第三十六話 新たな担任
あれから約一年
長くも短かい月日が経った
季節は冬
皆受験生になり猛勉強している
学校からの帰り道
「なぁ、遊ぼうぜ」
「坂野君うるさい。そんな時間ないの」
朝原は専門学校へ行く
そのための勉強は欠かせない
「いいじゃん。遊ぼうぜ」
坂野は大学にスポーツ推薦で入る事になっている
そんなのって・・・
いいのだろうか・・・
「でもあんまり根を詰めると勉強も捗らないよ?」
「瑠奈ちゃんまで・・・」
瑠奈の志望の大学は試験が早くもう終わっている
ちなみに合格である
「確かにそうかもだけど・・・もうすぐテストだし・・・」
「私もわかるとこ教えるから」
「俺も手伝うぜ」
函崎は就職志望
そして就職は大工になりたいらしい
設計をしたいそうだ
先生はそれを聞いた時ショックを受けたらしい
こいつは成績がよかったから大学を目指せばよかったのに、と
「ありがとぉ~・・・」
中山は試験を先週に控えている
そして大学は違うが同じ日に竹内の試験もある
しかし竹内は少し余裕があるようだ
「竹内さん、あんま勉強してないけど大丈夫?」
「大丈夫。それより私の事気にしてる時間あるの?」
「あぁ!そうだった!」
「危ないよ、教科書読みながらって・・・」
雪乃は明日が試験だ
しかしこいつは成績がいいので心配ないだろう
「雪乃さんは頭いいからいいなぁ・・私なんて・・・」
「自分を蔑まないで。自信をもって。まずそこからだよ」
「自信かぁ・・・」
この小説にあまり出てこなかった川平は成績は赤点ギリギリの生徒
大学に行こうとしている時点で驚きが隠せない
この七人は最近一緒に帰る事が多い
なぜかは知らん
「・・ん?あそこに喫茶店があるぜ。あそこの方があったかいだろうし」
「本当だ。喫茶、太陽・・だって。新しく出来たのかな」
「まぁ、入ってみようよ。こんにちわー」
まるで知り合いの家に入るようだ
しかしそこには誰もおらず
ただ、コーヒーの匂いが漂っていた
「・・あれ?まだやってない・・?」
「でも扉にはOPENって・・・」
「・・まぁ、いいんじゃない?座っとこ」
なんて軽い奴らだ・・・
誰もいないのに座っている
と、そこへ
「あ、いらっしゃいませ」
「あ、すいません、勝手に・・・」
「どうぞ、どうぞ」
女性店員が来たと思ったら
頼んでもないのにコーヒーを出してきた
「あの、まだ注文は・・・」
「あ、いえ。マスターにはこれを出すように言われてるんです。サービスですよ。うちはおいしいコーヒーが自慢ですから。あ、でもマスターの料理もおいしいですよ」
「へぇ、そうなんですか・・・でも見たところあなただけ・・・」
「私はバイトです。お客様はあまり来ないですけどお給料も意外と高くて・・・それとマスターは今いません。用事があるとかで外に出てます」
給料がいいのか・・・
と考えてる生徒がいる
バイトなんかしてる暇ないだろ川平
「バイトはあなただけですか?」
「あ、はい。店員も私だけなんですよ。マスターと二人でやってます」
「大変じゃないですか?」
「そんな事ありませんよ。結構充実してます」
そりゃ客があんまり来てないんだから大変じゃないだろ
「さっき言ってたけどあんまりお客が来ないんですか?」
「はい、出来てからもう二ヶ月近く経つんですが・・・ほとんど閉めてます」
でも給料はいい・・・
なぜだ・・・
「またなんで?」
なんかタメ口になってるぞ、おい・・・
作者も突っ込みたい
「この喫茶店、マスターの副業ですから」
「副業?本職は?」
「私はあまり知らないんです・・ただ明日から始める仕事で職が三つになるって」
仕事を三つ持ってるとか
鉄人・・・
「どんな人ですか・・そのマスターは・・・」
「はい!とってもやさしい人ですよ!」
・・勉強はどうなったんだろうか・・・
何しに喫茶店に入ったんだ・・・
「はいはい!お話しはそこまで!勉強しよ」
一人だけ目的を覚えていたようだ
瑠奈だけが・・・
「あ、すいません。私、迷惑ですね」
「あ、いえ、全然。・・・スパゲッティあります?」
頼むのかよ・・・
「はい!冷凍ですが・・・」
「全然かまいませんよ」
多分マスターの作った料理を冷凍したのだろうか
チンッ!
「はい、スパゲッティですよ。マスターが冷凍していったものです」
予想大当たり
「おいしそう!」
「瑠奈ちゃん・・勉強・・・」
「勉強が必要なのはあなた!分かるのは自分で解いて、分からないのがあったら手伝うから」
まるで子をしつける母親・・・
立派だ・・・
それから一時間
喫茶店で勉強会をして帰っていった
「ありがとうございました。コーヒーおいしかったです」
「またいらしてくださいね」
と少ししたあと
入れ替わりで男性が入ってきた
「あれ?さっきまで誰かいた?客?」
「あ、マスター。マスターと同じような年の方々がいらしてましたよ」
今入ってきた男性がマスターだったようだ
見たところ十代のようだ
「ふぅん・・コーヒー、どうだった?」
「喜んでいただけました」
「そうか。よかった」
次の日
朝のホームルーム前
「なぁ、知ってるか?今日新しい先生が来るんだって」
「新しい?どんな先生かな」
「そういえば昨日の喫茶で店員さんがいってたのってもしかしてこの事だったりして」
皆同じ言葉を思い出していた
『明日から始める仕事で職が三つになるって・・・』
これが本当にこの事なのだろうか
キーんコーンカーンコーン・・・
「ほら、チャイムなったよ。席に着いて」
朝のホームルームが始まった
彼女は現クラス担任、高梨紫苑
若くて綺麗だがたまに男口調になることがある
「えぇー、もうすでに何人か知っているようだけど今日からこのクラスの担任になる新しい先生が来る。だが、その先生は忙しくあまり学校に来る事がないかもしれないから、先生がいない時はいつも通り私が担任ですので」
「そんな事いいのではやく紹介してくださぁい」
ブーイングが始まった・・?
別にそんなに急がなくても・・・
「わかった・・・・入ってきてください」
ガラガラ・・・
入ってきた先生はとても若くまだ十代だった
そして教台についた
「えっと、新しく担任になった火炎龍だ。よろしく」
「龍!」
「おぉ!久しぶり!」
「・・龍!おかえり!」
「・・・あぁ、ただいま!」
第三十六話 終
今までありがとうございました
読んでくれた人も読んでない人も
ありがとうございました
この話は今回で終了です
しかしシリーズとして続きます
といっても次でラストにする気ですが・・・
ちょっと戸惑ってます(なんて書けばいいのかわからず・・・)
とにかく、これからもお願いします