指名手配犯発見
バーペキュウに誘われたが
やがて準備が整った。沢山の料理やビールなど飲み物が並べられている。バーベキューなんて大学時代以来で嬉しくなって来た。ただここは知らぬ人ばかり、しかも家族以外は全て男性。その中でひときわ際立っている女性がいた。勿論詩織だ。吉岡が乾杯の音頭をとるようだ。
「まず乾杯をする前に紹介しておこう。昨日知り合ったばかりだが何故か意気投合して今日ここに来てもらった。えっとサカモト……」
吉岡が下の名前を思い出せないでいると詩織が手を挙げる。
「はいどうも私、東京から来ました。坂本詩織と申します。社長さんとは何故か意気投合致しまして、道産子気質と言うのでしょうか。私も社長さんには惚れこみました」
「よ~よ~社長。奥さんも子供も居るのにいいのかい」
皆はドッと笑った。社長に惚れこんだと言われ上機嫌になった吉岡は余計なことを言った。詩織は刑事である事を口止めしておくべきだった。
「坂本さんはなんと東京の刑事さんなんだぞ。だがお前たちを逮捕しに来たわけじゃないから安心しろ。ただの旅行だそうだ。こんな美人で刑事なんてテレビドラマのようだろう」
するとみんなは一瞬驚いたが、また拍手が起き大声で笑った。だが一人だけ表情が曇った者がいる。詩織は見逃さなかった。刑事と言われ反応したのだろう。詩織の記憶力は伊達ではないピンと来るものがあった。そのあと大いに盛り上がりやがてバーベキュー大会は終った。詩織はそっとスマホを開いた。一つのアプリを開く。(指名手配一覧)二分ほどして似たような顏の人物にヒットした。『五年前、池袋管内で強盗致傷事件、三人に重軽傷を負わせ現金三千万を奪って逃走中。荒岩重信 三十七歳』
五年経過しているから多少体形と顔つきは変わっている、しかも髭まである。カモフラージュだろうだが間違いない。詩織は確信した。
つづく
思わぬ所に指名手配犯がいるとは