9話
「流石にこれは…高いですよね?」
「よく分かってるじゃないか。でもお前その腰に下げてるダガーは武器屋のおっさんからもらったんだろう?」
「ええ、まぁ…」
「それじゃあいつが見惚れたやつってことだ。今日休みなのが気になるが、あいつが気に入ったんなら渡さねぇ理由が
ねぇ」
「え?いいんですか?」
「もちろん。一度きりの人生楽しめよ」
「お姉さんありがとうございます!」
「お姉さん…?」
「え…」
「ったく嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか!これもついでだ!持ってけ!」
「えっと…これは…」
「異次元袋。今嬢ちゃんが持ってる異次元カバンの改良版だよ。容量はざっとカバンの100倍くらいか」
「え…」
「ま、私にはもう必要ないからね。大切に使ってくれよ」
「こんな小さな袋にこのカバンの100倍…?」
「それじゃ、また何かあったら来てくれよな」
「何から何までありがとうございます!」
「いいってことよ!また元気な姿を見せてくれ!」
「失礼します!」
―
「異次元袋を取られたら困るからカバンの中に入れておこう」
図書館にあった書物に異次元袋のことが書いてあった。
唯一異次元袋を手に入れたパーティーは…。
―
「そろそろ帰ろうかな」
「お嬢ちゃん!やっと見つけた!」
「あれ?武器屋のおじさん」
「やっと見つけた。どこにもいないからもうこの街出ちまったと思ってたんだが、帰り道に会うなんて運があるぜ」
「えっと…何かありました?」
「いやよ…妻にも倅にももっといいもん渡せよって…いや、俺も渡したかったんだがな。これ」
「これって…ありがとうございます」ダガーをカバンにしまい。長剣を帯刀する。