それは俗にデートと言います byおときさん
お出かけ準備編(笑)
今日はナザル坊と新しい湯呑みを買いに行くと約束した日だぁ。
お気に入りの帽子とポシェットを持って行くさぁ!
「お嬢様!そのような服装で外に出るのは、例えナザル様がお許しになられても、このトーキンが許しません!!」
私の専属の家政婦さんであるおときさんが悲鳴に近い声を上げた。
「なして許さんさぁ?花柄のシャツが可愛いらぁ?」
「まったく、お嬢様のセンスときたら、どこの年寄りですか?」
「ここの年寄りさぁ!」
おときさんは根は良い家政婦さんだけん、口煩いさぁ。
「こんなピチピチお肌のおばあちゃんがどこにいるんですか!!そんな枯れ葉みたいな色の野暮ったいズボンなんて履いてたらナザル様が何と言うか。このトーキンがご用意した服にお着替え下さい!」
おときさんが用意した服は、綺麗な空色のワンピースさぁ。
「ナザル坊と近所に買い物に行くだけさぁ!私はこの服が好きなんだぁ。この服で行くさぁ!!」
「なりません!!ご近所にお買い物に行くとは言え、ご婚約者様とお2人で出掛けるのは、それは俗に言うデートにございます。ナザル様に恥をかかせるわけにはいきません!」
「ナザル坊に…恥?」
「はい。今のお姿のままお出かけななられたら、間違いなくナザル様の恥になります。」
おときさんがそこまで言うほど、私の格好はおかしいのねぇ。
「着替えた方が良かと?」
「もちろんです。そのままのお姿では外に出せません!お嬢様の若さが泣きます。」
おときさんの迫力がえらい恐ろしぃくて敵わん。
そこまで言われちゃ、着替えるしかないさぁ。
「帽子とポシェットは?」
お気に入りだけん。
「ポシェットのみ許可します。」
「はぁい、わかったさぁ。」
白い大きなリボンの付いたポシェットだけは許されたけぇ。
おときさんの用意した服に着替えると、待ち構えていたおときさんに髪を結い上げられたさぁ。
「髪はポニーテールにして、お嬢様のお好きな花柄で飾りましょうね。」
目の前の鏡に映るカルディナは、やっぱりウメとは違う。ウメに似合う服はカルディナには似合わんって事さね。
今回ばかりはおときさんがただしいのかのぅ?
ーーコンコンーー
ノックの音さした。
「カルディナ、開けても良いか?」
ナザル坊の声だぁ。
「ヘアメイクもばっちり終わりましたよ。」
おときさんがコソっと囁く。
「開けても良いさぁ。」
私の声にドアさ開くと、真っ赤な薔薇の花束を持った、白い背広のカチッとした姿のナザル坊がそこにいた。
「カ…!!」
部屋に入る事なく立ち尽くすナザル坊。
「いらっしゃい。どうしただ?部屋にお入り?」
声をかけても動かないナザル坊に、おときさんがやってやったさぁ!と言わんばかりの達成感溢れた笑顔で笑っている。
「それではお嬢様、私はここで失礼致しますね。ナザル様、お嬢様をよろしくお願いします。」
一礼して部屋を出て行くおときさんは、ナザル坊の横さ通り過ぎると、親指をビシッと立てて出ていった。
「ナザル坊?」
それでも動かないナザル坊。
「あっ、あぁ…と、これ!やる!!」
不意に動き出したナザル坊に、良い香りの薔薇さもらっただぁ。
「綺麗な薔薇だぁ。ありがとうね。おときさんに部屋さ飾ってもらうさぁ。」
花束をもらうのはぁ、何歳になっても嬉しいもんさぁ!
私の部屋の台所にある洗い桶に水さ張って、薔薇を入れておく。
きっと私達が部屋を出たらおときさんがちゃんと飾ってくれるさぁ!
「じゃ、湯呑みさ買いに行くさぁ!」
いざ出発だぁ。
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