13ページ,日本からの転移
───3間前、<均衡世界>第62回生アクトロノス、トーレス銀河の662星目、アース52───
私達は、この幸還高校に通っていた。今は、朝の休み時間。
「あっ香穂里っち~、ちょっとこっち来て~?」
私の名前を呼ぶ声が、私の耳朶にまで届き私は声音の音源へ顔を向ける。そこには、中学校からの付き合いである茶髪気味の女の子がいる。
「おはよう、知尋。どうしたの?」
知尋のそばに近寄り、まずは挨拶を始める。
知尋の周りには沢山の人が居て、そこには男子も大量にいた。知尋は困ったような顔をして私に告げる。
「香穂里っち?なんか教室のドア開かないんだけど。最後に教室のドア開けたの香穂里っちだよね?なんかおかしくなかった?」
知尋が言うように、私は、この教室に入るためにこのドアを開けた。しかし、なんら違和感がなかった為に、ありのままの意見を知尋に伝える。
「うん、そうだけど。どうして開かないんだろう?」
そう言って、ドアを開けようとする。が、鍵が閉まっているという次元では無かった。ピクリとも動かない。
「ね?動かないでしょ?」
知尋が私の顔を覗き込みながら尋ねてくる。私もその問いに首肯で答えた。
「こっちの扉も開かないぞー!」
違う一方の扉にて祐亮が、声を荒げながら扉を開ける仕草をしているが、扉が開く気配が無い。
「どうしたんだろうね~」
頭の上に?を浮かべてどうしようか迷う。皆も混乱している。窓のガラスを開けようとしている人も居るけど、ピグともしていなかった。
───すると突然、目の前に球体の物体が現れた。それは、私だけでは無く、この教室に居るクラス全員の目の前に一人一つ、球体の物体が浮かんでいた。
その球体は、よく目を疑らして見てみると変な幾何学模様が浮き彫りとなっていた。
なんだろうこれ。私が触れようとすると、球体の物体は弾け飛び、私を覆った。周りも私を見て混乱をしているが、好奇心故か、私を真似して球体の物体に触ろうとして、物体は弾け飛んだ。
私を覆っていた幾何学模様は、最初は半透明だったけど、やがてそれは色濃く青色になっていった。
「みんな!みんな!大丈夫⁉」
私は叫んで皆の安否を確認しようとするけど、私の声は防音のように音が幾何学模様のように吸い込まれていく感覚があった。それに、周りの声や音がまるで聞こえなかった。
足の感覚が無くなるような覚えを感じて、思わず下の方を見てみると、足の方が透けていた。
「きゃああああぁぁっっ!」
私の頭は混乱の渦に巻かれていて、訳がわからない状態へと陥ってしまった。息は荒くなり、気が動転して暴れてしまいそうだけど、体は金縛りのように動かなかった。
どうして?どうして?と言葉を呟くが、現状はなにも変わらなかった。
嗚呼、私の人生ってここで終わりなんだ……と感傷に浸ると同時に、私の意識はそこで途絶えた───
そう、クラスの皆はなにも気づかずに暫くして現れた大量の集団にも分からず、どこかへと飛び立った。
***
───1時間、25別後。トイツァラン帝国、皇宮───
「……──っり!ぁおりっ!香穂里!」
私は、目を覚まし、目の前にいる親友の諷歌の手を握り、感謝を述べつつも起き上がる。まだ頭が痛いけど、冷静に過去になにがあったのか思い出す。その中で諷歌に質問をする。
「ありがとう。諷歌。ここはどこなの?」
私が問いだした答えを楓歌を、答えようとするが、誰かの声にて、それが阻まれてしまう。
「よし、最後の一人が起きたようだな」
そこには、赤と金を基調とした丁寧な服を着て、黄金の王冠を冠る美青年が、玉座にて座っていた。思わずカッコいいと口を漏らす者まで現れていた。
玉座に座る男の人が、豪勢なひじ掛けに体重をかけて片手を顎に置き、自信満々と口を開く。
「これで最後の者が目を覚ましたな……やはり、最初の方は強くしすぎたな。でもまあ、途中で調整できたから結果は無事ということか」
最後の部分はよく聞き取れなかった。だが、どうやらこの人が私達をここへ連れてきたとわかった。
ふと、ここで、頭が落ち着いたからか周りを見渡す。周りは、騎士の恰好をした人たちがズラリと私達の周りを囲んでいた。中にはフードを被った古老のような人もいた。その方は、杖を持っていて、先端には光り輝く青の宝石があった。
部屋の構成は豪勢で煌びやかな場所が多かった。広く、赤く丁寧に縫い付けられていた絨毯も足元にあった。明らかに、地球とは懸け離れた所ということなのは分かった。
それと同時に、疑問が生まれた。それは、多分皆持っているだろう。だけど、それを意見できない。なにか、喉にひっつく感覚が芽生えていた。
本能で、その原因はあの玉座に座っている男の人だとわかった。
「後は、任せるぞ?ジューイ」
玉座に座っていた男の人は、私たちを放棄するように踵を返して外套を翻しながら去っていく。男の人の掌には、学校で見たあの幾何学模様の紋章が置かれていた。それが光り輝くや否や、男の人は何処かへと姿を眩ましてしまった。
「はっ、皇帝様」
ジューイと呼ばれた側近の者らしい人が跪きながら皇帝と呼ばれた男の人の言うことを聞く。
───こちらを振り向き、見定めるような顔でこちらを見た。
「おっ、おいっ!どういうことなんだ!ここは一体、どういうことなんだ!」
頭が、混乱している所為で言語が定まっていないが、それでも勇気を持って祐亮は叫んだ。流石は学校でも脳筋問題児ゴリラという異名を持っていた漢!行動だけでは幸還高校、随一。
ジューイは、祐亮を睨むと、祐亮は蛇に睨まれた蛙のように固まってしまった。ジューイの瞳には、さっきの皇帝と呼ばれた男と同じようで異なる幾何学模様が浮かんでいた。
まったくもって、理解が追いつけなかった。
「まずは、諸君から一言。私の命令は絶対、そして私の上司である皇帝様の命令も絶対だ」
***
───3週間、皇宮訓練場───
「夕夜!腰が高い!そこはもう少しこうやって───」
訓練場にて、そこには大きな男性の声が地面へと反発していった。諷歌が顔を覗かせる。
「なに?諷歌?」
「いやさ、私たちの生活って、随分と変わっちゃったな~って」
その問いに私は首肯をして答える。
「まさか、【勇者】になるなんて知らなかったよ」
「ほんとにねー、でも、香穂里は別にそんなに気にしなくていいでしょ?強いんだし」
この世界は、所謂異世界で地球とはまた違うところで、スキルとか<法>とかいうやつがある、化学では説明できないような非現実な事象が起きているみたい。
最初は理解が追いつけなかったけど、約3週間も経つとそれはもうそいうもんだという結論が出てしまった。
初日は、ステータスプレート?というものを鑑定した。そこには、職業というものがあり、私の職業は【竜勇者】というものだった。さらに、この職業を鑑定ができるらしいのでしてみると、こういう風に映された。
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【竜勇者】Lv2
・権能
『竜強制眷属化』『竜格化』『竜技』『竜勝』『竜塔煉』『竜域』
竜を従う最強格の勇者。自らを竜として顕現させることが可能となり、ステータスが大幅に上昇する。
※過去に2人が同職業となったが、どちらも英雄として語り継がれる程となった。
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なにやらすごいものらしい。これをジューイさんに見せたら、大変喜んでいた。なにやら3000年ぶりらしいのだ。
「いや、諷歌もだいぶすごいよ」
「またまたー」
諷歌もまた、私に次ぐと言われる職業なのだ。それが、【聖勇者】。説明には、こう写し出されていたという。
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【聖勇者】Lv1
・権能
『聖法支配』『聖砲塔』『極聖作』『聖誕祭』『聖虹路』
聖格化されている勇者の中でも最も"聖"に近い勇者。魔物に対しては、最強であり、負けなしである。
※歴代の【勇王】に一番多い職業は、【聖勇者】である。
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「でも、私達、これからどうなるんだろうね?」
「なにも説明されてないからね。でも、私達、凄いことに巻き込まれそうな予感がする」
そんな真剣な表情で諷歌が言うから、私は心が少しだけ引いてしまった。そうか、私達、まだなにされるかわからないんだ。
でも───無事に、元の世界に戻れるといいな。
そんな淡い期待を私はするのだった。
この話では、この異世界の常識を知ってほしくて書いたものです。(次回も……?)
楽しんでください。
なお、職業のことはめんどくさくいのであまり出しません。
(忘れん坊なので……)




