19.評判の悪い政治家
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
山並郁夫とは、俺のこと。
俺は、『殺しの請負人』、いや『殺し屋』になる筈だった。
長い間、あちこちに『傭兵』で参加していた俺は、あるコミックを読んで『殺し屋』になることにした。
ところが、人生、思ったようにはいかない。
だが、「闇サイトハンター」になって、俺は変わった。
「影の正義の味方」になるのだ。
大文字伝子様の為に。
闇サイトは、ある程度時間開いて、閉じる。まるでモグラのように。
それに、「年中暇な」若者が引っかかる。まるで「疑似餌」に魚が飛びつくように。
超一流ハッカーの俺は、その「開いて閉じる」サイトの様子を記録するシステムを開発した。年中24時間見張っている訳にはいかないからだ。
俺は、肝を冷やした。
闇サイトで『汝の隣人を殺めたまえ。』ってのがまた出た時から、嫌な予感がした。
今度は、誰がターゲットだ?
あ。政治家か。「隣人」じゃないけどな。結局、殺したいと願っている人間は星の数ほどいる。しかも、大勢が殺したいと願っている相手は両手両脚の指の数では足りない。
表現があっているかどうかは分からないが、政治家って、『濡れ手に粟』の商売だ。
なってしまえば、こっちのもの。あれほど「米つきバッタ」してたのに「先生」になったら途端に態度がビッグ。
この間行ったスーパーでも、レジ前に並んでいたおばちゃんがいきなり、「あんたもそう思うでしょ?」と振ってきた。反対側に並んでいるおばちゃんと話していたが、そのおばちゃんが『精算フェーズ』に入って暇になったかな?幸い「主婦の愚痴」は、何気なく聞いていた。
「え?ああ・・・そう、ですね。」俺は曖昧な返事をするしか無かった。
帰宅した後、義姉に尋ねてみた。かなり評判の悪い政治家が浮かんできた。
情報はありがたいが、義姉は電話越しに誘ってきた。
「今夜は来てくれるのよね、慰めに。わたし、この頃疼いて・・。」
俺は皆まで言わせず、「あ。ゴメン。宅配便来たみたい。じゃね。」と、切った。
義姉は「盛りの付いた猫」を隠さない。
気持ちは充分分かるが、義姉を危険な目に遭わしたくない。
午前2時。
「この先、通行止めですよ。水道工事。」看板を指さす俺に従って、自動車は去って行った。
パトカーのサイレンが近づいてきた。
どうなっても知らないからな。市民を守るのが俺の仕事じゃない。
大文字伝子様を守るのが俺の死命だ。
帰宅すると、また闇サイト探しをした。
どうやら、政治家を殺そうとした奴は「麻薬所持」で捕まったらしい。
間抜けな奴だ。
―完―