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1ー3

1ー3変化

(この子達はダメな子なのかな?)


神と名乗った存在は顎に手を当て首を捻っていた。

わざわざ今の姿を捨てる。そんな行為を聞いたことはなかったし、何より違う生き物になるなんて人生振り出しに戻るような行為は愚行にも思えたからだ。

『ええと…竜人や獣人は確かにいるけど…僕の世界では地位が低いよ?』

あらかじめ断っておく、という言い訳。

自分の世界なのだからある程度知っている人種間の優劣。

事細かではないにしろ自分の世界の優劣位はしっているつもりだ。

世界の序列。

序列一位の人族。

序列二位の魔族。

三位竜族。

四位ドワーフ。及びエルフ。

五位……

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

十三位竜人族

十四位獣人族

十五位……


せっかくきてもらうはずが苦境に立たせるのは本意ではない。

出来れば優雅に暮らしてもらいたい。

そこでだ。

『うーん…違うなあ、こうかなぁ……』

突如神は両手で空を押し始めた。

掴んでは投げ掴んでは投げしているようにも見えた。

翔大たちの目の前であぁでもないこうでもないぶつぶつ独り言をいいつつ作業すること数分。

目の前で何やら作業をする神をいつのまにか体育座りでボォーと眺める少年三人はだいぶ緊張感に欠けていた。

『まだぁ〜?』

というより飽きがきている。

憧れの姿にしてもらえるというのならさっさとやってほしいのだ。

現代っ子は暇さえあればスマホをみる。

つまり、暇に耐えれない。

スマホを取り出してはみたが、この空間は流石に電波は通じていなかった。

がっくりと肩を落とす三人。

『うぅ〜ちゃんと整理しとけば良かった…なんでよりによって変身願望…』

ぶつぶついいながら作業に没頭する。

その傍ら

電波の通じないスマホでオフラインゲームを嗜む翔大。

待ちくたびれて寝る陸斗。

暇とは言いつつまだかまだかと憧れの視線を送る秀。

(秀、きみだけはいい子だよ)

ホロリとしながら作業、作業、作業。

時折目に見えないなにかと会話するような仕草をしながら━━

そしてようやく納得のいく結果を導き出した神。

『お、お待たせ……』

肩で息をしている。たまに人間味が現れる神だ。

終わった事を告げられれば、スマホをしまい、隣で寝ていた陸斗をおこす翔大。

目を輝かせる秀。

(秀、きみだけは、きみだけはいい子だよ)

『さてと、いろいろ計算することが多くてね。準備は出来たよ。』

ようやく転生か。

いや、転移か。待った間をどうにか暇つぶしをしたふたりと待っていた一人。

パン、と神は手を叩く。すると三人の前にそれぞれ等身大の光が現れた。

その中へと入るように促される三人は、言われるがまま光の中へと入っていった。

入った先で見えたのはゲーム内でよく見る『キャラクリエイト』の画面だった。

神が作業中に会話していたのは地球の神で、変身をより具体的かつわかりやすくする方法聞いた結果、ゲームを模したキャラ作りが適応されたのだった。

三人は興奮した。自分がこれからどんな姿になれるか。

顔の輪郭、肌の色、体の作りなど、事細かに設定していった。

これから自分がゲームの主人公になれる。そんな期待に胸を膨らませながら。

「先生、魔法の項目がよくわかりません!」

「種族的特徴ってなに?」

「戦闘系スキル的な項目はないのかな…?」

多数の質問が飛び交う空間で一つ一つ丁寧に答える創造主。

この時ほど「利便性」を重視したシステム作りを考えたことはなかったと後日語ったとか。


そして、数時間のやりとりを経て━━━━

最初に出てきたのは竜人希望の鬼龍院陸斗。

己が姓に龍の字が使われているせいもあってか、ドラゴンへのあこがれがつよい。

光の中から姿を現したのは、秀を上回る身長2メートルもある巨体だった。

筋肉がはちきれんばかりの体。背中には二枚の翼と尻からは長い尻尾が生えている。

足の爪は5本だが、そのうち一本はかかとから生えるという趣向を凝らした体だった。

「おぉぉぉ、すげー、ドラゴンだ」

己の手を握りしめ、体のあちこちを見てみる全身緑の鱗におおわれ、顎から尻尾の先端まで黄色い蛇腹で覆われていた。

そして、陸斗の姿を確認すると、神はパチンと指を鳴らし衣服を着用させてくれた。

それは学生ではあまり見なれぬ紫の燕尾服。

そして、左胸を守るように装着された銀のライトプレート。両肩には同じく銀のショルダーガード。

そして胸元には十字架に天使の羽と天使の輪を誂えたような紋章が刻まれていた。

「お、何これ何これ、かっこいいじゃん!」

パンパンと己の装備を確認するように叩いた竜人。

オタク心に火がつく装備に大変満足したようだ。

装備の確認をしていると、隣の光から人影が現れた。

それは全身青い毛に覆われた狼の獣人だ。

身長は変えず170センチといったところ。

胸元と尻尾に白い毛がまじり、何故かヘソの下のは白い毛でハートマークが模されていた。

その下は…毛がもっさりと生えていて確認する事はできなかった。

「ふぅ、やっと終わった」

といいつつ出てきた狼獣人。

翔大。

足元がプルプルと震えているのは個性が強すぎて足を獣化してしまい、なれないバランスを取るためだった。

そして隣にいる圧倒的な存在感を目にした狼獣人は叫んだ。

「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

それもそのはず自分より大きな爬虫類が見下しているのだ。

のちに彼は語った、食われるかと思った、と。

「お、いいじゃんいいじゃん。狼じゃん。」

声を聞いてそれが友人の陸斗だと理解してほっと胸を撫で下ろす。

そして友人へと歩み寄れば、ガシッと硬い体を抱きしめた。

「リクだったのか…わ、悪い、ちょっと支えて…」

なれない体でふらつくからか、陸斗を支えにする翔大。

はぁ、とため息をついて狼の背中に腕をまわす竜人。

『ため息ついてるけど、君も翼と尻尾動かせないでしょ?』

「え!?」

神の言葉に反応した陸斗は自分の背中や尻を見る。

今までついてなかった器官が増えていることに喜びはしたが、確かに動かす術を知らない。

はぁ、とため息をついた神。まだまだレクチャーは必要だと嘆いたのだった。

と、そこでまたも神は指を鳴らし、翔大への装備を装着させる。

それは竜人のものと同じだった。


「なぁ、なんでこんな服なん?」

普段着としては仰々しい燕尾服。

伸縮性はあるようで動きやすくは出来ていたが、デザインに疑問をもった翔大が聴いた。

神が言うには、自分の世界でより良く生きてもらうため男爵からのスタートとの事だ。

獣人や竜人は位が低いが、この姿は男爵以上の爵位が無ければ着ることが出来ないらしい。

平民スタートでの獣人、竜人は日本の現代っ子には厳しすぎる、と地球の神にきいたそうな。

爵位制がある世界だった。

爵位は国の王が認め、それを神に申請して成立させるものらしい。

なので、神が直々に認めた爵位はその世界では絶対に揺るがない地位なのだとか。

とはいえ、爵位があるからと言って、土地や兵を持っているとは限らず、主に国への貢献度によって与えられる部分が多く学者や冒険者、大工や料理人でも爵位を持っているものはいるという。

なんの価値があるかといえば、奴隷にはならない。施設の優遇などなど。

日本では聞き慣れない奴隷制度、それが存在する世界だった。

重労働にあてがわれたり、愛玩用として飼われたり、はては剣闘士として命を賭けられたり

現代っ子の日本人には耐えがたい処遇が課せられる奴隷制度。そこから除外されるだけでも救いである。

「奴隷は勘弁だな…」

「自由は大事だよね…」

「奴隷として竜お兄さんを買うのはありよりのあり…」

一人だけ考えが違ったが奴隷制度の枠内に入らないのはこれからの人生において大切なことだということは理解した。

そのほか施設の優遇などには宿屋割引、学院への転入、国境通過などがあった。


そうこうしていると、最後の光から三人目が姿を現した。

身長は150センチほど、耳も含めれば170センチはあるかといった。細く、真っ白で目の大きな兎の獣人だった。

「しゅ、秀!?」

「やだ、何それかわいい!」

あまりの変貌ぶりに、目を白黒させる竜神と素直な感想が漏れる狼。

今まで見上げてきた人物を見下ろす二人、おもいは様々だったが、その容姿に目を奪われていた。

もともと格闘家だったのもあいまって、その体は筋骨隆々。

細い体ではあるが無駄な脂肪はなく、獣毛の上からでもわかる筋肉の隆起。

腹は八つに割れている。

『うーん、可愛い♪』

パチンとまた指を鳴らせばウサギへの装着を済ませる神。

他の二人とちがったのは、銀ではなく金の防具に、同じ燕尾服ではあるが、腹だけ露出したデザインだった。

なでこんなデザインかって?神の趣味だよ。

そして青い服。

これは男爵ではなく伯爵の地位を意味するもので、二人より二個上の爵位だ。

そのことに対して文句を言う二人。

真面目か不真面目かで決めました、と即答した神。

他人を蔑ろにすると後々後悔することを知った若い二人であった。


「てか、腹筋八割れとか、ずるくない?」

様々なキャラメイクの末、六割れを選んだ狼が漏らす。

シックスパックこそ正義とおもっていたが、いざエイトパックを目の当たりにすると羨ましい。

そんなことを思っていると竜人からダメ押しの一言。

「俺テンパック。」

服を持ち上げズボンを下げ、腹を見せればそこには立派な十割れがあった。

ショックのあまり腰を抜かしそうになる狼は目線を上下させその立派な体をマジマジと見つめるのだった。

そして股間に目をやると、ついているはずのものが付いていないことにきがついた。

「り、陸斗……お、女の子になるのはさすがに常規を逸しているとおもうのだが!?!?」

くっ、と抱きつきつつも目を背ける狼。

「ばーか、ドラゴンはブラブラさせねーんだよ」


何の話だかは想像にまかせる。として。

全員の姿が揃ったところで神様からの異世界レクチャーの時間である。

自分の世界。名をテンキュウという。

これは「地球」の神を尊敬しているそうで、名をもじったということ。

『地』と『天』、つながりがありそうで正反対な言葉だがそこは神々の感覚なのでつながりがあれば言葉の意味など関係ないのだろう。

地球とは違う世界。RPGのように、剣もあれば魔法もある。

仕事だって大工、料理人、冒険者、政治家、いろいろあるらしい。

まぁ、生命が生きていくに必要な職はいろいろと用意されているようだ。

そんな世界にこの三人は挑む!━━━はずだがその前に?


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