吉岡の家族
なんと喧嘩相手の家に招待された
詩織が予定した旅は少し変な方向に向かっているが予定のない旅では想定外の事も多々あるだろう。翌朝、吉岡から電話が入った。バーベキュー大会は午後だから富良野周辺を案内手してくれると言う。しかし吉岡と言う男、ガラは悪いが人なつこっい。人は見かけに因らないというが彼はその典型的であった。ホテルを九時過ぎに出て十時頃到着すると既に家族総出で待っていた。
「さあって、では最初に五郎の家に行って見ようか」
「嗚呼あの石の家と言われている所ですね。昨日ネットで調べて見たの有名な観光地ね。それからホテルのサービスだと言ってDVDとビデオデッキを貸してくれて北の国からを最終話だけを全部観てしまいました」
「そうかい、そうかい。あれは何度見ても感動するものな」
三十分もしないうちに五郎の家の前に着いた。柵があるので遠くからしか見られないがビデオでみた画像と違い、かなり傷んでいた。無理もないもう数十年が過ぎているのだから。
それから富良野と美瑛などパッチワークの丘など周って帰って来た。時刻は午後四時過ぎた頃、既に若い衆十五人くらいがバーベキュー大会の準備をしている。吉岡が言う通りあまりガラは宜しくにない連中だ。それを束ねる社長だからお人よしでは荒くれ者を引っ張っていけないのも分かる。年齢は下から二十代から上は五十代とマチマチだ。詩織たちが車から降りると連中が寄って来た。詩織を見るなり口笛が鳴る。歓迎しているのか、からかっているのか微妙な感じがする。普通の若い娘ならビビリそうだが凶悪犯やヤクザを相手に仕事している詩織はどうってことはない。そのあとは拍手が起きたから歓迎されているようだ。
つづく
バーベキュー大会をしてくれる歓迎ぶりだ。