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(旧)4000兆回目の転生日記  作者: ゆるん
一冊目 〈迷宮姫の覚醒〉
23/71

22ページ,迷宮の<奈落>

 ───数分前───


 ───私は、とある日の事を思い出していた。


 なにを隠そう、フレアとのことだ。今朝、夢を見ていたからだろう。

 仲の良かった、私の妹といっても過言ではない幼馴染。


 ───いつものように元気になれなかった。最近は、よかったのに。これじゃあ、また逆戻りだよ……


 目頭に溜まりつつある雨を拭き取る。


「大丈夫か?」


 そんな私の姿を見た父が心配する。そんなに心配してないくせに。


 実は、あの後お父さんと迷宮(ダンジョン)に行くことが急に決まった。

 いつも、私一人だけだったのに今朝、いきなり「今日は私も迷宮(ダンジョン)に行こう」と言ってきた。もちろん少しは驚いたが、お父さんが迷宮(ダンジョン)に付いてくるのは今日だけではないので渋々ではあるが、了承した。


「うん、大丈夫」


 力のない笑顔で返す。父はやっぱり「そうか」と、ある意味、期待を裏切らない返答をした。


 私とお父さんの関係はあんまりよくはない。ある日、フレアが死んだあの日からお父さんは人が変わったように、私とだけあまり話さなくなったし、関係を薄めてきた。


 いや、よく見たら、癖も少しだけ変わっているように見えた。

 そこまで大きな癖の変化はないが、日常の一部分を切り取ると前と少しだけ変わっていた。


 私のせいなのかな?私だけが生きていたからフレアの御家族になにか言われたのか?そんなこと何度も何度も考えたが、もう昔のことだ。


 コツ、コツ、と迷宮(ダンジョン)の中を歩き出す。


 ちなみに、迷宮(ダンジョン)に行くのは冒険者ギルドに申請が必要だけど、お父さんはギルマス(ギルドマスター)だからその必要はない。


 ここは迷宮(ダンジョン)地下一階奥部。もう少しで地下二階のところだ。


「そうだ、お父さん。あの話してよ。迷宮(ダンジョン)の話」


 昔からよく聞いていたお話だ。最近は聞くことが無くなったが、今は昔を思い出したかったのか無意識に言ってしまった。


「うん?そんなことをいうなんて珍しいな。でも、いいぞ、お父さん優しいからな」


 お父さんは噓つきだ。こうやって、私から踏み込もうとしても、すぐに離れて同じ距離感を保ち続ける。


 そして、お父さんが今からするお話は、童話や物語ではなくてただの解説だ。

 だけど、その話が私はよく気に行っていた。最近は信用が無くて聞いてなかったけど。


 ***


 ──この星には迷宮(ダンジョン)が36個、存在が確認されている。


 その内、迷宮(ダンジョン)としての機能が停止しているのは35個。迷宮(ダンジョン)の機能が停止しているというのは迷宮(ダンジョン)の地下100階にいる『迷宮統率皇(ダンジョンマスター)』を倒すと迷宮(ダンジョン)そのものの機能が停止し、普段無限に湧いてくるモンスターたちが湧いてこなくなる───有限になってしまうことをさす。


 そして、ここの迷宮(ダンジョン)は過去48000年もの間、機能が停止することがなかった。それが、ここには『迷宮統率皇(ダンジョンマスター)』の存在が確認されていない。地下100階へ行っても。


 また、ここには地下100どころではないく、更に下の<奈落>というのが続いている。

<奈落>は他の迷宮(ダンジョン)にはなく、ここにしか存在しないという。


 研究者がこの迷宮(ダンジョン)を調べたところ、<奈落>はこの10000年間で形成されたものであり、『人工物』なのだと。だが、<奈落>は誰がどのような目的で作られたのか痕跡は一切として謎に包まれたままだと。


 迷宮(ダンジョン)は、一つ一つに【称号】があり、例えば砂漠に生成されている迷宮(ダンジョン)は、【砂海の迷宮(ダンジョン)】と呼ばれていたり。そして、ここの迷宮(ダンジョン)の称号は、【永久の迷宮(ラビリンス)】。永遠に停止がされることがないため、この称号が決まった。ここの迷宮(ダンジョン)迷宮(ラビリンス)と名前が違うというのは他の迷宮(ダンジョン)とは格が違うため、迷宮(ダンジョン)ではなくさらに格上となされる迷宮(ラビリンス)と名付けられた。


 ***


「───これで十分か?」

「うん、久しぶりにその話聞けた」


 父の話を聞いて、懐かしさとこの迷宮(ダンジョン)が危険というのを再確認できた。

 それに、これで距離は縮められたかな?


 目の前にいる粘液魔物(スライム)をノーモーションで切りつけ次の地下二階へ行く。ここも変わらずにモンスターが湧くので目の前に現れる敵を切り刻む。


 ただ、これを続けてきた。何年もの間。だから迷宮姫(プリンセス)なんて呼ばれるように強くなった。それも、クーが現れたからその称号の威厳もなにもなくなったけど。


 ***

 ───10分後、迷宮(ダンジョン)地下10階、迷宮番(ボス)部屋前───


 迷宮番(ボス)部屋に着いた。迷宮は十階(ごと)に一匹の迷宮番(ボス)がいる。その迷宮番(ボス)がいる部屋が迷宮番(ボス)部屋と言われている。


 ギギギと扉の軋む音が鳴り開かれる。


 ───刹那。私は真正面にいる迷宮番(ボス)火雷巨人(デメラルト)の首めがけ、〈不可視飛刄(インビジブル)〉を発動させる。Dランクの魔物ならこの程度のスキルでも十分に効く。


「よくやった。キャル、自己最高速度だ」


 お父さんには、ここにくるまでの時間を計ってもらっている。前の自己ベストを教えこうやって伝えてもらっている。


「お父さん、先、行くよ」

「ああ」


 私は止めに離れている魔物の生首を(つぶ)し、次の階へと足を運ぶ。


 ***

 ───20分後、迷宮(ダンジョン)地下40階、迷宮番(ボス)部屋前───


「はあ……はあはあ」

「急ぎすぎだ。確かにここまで着くのが早かったが、それでも、おまえが大丈夫でなければ本末転倒だ」


 お父さんの言っている通り、私は急いでいる。慌てている。だけど、私は急がなければいけない理由があるんだ。


「もっと、早く、強くならなきゃいけないんだよ……!」


 息を荒げているがそのことなんか関係なしに重い扉を開ける。

 そこにいるのは死霊召喚使役王(リッチ・ドメイド)。この魔物は魔法使いであって、賢者だ。だけど魔法を使うのに若干のラグがある。その隙を狙えば───


「よくここまで鍛えられたものだ」

「ありがとう」


 ここまでは余裕だ。問題は、ここから。次にいこう。


 ***

 ───6時間後、迷宮(ダンジョン)地下70階、迷宮番(ボス)部屋前。


「よ、ようやく……」

「いや、今日はここまでにしよう。流石にもうお前は限界を超えている」


 そんなつもりはない、そう言おうといたが意識が朦朧(もうろう)としてきた。フラフラとしている。扉の前に立つも足がガクガクでまともに立てていなかった。


 足がもたつき壁にもたれかかる。瞬間、壁に埋もれている鉱石が光り輝き、私の真下にある床が───消えた。


「ええええええええええええええ‼‼‼‼‼‼??????」


 落ちて、落ちて、落ちる。最初は明るかった穴も今はどんどん深淵に暗くなっていっている。


「くっ!」


 なんとか落下を止まらせようとするがスピードは穴に進むたびに早くなっていっている。

 だが、このままいけば、いつかは床に到達する。そのときは運動エネルギーによってバラバラにされてしまうだろう。


「『負勢力翼浮遊(マイナスエネルギー)』ッッ!」


 急いで聖法を使い自分を浮かせようとする。だが、この落下スピードだとすぐには調和されないだろう。聖力もガンガンと削られていく。


「!?」


 目線の先には地面が映された。さらに聖法陣に聖力を注ぎ込み自分を浮かせようとする。そうして私と地面がくっつかれようとするその瞬間に私は浮いた。だけど、私が浮いているのはようやく聖法陣が間に合ったのではなく、他人の聖法陣によって私は浮いていた。


「『完全浮翔操作(ディスパレス)』」


 静謐でとても綺麗な声が聞こえた。声がした方に私は目をやる。そこにいたのは真っ白な服を着た可憐な美少女だった。そして、クーによく似ていた。


 瓜二つなほどに。


「大丈夫?落ちたみたいだけど」


 彼女は私に白く、温かい手を差し出す。私はその手を握手するように握り、立ち直す。

 私はここが<奈落>だということが本能的にわかりもっともらしい質問を彼女に尋ねる。


「貴方は、『迷宮統率皇(ダンジョンマスター)』なの?」


 私の問いに少女はすぐに答える。


「いいえ。もう倒した」

ダンマスは、時すでに。

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