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第四章 火炎一族とドラゴン

「喰らえーーーーッ!」

極火(ごっか)、手刀!

「だぁーーッ!」

「ぐがッ!」

「よし!!」

ぶっつけだったがこれならいける!!

手刀、紅蓮乱撃(ぐれんらんげき)!!

「はぁあぁあぁああぁあ!!」

「ぎゅあーーーーッ!」

ズゥン・・・

「はぁ・・はぁ・・はぁ・・やったか」


「龍さん!」

「うッ・・・」

どさッ・・・

「大丈夫!?」

「なん、とかな・・・」

「傷を。今、治療します」

「ぐッ!・・・」

楽になっていく・・・

「これが・・・」

「そう。これが桜一族の術」

「治療術か・・・お前の先祖も陰陽師だな?」

「うん。なぜそれを?」

「・・・お前には言っておくか・・ドラゴンの事を知っているからな」

俺は少し間を取り話し始めた

「・・・昔、2600年ほど前、火炎一族の先祖の陰陽師がいた・・・

その陰陽師の名は火炎竜眼。竜眼は今の火炎一族と似たような炎の術を使いそこに現れた妖怪や魔物を倒してきた。ある時、途轍(とてつ)もなく強いドラゴンと戦った。それが火炎の龍、ブレイズドラゴンだ。彼は戦い続けた、が、歯がたたず傷つけるくらいしか出来なかった。ぼろぼろになった竜眼は最後の手段に出た。それは・・封印。彼の体にそのドラゴンを封印する事で全て治まった。しかしそのドラゴンの細胞が竜眼の細胞と融合し、そしてドラゴンに変身できる体になった。

それから火炎一族には何百年かに一人ドラゴンの力を持つ子が生まれるようになった」

「じゃああなたのドラゴンの力って・・・」

「本物のドラゴン・・そうだよ。俺は本物のドラゴンの力を得た人間。火炎一族のドラゴン、皆がそうだ」

「本物の・・・」

「・・・そうだ・・・」

「・・でもどうやってわかるの?人間か・・・ドラゴンか・・・」

・・聞きづらいか・・・

「ドラゴンとして生まれてくる者は体のどこか一部がドラゴン化しているんだ。例えば俺の前のドラゴンは腕が龍の鱗に包まれていた」

「じゃあ龍は?」

「俺は犬歯が人間の物より大きく鋭い。そして(のこぎり)状になっているんだ」

まるでT‐レックスだ

「・・・あと・・・お婆ちゃんから聞いたんだけどドラゴンはとても長く生きるって・・・」

「・・・俺以外の火炎一族のドラゴンは皆死んだよ・・・」

少し間をおいて話し始めた

「火炎一族のドラゴンになった者は皆、最初はこの力を(きら)っていた。しかしこの力を使ううちに快感を憶えこの力に魅入ってしまった。そして力が暴走し、死んでしまった・・・」

「・・じゃあ龍も・・?」

「いや・・・俺はこの力を憎んでいる。・・この力のせいで俺の親を亡くしたんだ・・・」

「え・・・」

・・・話しておくか

「あれは、今から十六年ほど前。俺がまだ一歳の時だった・・・

俺の記憶は薄いがなぜか体がムズムズして俺はすげぇ動き回っててな。俺の親は俺の異変に気づき俺を異次元に連れて行った。そこで俺の腕は龍腕(りゅうわん)になったんだ。そこで俺のことをドラゴンと知り修行が始まった。それから六年後、俺が七歳になって小学二年に上がる前の春休み、いつもの通り俺は異次元へ両親と共に修行に行った。その日は実戦になりあるドラゴンと戦う事になってしまった。そのドラゴンの名は闇の龍、ダークネスドラゴン、ヴァジュラ。奴は強く俺は死に掛け奴は俺に最後の一撃を喰らわせようとした。

しかし父さんと母さんがその間に入り俺の代わりにと死んでしまった・・・」

「!」

「幸いそいつはこっちには出てこなかったがすごく悔しくて・・・俺がもっと強ければ・・俺がドラゴンで無ければ・・こんな力を持っていなければ・・俺の両親は死なずに済んだんだ・・・今も笑って・・みんなで暮らしていたんだ・・・」

ちくしょう・・・

何で俺はドラゴンなんだ・・・

何で人として、人間として生まれて来れなかったんだ・・・

何で俺は・・あんなにも弱かったんだ・・・

「龍、泣かないで。あなたが悪いんじゃないわ」

「・・・確かに俺のせいでは無いかもしれない・・だが俺が弱かったのは事実・・俺は、俺の両親さえ守ることが出来なかった・・・」

「それはあなたがまだ小さかったから。あなたもその力も悪くない。悪いのはそのドラゴン。でしょ?」

「・・・・・・・・」

そうではあるが・・俺は俺の無力さにも情けないと思っていた・・・

「あなたの力は確かに良い物ではない。でも悪い物でもないの。あなたがその力を認めればそのドラゴンと戦う事になっても次は勝てるわ」

「・・・ルルは俺が奴に勝てると思ってくれるか?」

「うん。龍はそんな悪い奴には負けない。闇を打ち消す光りを持ってるもん」

闇を打ち消す光り・・・

「・・ありがとう、ルル。俺もこの力と向き合ってみる」

「うん」

・・次は逃げねぇ!!


第四章 終

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