17.深夜のファミレス
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
山並郁夫とは、俺のこと。
俺は、『殺しの請負人』、いや『殺し屋』になる筈だった。
長い間、あちこちに『傭兵』で参加していた俺は、あるコミックを読んで『殺し屋』になることにした。
ところが、人生、思ったようにはいかない。
だが、「闇サイトハンター」になって、俺は変わった。
「影の正義の味方」になるのだ。
大文字伝子様の為に。
闇サイトは、ある程度時間開いて、閉じる。まるでモグラのように。
それに、「年中暇な」若者が引っかかる。まるで「疑似餌」に魚が飛びつくように。
超一流ハッカーの俺は、その「開いて閉じる」サイトの様子を記録するシステムを開発した。年中24時間見張っている訳にはいかないからだ。
俺は、義理の姉に、『暇つぶし』で立ち寄っていたが、やはり当面『距離』を置くことにした。
何かの拍子に義姉との関係がばれれば、間違いなく『人質』にされてしまう。
義姉は、大金持ちの男と結婚した。
風俗に働いていて、知り合ったのだ。
だから、義姉は処女ではない。
だが、悪漢・・・は、古いか。悪い奴に捕まったら、何をされるか分からない。
腹違いとは言え、唯一の身内なのだ。
ぼうっとしていると、頼んだパフェが目の前に来た。
「お客さん、そのパフェ、好きですね。いつも、それ。」「うん、あんたを口説こうと思ってね。」「高くつくわよ。」
ウェイトレスは意味ありげに言って、去って行った。
PCを卓上コンセントに繋ぎ、店のWi-Fiを通じて、システムからのアラーム通知メールが来ていないかどうかをチェックしてから、PCを閉じた。
トイレに行き、何か違和感を覚えた。
個室?ずるずるっという音がした。
俺は、得意の懸垂で中を覗き込んだ。
あのウェイトレスだ。
勿体ないことをした。
口説いて「一戦」交えておくべきだった。
俺は、厨房に入っていった。
調理係が倒れていた。
息はあるようだった。
店の公衆電話で、110番をし、事情を話した。
ウェイトレスは死んでいた。
厨房担当者は虫の息だった。
参考人という事で、俺はバイクと共に警察署に行った。
名刺を見ながら、刑事は言った。
「興信所の下請け?どんな事するんです?」
「書類の作成です。調査員は出歩く分、報告書作る時間があまりないんです。」
報告書の下請けをしていることは事実だった。
だが、刑事に俺のペースが分かる筈も無い。
今、抱えているのは、年度終わり近くに『青色申告』する為のものだ。
急ぐものでもない。
怪しまれたが、新しいアジトの住所が名刺には書かれてある。
俺は潔白だ。
取り敢えず「証拠不充分」で開放された。
本受けの会社に確認を取ったに違い無い。
本受けの興信所は、俺の幼なじみが経営している。
興信所調査員は師匠に破門されたが、幼なじみと、また興信所と繋がりが持てた。
下請けの仕事は、基本的にロハ、つまり、タダだ。
「お前、本当に殺ったりしてないだろうな?」
「してたら、まずゲロってるよ、お前に。」
「ならいい。」
3日後。刑事から連絡が来た。
詳細は教えてくれないが、回復した店長から『無理心中』を計ったと聞き出せた、と言っていた。
手を出さずに正解だった。
そして、自分自身に誓った。
2度と、『深夜のファミレス』には近寄らないと。
―完―