第9話 突然の転校生
月曜日の朝
昨日たくさんの事があり、頭の整理がついておらずあまり気持ちのいい朝とは言えなかった。
結局、ウリエルとルカーサルがなぜ俺の使い魔となったのか、神原さんはなぜ話の途中で立ち去ってしまったのか、考えても何も答えが出なかった。
俺が自分の部屋を出て下の階にあるリビングへ行くと、そこには父と母と妹、そしてエプロンをつけた珍妙な天使ウリエルがいた。
「おはようございます、優さん
朝ごはん出来てますよ、早く食べましょう」
「おはよう、天使様
なぜエプロンをおつけになってるのですか?」
「もちろん、優さんのお弁当を作るためです」
俺は軽くウリエルの話を無視して食事が用意してあるテーブルの椅子に座った。
「いただきまーす」
「また無視ですか
さすがの私もへこみますよ」
「大丈夫よ、ウリエルちゃん
優くんは照れてるだけだから」
「ありがとうございます、お母様
私頑張ります!」
「ごちそうさま、いってきまーす」
「優さん早いですよ
ちょっと待ってくださーい」
そして俺とウリエルは2人で学校へ向かった。
「そういえば、ルカーサルはどうした?」
「何か今回の事件をサタンに報告するとかどう
とかで天界にいきましたよ」
「そっか、なるほどな」
俺の学校、境ヶ丘高校は学力レベルは平均より少し上、サッカー部と競技カルタ部と使い魔研究部が有名な公立高校だ。
教室に入ると、俺の親友である織田 龍也
(おだ たつや)に挨拶された。
「おはよう、優
今日もいい天気だねー」
「おはよう、龍也
お前は今日も幸せそうだな」
「そりゃそうでしょ
人生楽しまないと」
龍也は中学生の頃からの親友で、イケメンで180センチの高身長でおまけにサッカー部のエースだ。
物腰が柔らかく女子からの人気が高い。
普通ならこんな男の敵みたいなやつと一緒にいるのは辛いところなのだが不思議と龍也とは気が合い高校でも仲良くしている。
「そういえば、今日転校生がくるらしいよ」
「ほぉ、それは女子なのか?」
「うん、そうなんだ
しかも可愛い子らしいよ」
「おお、ついにうちの学校にも美少女転校生がくる
のかー
これは昨日の疲れが吹っ飛ぶってもんだ」
そういった瞬間、背中の肩甲骨の間の肉を思いっきりつままれた。
「いたっ」
「大丈夫、優?」
「ああ、大丈夫
軽く膝ぶつけてさ」
くそー、ウリエルがいた事すっかり忘れてた。
しかしいくらなんでもいきなり攻撃してくることないだろ。
後でしっかり叱っとこう。
「お前ら、席つけー」
担任の白井先生だ。
基本的には生徒に優しく、良い先生なのだが、怒ると凄い怖い。
なんでも昔先生を怒らせて、翌日死んだ魚の目をして登校していた生徒がいるとかいないとか。
「今日は、転校生を紹介するぞー
入ってきなさい」
ん、あの子は神原さん?
まじか、転校生ってあの子だったのか
確かに昨日会った時綺麗な子だとは思ったけど。
「さ、みんなに自己紹介を」
先生がそう言うと、沈黙が30秒ほどつづき、彼女は口を開いた。
「えっと、私神原 花っていいます
よろしくお願いしまちゅ
あ、すいません」
それを聞くとクラスの男子たちは
「まじかよ、ドジっ子美少女きたー」
「これは、楽しくなりそうだぜ」
「龍也のやつだけにいい思いはさせないからな」
と割と好印象に捉えたみたいだ
まぁかくいう俺も可愛いと思ったのだが
「よし、転校生が来たからついでに席替えするぞー
皆んなくじ引いてくれ」
そうしてくじを引いた結果、
俺は1番後ろの席の左から2番目
左隣には丸井くん、優しくて話しやすく俺にとって小動物的存在。
前は龍也、ここまではいいのだが
お約束と言うべきなのか
右隣は神原さんだった。
「えっと、よろしくね神原さん」
そう言うと神原さんは下を俯いて動かなくなってしまった。
やはり俺は嫌われているらしい。
すると、龍也がイケメンスマイルで声をかけた。
「初めまして、神原さん
僕の名前は織田 龍也
よろしくね」
「は、はい
神原 花です
よろしくお願いします」
やっぱり龍也にはちゃんと返事するんだ
俺の扱い酷いな。
そして、龍也が色々と質問したのだが神原さんは緊張しているのかあまり上手く返せていないようだった。
そのためその度に俺が補足説明を加えた。
なぜか俺には神原さんの言いたいことがわかるらしい
そして授業の合間に質問攻めにあっていた神原さんを俺と龍也でサポートしつつ昼休みを迎えた。
「じゃあ、ご飯食べようか
優は食堂行く?」
「ああ、今日は行かないわ
弁当あるし」
「そっか、それじゃあパンでも買ってくるから先食
べてて」
「あのー、もしかして織田くんは今日食堂行く
の?」
と話しかけきたのは龍也のファンクラブ会員副会長の宮崎さんだ。
「うん、そうだけど」
「 じゃあ私たちもご一緒していいですか?」
「あーでも」
「俺のことはいいから、せっかくなんだからその人
たちと食べてこいよ」
「そうだね、ありがと優
行ってくる」
龍也1人に女子が5人
モテる男は大変だな
龍也を見送った後、俺は神原さんからノートの切れ端を渡された。
そこには「使い魔談話室に来てくれませんか」と書かれていた。
俺はそれを了承し、談話室へ行くとベレトとルカーサルが待っていた。