第7話 魔法
俺たちはウリエルを追ってショッピングモールへ向かった。
「ルカーサル、ウリエルが何を買うのかは分かる
か?」
「さぁ? 何を買うかについてはあの天使は何も言
ってなかったね」
「はぁーー
この4階建ての市内最大級のショッピングモール
からあいつを探し出すのは骨が折れるな」
「仕方ない、私の探索魔法をつかって探そうか」
「え、悪魔って魔法使えるの?」
「あぁ、人に直接危害を加えなければある程度の使
用は許可されている」
「マジか、助かるわ
頼んだルカーサル」
「まったく、悪魔である私が天使のために魔法を使
うことになるとはね」
「ホントありがとな
アイツには今度GPS端末をもたせるから
それがあればいつでもアイツの居場所が分かる」
「まるで手のかかる子供だね
じゃあ優、始めるよ」
「おう」
ルカーサルは目を閉じて、足の下の地面に魔法陣みたいなものを出現させた。
その後、振動波のようなものが辺りに広がり何かを発見したのか、ルカーサルは言った。
「どうやら、天使は花屋にいるみたいだね」
「あのさ、ルカーサル
魔法って俺のイメージだと呪文を唱えたり、魔法
名をカッコよく叫んだりするものだと思うんだけ
ど」
「あぁ、基本的に魔法は発動するための手順を踏め
ばそういうのはいらないね
一部例外もあるけど」
「んー、なんかちょっと悔しい
生で魔法の発動が見れたのは嬉しいけど少しイメ
ージと違ったな
ちなみにその魔法って名前はあるのか?」
「えーっと、確か
サテライトだったかな」
「へぇー、サテライトって言うのかー
人間には使えないんだよな?」
「無理だろうね、人間には魔力が存在しないから」
「そっかー、まぁ無理だよな
ん、そういえば俺たちウリエルの事探してたんだ
よな
じゃあ花屋に行ってみるか」
「そうだね、急がないともう移動してしまうかも知
れないし」
しっかし、魔法使えるのは羨ましいなー
やっぱり天使も使えたりするのかな?
ウリエルの事見つけたら聞いてみるか。
俺たちは花屋へと向かい、無事にウリエルを発見することができた。
なぜかウリエルはガーベラをまじまじと見つめていた。
「おーい、ウリエル
俺の用事終わったからそろそろ帰るぞー」
「あ、優さん
遅かったじゃないですかー
レディを待たせるなんて優さんは亭主関白なんで
すね
でも例え優さんにどれだけ酷い扱いを受けても私
は愛し続けます
だから結婚しましょ」
「それで、ウリエルは花買わなくて良いのか?」
「え、優さん
私の話全部無視してる気がするんですけど」
「あー、大丈夫大丈夫、2割くらいは聞いてる
ら」
「いや、それほぼ聞いてないと思うのですが
まぁ良いです
じゃあお花買ってきちゃいますね」
ウリエルはそう言うと、右手を差し出してきた。
「何、この手?」
「実は、私お金持ってなくて
優さん、お金貸してください」
「はぁーー、確かにそうだよな
しょうがない、今回だけだぞ」
「はい、ありがとうございます」
ウリエルはガーベラの花を買って戻ってきた
「そういえば、ウリエルって魔法使えるの・・・」
その瞬間目の前が真っ暗になった。
「え、何これ
どうなってんだ
ウリエル、ルカーサルどこだー?」
クリアワールドと叫ぶ声が聞こえた瞬間、
辺りが明るくなりウリエルとルカーサルを目視することができた。
「あれ、これってウリエルの魔法か」
「はい、私は天使ですから
このくらいどうって事ないですよ」
「でも、魔法名って叫ばなくてもいいんだよな」
「何言ってるですか、優さん
こういうのは雰囲気が大事なんですよ」
「まぁ、その気持ちはなんとなくわかるけど」
「優、迷天使、困ったことになった」
「え、どうした?」
「ちょっと、なんで迷天使なのよ」
「今のは悪魔の魔法だ
しかも周りの人間が気絶させられている」
「おいおい、マジかよ」