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なぜか俺のところに天使と悪魔がやってきた件  作者: 和の心
第3章 選挙と初恋と夏の思い出
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第39話 ガーベラとポニーテール

実は、ガーベラは序盤で一度登場しています。

もし探したい方は第1章の前半あたりを読んでいただければ分かると思います。

俺は奏ちゃんと色んな話をした。俺の好きな漫画の話や学校であった面白いことや家族の話。

最初は聞いているだけだった奏ちゃんも俺に色んな話をしてくれた。家族の事や自分の好きな本について、そして学校に行ったらしてみたい事を目を輝かせながら話してくれた。

「奏ちゃんと学校通えたらよかったなー

 絶対楽しいよ」


「う、うん

 きっと楽しかったでしょうね」


しまった、余計な事を言ってしまった気がする。

えっと、何か他の話を。

「奏ちゃんはさ、何の花が好き?」


「どうしたの?いきなり」


「えっと、女の子って花が好きなイメージがあって

 何となく聞いてみたいなーって」


我ながら無理矢理すぎる話題転換だと思うが、当時の俺にはこれが精一杯だった。

「そうね

 ガーベラかしら

 たまにお母さんが持ってきてくれるのよ」


「そっか、優しそうなお母さんだよね」


「ええ、いつも私を励ましてくれる

 いいお母さんなのよね、周りからすると」


「え?奏ちゃんはそうは思わないの?」


「お母さんの事は大好きなんだけど

 たまにその明るさにうんざりする時があるの

 病気って人の心まで悪くするのね」


「そうかな?

 奏ちゃんは凄い綺麗な心を持ってると思うよ」


「へ?

 い、いきなり何言いだすのよ

 わざとやってるんじゃないでしょうね」


「え?何が?」


「まぁそんなわけないか

 でも最近はうんざりすることも無くなってきたか

 な」


「そうなんだ、よかったね」


「あのさ

 私からも一つ聞いてもいい?」


「うん」


「天道君はどんな髪型が好き?」


「えーっと、普通に短髪が好きだよ

 俺には髪長いのは似合わない気がするし」


「そうじゃなくて

 女の子の髪型だとどんなのがいいと思う?

 あくまで参考に聞くだけよ」


「うーん、俺女の子の髪型あんまり分かんないから

 なー

 あ、ポニーテールとか元気って感じでいいと思

 う」


「何か理由がいまいち納得できないけど

 そう、ポニーテール、ね」


俺はその後リハビリに行き、看護師さんから明後日で退院だという事実が告げられた。元から分かっていた事なのだが、奏ちゃんと話すのが楽しくてすっかり忘れていた。

次の日、母さんと一緒に先生からの診察を受けた。

経過は良好で予定通り明日で退院する事が決まった。俺が病室に戻ると奏ちゃんのお母さんが来ていて、なぜか俺を待っていたかのようにニコニコしていた。

「優君、おかえりー

 ちょっとこっち来てもらっていい?

 奏が見てほしいものがあるですって」


「ちょっとお母さん」


「何よ、ここまでして見せない気?

 恥ずかしがってないでほら」


俺が奏ちゃんのベットの方に行くと、そこにはポニーテール姿の可愛らしい女の子が座っていた。これに勝てるポニーテールに俺は未だ出会っていないと言えるほど似合っていた。

「ちょっと、なんとか言ってよ」


「あ、ごめん

 凄い似合ってると思うよ

 いつもより優しそうにみえる」


「それはいつもは優しくないって意味かしら?」


「えっと、そういうわけでは」


「まぁいいわ

 似合ってるなら良かった

 別にあなたの為にやったわけじゃないから」


「え?

 うん、分かってるよ」


「何でわかってるのよ!」


「え、だめなの?」


「えっと、ダメじゃないわ

 分かってるならいいのよ」


「ほんっと素直じゃないわね

 私の前ではあんなに素直な子なのに

 優君のおかげで娘の新たな一面がみれたわ

 ありがとうね、優君」


「はい、よく分かりませんが」


その後、俺の母さんと奏ちゃんのお母さんは帰っていった。そして今日俺は奏ちゃんに言わなくてはならない事がある。

「あのさ、奏ちゃん

 俺予定通り明日退院するんだ」


「そ、そう

 これでやっと広々と病室を使えるわね」


「それで

 退院してからまた来てもいい?

 俺奏ちゃんともっと仲良くなりたいんだ」


「へ、へー

 そっか、ならしょうがないわね

 来てもいいわよ」


「やったー

 週一で行くね」


「結構頻繁にくるのね」


そして俺は退院していった。そして5日後、早速お見舞いに行こうと思ったのだが、お母さんから何かお見舞いの品を買った方がいいとお金を渡された。

何を買うか悩んでいると、ちょうど病院の途中にある花屋さんで足を止めた。

俺は奏ちゃんがガーベラが好きだと言っていたのを思い出し、それを買って病院へ向かった。

「久しぶりー、奏ちゃん」


「久しぶりってまだ5日しか経ってないけど」


「そっか、でも何か久しぶりな気がする

 これ、お見舞い

 ガーベラの花好きって言ってたから」


「あ、ありがとう

 お母さんに言われたの?」


「な、なんで分かるの?」


「そりゃあ

 あなたがそういう礼儀作法を覚えているとは思え

 ないから」


「いやたまたま忘れてただけだから」


「そう?

 でもやっぱり綺麗ね、ガーベラ」


「うん、俺も好きだよこの花」




「この花、どうしたの?」


「あー、天道君がお見舞いにって

 私が好きって言ったから買ってきたんだって

 ほんっと単純だよね」


「そう言う割には随分嬉しそうだけど

 もしかして

 奏って天道君の事好きなの?

 誰にも言わないから教えてほしいなー」


「そ、そんなわけないでしょ

 あんな大した取り柄もなそうな人

 全然好きじゃないし」


「そっかー

 天道君ってあんまり良いところないのね」


「いや、まぁ案外気がきくところとか

 拒絶されてもめげずに優しく話しかけてくれると

 ころとか良いところもあるとは思うけど」


「はいはい、ごちそうさま」


「お母さん、何か嬉しそうだけど」


「そんな事ないわよ

 ほんっと天道君が怪我してくれて良かったわー」


「それはさすがにひどくない?」



こうして俺は奏ちゃんの病院に頻繁に通うようになった。俺は心のどこかで奏ちゃんの病気は治ると信じていたが、現実とはとても残酷だ。

あんなに幼くて優しい子にも無慈悲な試練を与えるのだから。

 



 

 

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