表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(旧)4000兆回目の転生日記  作者: ゆるん
一冊目 〈迷宮姫の覚醒〉
7/71

6ページ,勇者という存在

───冒険者ギルド退出後、夕方───


 いやーちょっと冷や汗掻いた。

 でもこれでよし。これでなんとかクエストが受けられる。


 ほんのすこしだけ文句を言うならパーティーを組まなきゃよかったことだけだ。

 でも、そのパーティーメンバーも強いやつだ。

 足手まといにはならないだろう。


 そういえば、ギルドマスターってあの王様と少し似てたな。


 ……にしても、勢いで冒険者ギルドをでてしまったが、この後なにをするか決めてなかった。


 ……そうだな。もっと詳しくこの都市を観光するか。


 そう考えが付き、この都市を観光した。


 立て並ぶビルみたいな建物。宙に浮いている公園。一定間隔に空いて植えてある木々。そして、随分と楽しそうな人々。こう見てみると、まるで自分も笑顔になってしまう。


 でも、そんな都市の中に一際目立つものがある。あの山だ。都市の端っこに位置する場所にあるあの山。


 あの山に近づいて歩いてみると、その山に祈る奴がチラチラいる。

 その人たちの服装も見てみてもどうやら、信徒みたいだ。あの山が御神体なのか?


 気になったので、『転移(レザス)』の魔法を使い、山へ移動する。

 白い淡い光が自分の周りを包み、景色のいい場所へ転移する。


 転移すると、そこには横たわって、景色を眺めている人がいた。


 俺は黙ってそいつの横に座った。改めて景色を見ると、やっぱりいい景色だ。


 俺は横にいるソイツに話しかけた。


「この景色が好きなのか?」

「ああ。なんだかここは妙に惹かれるんだ」


 俺も分かる気がする。


「奇遇だな」

 相槌を打つ。

「もしかして君も?」


 相手は背的に十代なのに上から目線に話を言う。


「なんだかこの景色に目が惹かれてな」

「不思議だよね」



 この間。コイツと俺は初対面だ。

「名前は?」

「ケーラ。苗字はないよ」

「そうか」


 ということはスラム生まれか。

 平民や貴族、王族などは全員苗字を持つ。だが、スラム生まれは別だ。スラムは苗字を捨てるという独自の風習をもつ。


 だが、何故か不思議だ。

 スラムは通常、金がない奴が行く。だがこいつは見てみるにだいぶ、力をもっている。

 コイツなら冒険者などで食っていけるだろう。まあ、金に興味がないのならこうなるがな。


「君の名前は?」

「……今はラグエズと呼んでくれ」


 ここで偽名を使った理由は俺はケーラが信用に値しないからだ。コイツとは妙に気が合う。だが、それもなにか催眠系の聖魔法やスキルを使っている可能性がある。


 探りをいれてみよう。


「ここでなにをやっていた?」

「ただ景色を見てただけだよ」

「ほんとにか?」


 こいつが、なにかを隠してるような。そんな気がする。〈スキル〉を使って何をするのか分からせればいいが、少々俺的にはそういう暴き方は苦手だ。


「探ってるみたいだね」

「当たり前だ」

「そのスキルを使えばいいんじゃない?」


 ……驚いた。まさか俺のステータスを見れるなんて。


 いや、でも見えるのは断面的なものだろう。俺が一番隠していることは隠しきっているはずだ。


 ……もういいか。さっさと〈スキル〉で覗こう。


 そして俺は、〈スキル〉を発動させる。

 ケーラの力もスキルもどちらも規格外だったが、それを裏付けるものを見つけた。


[クラス]勇者


 [クラス]というのは生き物の位のことだ。生き物に食物繊維のピラミッド構図があるように種の一つ一つにも[クラス]といわれるピラミッドの構図がある。そして人族という一つのピラミッド構図で一番上なのが、勇者なのである。ピラミッド構図が上であればあるほど、ステータスは一般よりも大きい。


 そして、《勇者》は、魔族の一番上のクラス、《魔王》と同じ千年に一回現れる逸材だ。そのため普段は国を挙げて勇者を支援するはずなんだが。はたして。


「お前はこれを知っていたのか?」

「君には何が見えたんだい?」


 なにも知らないのか?

 だとしたらありのままのことを伝えるとしよう。


「お前の[クラス]が勇者だった」


 俺がそういうとケーラは目を真ん丸にした。しかしどこか納得したような顔をした。


「そういうことか」

「なにがだ?」


 純粋な疑問をぶつける。


「僕は、君の知っている通りスラムにいちゃいけないぐらいの力をもっている。だが、僕はスラム出身だから教会にもいってない。だからステータスを確認するなんて、できないんだよ。しかも僕はめんどくさがりだ。目立つなんてことはできない。昔から、この力のことは知ってたんだけどね……まさか勇者だなんて」


 教会はステータスを開示させてくれる場所だ。でも正直、俺はあの場所が嫌いだ。

 あそこは、全部、プラス思考すぎる。神の思し召し、神の思し召しうるせえんだよ。神はそんなに都合がよくない。


 だがまあ、あいつらの信仰している、神?は嫌いじゃない。

 しかしやっぱりあいつらのやり方は気に入らない。


「どうやらその口ぶりだと勇者だと知らなかったみたいだな」

「もちろんさ。そんな凄い人だなんて」

「っは。自画自賛かよ」

「ふふっ」

「ははっ」


 気づけば辺りは黄金色に染まっていた。こういう景色も悪くない。

「そら。もう、日が暮れてきた。お前もそろそろスラムに戻ったらどうだ?」

「そうするよ。……ねえ」


 ケーラがなにか尋ねてきた。


「なんだ?」

「明日は用事があって無理だけど、明後日、またここにこれる?君と一度戦ってみたいんだ」

「奇遇だな。俺も明日、用事があるんだ。だが明後日はフリーだ。戦うとするか」


 ケーラはニコッと笑い、俺も笑顔で返したつもりだ。だが、笑えているのかよく分からない。

 俺は立ち上がり、ケーラも立ち上がった。


「『転移(レザス)』は知ってるか?」

「ラグエズがここに来た時に使ってた聖法だよね。さっき見たから使えるよ」


 見ただけで聖法を覚えるのか。なかなかだな。


「じゃあ帰れるな?使ってみろ」

「うん。わかった。そのまま帰っていいかな?」


転移(レザス)』の聖法陣を描きながら言う。


「もちろんだ。じゃあな」

「うん。じゃあね」


転移(レザス)』の聖法陣が描き終わり、聖力を流し込むと聖法陣が展開され、ケーラは転移された。


 聖魔力探知をみても、ちゃんとスラムに行ったようだ。

 なかなか凄いやつだった。流石は勇者といったところか。


 さて、俺は野宿でもするか。

 ちゃんとテントも用意する。


聖魔力食物(カベレズダラ)』で食べ物をだし、


「《トアノレス》〚複製〛〚天都(テント)状態〛」


 といい、テントをだす。さて、今日はここで一晩を過ごすとするか。

 もちろん体洗いとかはトアノレスの服だから不要だ。


 俺の体的に食料もいらないけど食は楽しみたいじゃん?


 俺は全てを済ましたあと、今日一日を振り返り、綺麗な星を眺めてから寝た。

 ───明日はちょっとだけ楽しみだ。───

一章が終わったらちょっとだけ休載しようかな

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ