居ね。万一殺されてもその日のうちに復活とかできるでしょうし。」
「勇者とかって、遊ばれてんだな・・・・・。」
「人間なんて世界に遊ばれてなんぼの物よ?要は楽しめてたら良いの。戦争にしろ学園物にしろ。」
「もうこうなったら、ハイドが止まるまでほっとくか?」
「よねぇ・・・・・。ま、この出来事が無かったことにする位なら手伝ってあげるわ。身内の起こした問題だし。」
『お前等止められないと分かった途端にハイドで楽しみ始めやがったな・・・・・。』
「「うるさい。」」
と、もう何かチンピラ君への制裁よりもその辺へのジェノサイドに切り替わってるんじゃないかと疑いたくなる光景である。
で、そこの予想外の乱入者。
「あ、あの人って・・・・・。」
「知ってるの?」
「多分ハイドがキレた原因に関わってる人だと思う。」
それにしてもあの人、何であんなところに・・・・・って!?
『あの人ハイドに近づいてるぞ!?』
「あの人死なないかしら・・・・・?」
「取りあえず事後処理に回ればいいと思うぞ。だから様子見。」
と、てくてくハイドに向かって歩いてくな、あの人。
「・・・・・。」
「・・・・・ヒャハ?」
「ハイドさん、おいたが過ぎます、よ!」
「・・・・・ほぎゃぁ!?」
と、フライパンでいきなりハイドの頭をぶん殴った。
後、気絶するときに口調が元に戻ったな。
「・・・・・。」
「「あ、やっと止まった。」」
ま、止まった事だし、近づく。
ハイドは突っ伏したまま動かないが。
「あら、シグさんと・・・・・メリッサさんでしたっけ?」
「ああ、私はレベッカ・コールバーグ『もうお前黙ってろ。』・・・・・良いじゃないの。」
「でも、良く止められたな、コレ。」
「ええ、実力は、同じくらいでしたから・・・・・正気を失ってらしたようですし、割合簡単でした。」
と、フライパンを持ちつつにこやかな顔で、そう言った。
「・・・・・ってか、あんたもこっち側か。」
「ええ、そうです。」
「そのフライパンが・・・・・。」
「そうですよ?」
はぁ、ともかく事態収束。
「また何かお困りでしたら、お気軽にどうぞ。」
「そう言えば、名前を聞いていないのでお聞かせ貰っても?」
「ああ、はい。サリア・アーチボルトです。それでは。」
と、自分の家に戻って行ったようだ。
「はぁ、これどうすんのよ・・・・・。」
「時間止めて対処する。・・・・・でも、これ全部揉み消せるのか・・・・・?」
*****
で、翌日。
「ふぁぁぁ・・・・・。おはよう。」
「・・・・・ハイド。」
「何だ?」
「昨日。」
「昨日?どうかしたのか?」
「何やってたんだ?」
「え?昨日・・・・・?アレ?昨日の記憶がすっぽり抜けてるんだけど、何かあったのか?」
『何も覚えてねーのか?』
「ああ、店戻ってどっか行こうって思ってから何も覚えてねーんだよ。」
「何かあったんですか?」
「いや、何でもない。」
と、俺は新聞を床に投げ捨てた。
そこには、
『怪異!夜を駆ける鋸男!』
と題された一面記事が載っていた。
ちゃんともみ消したはずなのだが・・・・・。
まあ、こいつが犯人だって繋がらなきゃ良いか。




