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彼女は何も悪くない

作者: 汐見かわ


 私、面倒くさがりな人でして。

 ドアtoドアで最短距離で移動するのを良しとしています。

 なので、乗る電車の車両もだいたいいつも同じですし、良く使う駅のエスカレーターの位置とか把握しているわけです。(いくつか迷路のような不可思議な駅もありますが、それはまた別の機会に) したがって、駅のホームで乗る電車を待つ立ち位置もだいたいいつも同じなわけです。


 そうすると、いつも決まった時間の電車の決まった車両の決まったドアから乗るわけですが、今月中旬くらいから私と同じような感覚っぽい女性がいるのに気が付いたのですよね。


 私がいつも立っているホームの位置に毎回いるのですよ。その女性が。全く同じ場所にいつもいらっしゃるのですよ。

 もう、反射的にその場所に行くように私の体はインプットされていますので、乗り換え時にそのホームに行くと「あ……」と思うわけです。ここ最近、毎回。


 えー、今まで見たことのない方だけど……私の方がその場所に立ってる歴はずいぶん長いんだけどなーと思いつつ、毎朝同じホームの位置で見掛けるので何となく私が一方的に遠慮して、いつもの定位置から離れて立つのでした。だって相手の女性も私のことを認識していたらちょっと気恥ずかしいじゃないですかー

 いつもいるなあいつ……って、思われていたら気まずいじゃないですかー


 別に誰がどこで電車を待とうが何だって良いのですけども。ほんの少しもやもやしているのでした。心が狭いのかもしれない。


 これを機に健康の為、あえて遠回りする駅構内ルートに変えようかなーいや、でも朝って一刻も早く最短ルートで到着したいじゃないですかー

 そうだよ。電車遅延の危険もあるわけですし。そんな遠回りだなんて朝からやってられないよなーうん、そうだそうだ。

 そんな余裕ない。いっつもギリギリまで寝てるんだから。

 睡眠大事。そう! 睡眠は大事だ! うだうだうだうだ……


 よし、やめた。

 今後もドアtoドア最短ルートで進撃する。

 でも、いつもの定位置は彼女に譲ろうじゃないか。

 これが大人の度量ってもんよ。

 度量だけどさ…いつもの定位置がーああ……


 そして今日もいつものエスカレーターを上り、いつものホームへ向かうと先に立っていました。彼女がやっぱりいる。 ネイビーのパンツに白いブラウス。えー、私と洋服被ってるじゃん。気まずいにも程があるよ。

 いつものように、定位置から少しずれて電車をち彼女の方に視線を向けると……

 あれ? あの顔、私じゃない?




2021年6月作成。

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