第二十八話 最終鬼畜弟・暴走編
「それにしても、店閉める直前で助かったな。」
「はい、良かったです。」
あの後、帰り道で偶然開いてた店があってユウがあわてて店内に入って無理矢理買ってきた・・・・・何か店の人も慣れてる感じだったが。
「ただいまー。誰も居ないけどな。で、ちょっと俺出て来るから。」
「ハイド?どっか行くのか?もうこんな時間だぞ?」
「ああ、ちょっとな。」
と、ハイドは店に帰って来るなり出て行ってしまった。
「どうしたんでしょうか?ハイドさん・・・・・?」
「忘れ物か何かじゃねえか?スカルとか?」
『いや、俺はここに居るぞ?』
「ま、いいや。ユウ、お風呂お願い。」
「はい~。二十分ほど待っててくださいね~。」
と、まあ俺はユウに風呂のお願いをします。
「さて、と。」
『ん?何かやるのか?』
「ああ、あいつが居ないうちに・・・・・。」
『居ないうちに?』
「突撃!隣のハイドの部屋!を敢行する。」
『ヨネ◯ケか?そのノリ?』
うん、大体あってる。
ま、そんなわけで、ハイドの部屋・・・・・。
『鍵掛かってるみたいだな?』
「有っても無いみたいなものだけどな。さて、侵入。」
と、俺は力づくで扉を開け(扉が壊れて取れたけど気にしない。)、中に入ると、
「おお、思春期特有の部屋・・・・・って感じなのか?この部屋。」
『壁にポスター、部屋中に散らばる雑誌とスナックの空き袋・・・・・ただ汚ねーだけじゃねーの?』
「そこに趣き感じてくんねーか?・・・・・ん?」
ふと、外から物凄い音がした。
後、悲鳴も。
「何だ?」
俺は窓を開けて外を確認する。
数秒後、何故か遠くの家の壁が爆ぜた。
で、土煙の中に、先ほどのチンピラボーイと・・・・・。
「何でハイドがあそこに・・・・・。」
『何か死に物狂いで逃げてねーか?あのチンピラ。』
「そりゃチェーンソー振り回されて追いかけられたら逃げるしか・・・・・って!?おい!?」
『アイツ一般人?をぶった斬りやがった!』
チンピラが避けた拍子に固まっていた一般人を腹を横に真っ二つにして・・・・・。
止めとこ。
これ以上の描写は。
「おいおい・・・・・何かもう数人ぶっ殺して・・・・・『過去視』・・・・・もう二桁犠牲者出てんじゃねーか・・・・・。」
『とにかくアイツ止めねぇと色々やべぇぞ!?』
「分かってる!」
と言って俺はスカルを外し、ハイドの眉間に向かって投げつける。
『せめて断ってから投げろよぉぉぉ・・・・・。』
ドップラー効果でスカルの声が変に聞こえたが、それはほっといてここで本命の高電圧鉄球をスカルの陰に入るように投げる。
所謂スリップストリームだかを利用して速度を落とさないようにした一撃。
フェイントも兼ねてるので確実に当たる!
「あ、弾かれた。」
当たると思ってた攻撃はチェーンソーによって弾かれ、スカルと鉄球は明後日の方向に飛んでいった。
その拍子に通行人の首と体がサヨナラである。
・・・・・今は、あいつ止めるより事態の揉み消しに回ろう。
蘇生して記憶消去の処理、大変だろうな。
「ユウ~ちょっと俺出て来るから~。」
「え?はい?」
あーあ。今日ちゃんと睡眠時間確保できるかなぁ・・・・・?
*****
ちょっと時間をさかのぼろう。
もっともこれは、俺が過去視を行って見てる光景なので、そいつらの心境が分からないのが辛い所だ。
で、現在ハイドが店から出て、どっかに行ってる所のようだ。
恐らく先ほどの出来事からしてチンピラの家に行くようだが、場所分かってるんだろーか?
分かってるんだろうけど。
で、どっかの家に到着。
「お届け物でーす。」
と、ハイド君、チェーンソーを担ぎながらドアをノックする。
何を届けに来たんだろうね。
死を届けに来たわけでは無い事を祈るが・・・・・。
ま、無理か。
もう死人出てるし。
「はい?って、さっきの兄ちゃんか。何の用だ?」
「ああ、届も、ん!」
と、思いっ切りチェーンソーをチンピラめがけて振り下ろした。
おい!死ぬぞ!?
「うわぁ!?何しやがる!?」
「・・・・・。」
「おい!何か言いやがれ!?」
「・・・・・シネ。」
「は?」
「・・・・・シネ。シネシネシネシネェェェ!ククク・・・・・キヒヒ・・・・・ヒャァッハハハハハァッッ!」
ちょ、ハイド!?
何か壊れたように笑い出し、チェーンソーを再び振り回し始めた。
「ヒッ!?ヒィィ!?こ、殺されるぅぅぅ!?」
「ニガスカヨォ、オイ!シネヨ、ナァ、オイ!キヒ、キヒヒヒヒ!」
と、外に逃げ出したチンピラ君を壊れた笑みを浮かべ、高笑いをあげながら追いかける。
「どけ!?どいてくれ!?」
「え?ちょ、ぎゃぁぁぁ!?」
チンピラ君が逃げ回り、そのたびに通行人が犠牲になって行く。
あーあ。凄い事になってるよまったく・・・・・。
で、この辺りであの俺がスカルと、電気鉄球を投げた所に繋がるわけなんだけど、
「ヒャッハァ!ジャマダ!」
『ほげぇぇぇ!?』
結果は知っての通りだろう。
落雷と同レベルの鉄球も大して意味なかったし。
・・・・・。
止めれるの?これ。




