お茶の席にゃ赤い野点傘が必需品さぁ!
友達を家に招くんは、楽しいけど緊張するねぇ。
今日は午後からお茶会さぁ、頑張って準備しないとなぁ。
「お嬢様!なんで地面に布なんて敷いているんですか?しかもこんな真っ赤なビーチパラソルまで…芝生に穴が開いているじゃありませんか。」
家の庭で準備をする私に、おときさんが慌ててやってきた。
「お茶会の必需品だらぁ?」
私のイメージするお茶会さ、赤い緋毛氈と赤い野点傘でお抹茶を立てるのさぁ。
茶器さないから、お抹茶は無理だけんども。
「なりません!王太子殿下を地面に座らせるおつもりですか?」
ズポッと傘を引き抜いて鬼の形相をするおときさんは怖ぇだぁ。
「駄目かぁ?」
「なりません。」
駄目かぁ。
おときさんが言うならしょんない。
片付けるとするさぁ。
「本日は立食式のお茶会です。この赤い布とビーチパラソルをお使いになるのなら、もっと隅に。背もたれのないベンチに被せてお座りになられたい方の為の席としましょう。」
そう言っておときさんが用意してくれたんは床几台。それに赤い布を被せて、横にゃ野点傘。
「おときさん、ありがとうなぁ。」
おときさんは優しいさぁ。
私が最初に赤い布を敷いてた場所に、ばかでかいテーブルさ置いて、い〜っぱいの料理とお茶菓子を並べただぁ。
んで、この間蚤の市でナザル坊に買ってもらった急須と湯呑みでお茶さ入れるんだぁ。
今日はナザル坊とセッちゃんとアリアちゃん、それに王子様と王子様の曾祖父でもあるしんさんが来るさぁ。
「お嬢様、お茶会が始まりましたら、ニコラス様が旦那様と奥様に代わり挨拶に来られると仰っていました。」
「兄さんがか?」
ニコラス様ってのは、カルディナの兄なんだぁ。
カルディナの家は今カルディナが暮らしているこの家の他にうんと遠くにもう1軒家があって、カルディナの両親は1年の半分さそっちで暮らしてる。
カルディナがちっさい頃暮らしてたのも、ナザル坊と出会ったのも、両親が暮らしてる家の方さぁ。
「兄さんが来るならナザル坊は喜ぶっしょ。」
ナザル坊はカルディナの兄さんが好きなんだぁ。
口調なんかも兄さんの真似してて、見てるとほっこりするさぁ。
「では、そろそろ身支度を整えるお時間です。部屋に戻ってお着替えしましょう。そんな野暮ったい服ではなく、綺麗なドレスにしましょうね。」
私が着替え終えた位にナザル坊がやってきた。
「カルディナ…こ、これを。」
「ん?私にか?ありがとう。」
一番乗りでお茶会の会場さやってきたナザル坊。手には箱がある。
ナザル坊の手の上で開けてみると、空色の石の綺麗な首飾りがあった。
「うわぁ、綺麗だぁ。」
今日は細いチェーンの首飾りさしてるけん、ナザル坊からの首飾りにするさぁ!
「べ、別に他意はないからな!お前に似合いそうだと思っただけだ。」
「鯛?」
今日のお茶会に鯛はないなぁ。
「他意はない!」
うん、確かに鯛はないなぁ。
細いチェーンの首飾りを料理の乗った机のこばっちょさ置いて、ナザル坊からもらった首飾りを手に取る。
「オレがやる。」
私の手から首飾りを抜き取ったナザル坊は、私の背後に回って首飾りを付けてくれた。
「ありがとう。」
ナザル坊にお礼を言うと、いつの間にかナザル坊の後ろにいたおときさんが鏡を見せてくれたけん。
空色の石がきらっきらしてるさぁ。
「ナザル坊、どうだぁ?似合うっしょ?」
ナザル坊は私の事をよぅわかっとるからなぁ、似合うに決まってるらぁ。
「あぁ、か、かか可愛い…と、思われる。」
「だらぁ?」
きらっきらした飾りは大好きだもん、嬉しいさぁ。
「お嬢様、他の皆様もご到着なさいました。お出迎えをお願いします。」
おときさんがそう言うと、ナザル坊がスッと私に手を差し出してきた。
「エスケープしてくれるんかぁ?」
「エスコートだ。」
あれ?違っただか?
「エスケープでもエスコートでも対して変わらないっしょ?どっちでも良いけん。」
「お前なぁ。」
ナザル坊の手のひらに手を重ねると、私の間違いに呆れながらもナザル坊はエスケープしてくれる。
「お茶会の始まりだぁ!行くさぁ!」
今日は私のお茶会さぁ!!
方言の勉強してたら、日常生活で訛ってるって言われるようになりました(笑)