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第三十四話 思わぬ味方、新たな異変

貫かれた胸部からは血が流れ出た

「龍!龍!」

それを抱きかかえているルル

「る・・る・・・は・・や、く・・に・・げ・・・がはッ!!」

「喋らないで!!」

そしてそれを観ているしかない友・・・

「・・はや・・く・・・」

「龍よ・・そこまで弱くなってしまったとはな」

「だ、ま・・れ・・・お・・や、じ・・・」

ルルは抱える手を放して立ち上がった

その眼は何かを決心したように強く、そして凛々しかった

「・・る・・・る・・・?」

「・・・龍・・楽しかった・・・」

龍はその何か(・・)に感づいたようだ

それを止めようとしたのかまた立ち上がった

だがやはりまた倒れこんでしまった

「や・・め、ろ・・・」

「ごめんね・・・・・我、(なんじ)より秘宝、預かりし者」

ルルは声を張り上げて呪文のようなモノを語りだした

「や、めろ・・・」

必死に声で止めようとする龍

「汝、我より秘宝、受け取りし者」

しかし聞かないそれをルル

「やめろ・・・」

それでもいい続ける龍

「我、汝にその秘宝、返さん」

ルルの周りが光りだした

「やめろーーーーッ!!」

龍はより一層強く叫んだ

「今まで・・ありがとう・・・龍・・・・ずっと、大好きでした・・・」

「!!」

その二人の目には涙が浮かんでいた

「我の体より魂を開放!我が死と共に汝へとこの魂返さん!!」

「ルルーーーーーーッ!!!」

「・・さようなら・・・龍・・・」

ドクンッ!!

ルルは消えた

その体から開放された魂は龍の体へと戻った

「ぐッ!」

そして龍の胸部に開いた穴が閉じていった

と同時に龍の体に異変が起きた

「え、炎・・・?」

「始まったか・・・」

「へ!?な、何が・・!?」

龍の目は血の色へと染まり

龍の燐は闇へと染まった

「その(ドラゴン)、赤く輝く眼を持ち・・鱗は漆黒へと変わる・・・・その者現れし時、世界は滅ぶ・・・」

「ぐ・・グォオオーーーーーーーーーッ!!」

その雄叫びは大地を、世界を(ふる)わせた

「覚醒しちまった!!」

「覚醒!?」

「第二の人格みてぇなもんだ!あぁ成っちまったら抑えられねぇ」

「誰にも!?」

「そう・・人間には(・・・・)な・・・」

バチッ・・・

雷迅の周りで火花が散った

「息子よ・・戻ったのか・・・」

「・・!!」

龍は振り返りヴァジュラを見た

「ガァアーーーーッ!!!」

しかしそれには答えずヴァジュラに襲い掛かった

「何!?」

そして殴り飛ばした

その風圧はまるで突風が走り去ったようだった

そして(それ)は人々をも襲った

「龍!」

「駄目だ!あぁ成っちまった龍は気絶している状態・・・声なんて届きやしねぇ!!」

「そんな・・・」

人々を攻撃する龍・・・

しかし誰も傷はついていない

彼の中で当たらないように制御しているのだろうか

「ガァア!!」

その矛先が友へと変わった

「炎!!」

「眼を覚まして!!」

しかしそれは龍には聞こえていない

手を伸ばせば届くような距離まで縮まった

その時

雷槍(らいそう)!」

「ぐッ!!」

龍の肩に雷の槍が刺さった

雷蹴り(サンダーショット)!!」

雷を帯びた脚で龍を蹴り飛ばした

そして着地した地点で龍を抑えた

「よぉ、龍・・・てめぇ、自分の理性、失ってんじゃねぇよ・・意思を強く保て!!」

それを行ったのは・・・

雷迅霧壱だ

「雷迅君・・あなた・・・」

「・・俺はこいつと同じくドラゴンと人間との間に生まれた人龍・・(いかずち)を操るドラゴン、雷電龍(エレクトロドラゴン)

「グガァアーーッ!!」

「・・電気衝撃(エレキショック)!!」

「ぐッ!!」

そして龍は動かなくなった

「雷迅!!てめぇ――――」

「仮死状態なだけだ・・今こいつを動かすわけにはいかない・・・」

「・・今度はお前が相手になるか?」

「おぉ、そのためにこいつを止めたんだ。今のこいつがいちゃ邪魔だからな」

雷迅は仮死状態の龍を放り投げた

戦うための場を作ろうとしたのだろう

「死をも恐れぬその眼・・いいだろう。相手をしてやろう」

「そうこなくっちゃ・・・」

「・・口砲」

「いきなりか!?」

あたりまえだろう

もうとっくに始まっているのだから

「くっ・・雷道(サンダーロード)!!」

それは雷より生まれし道

口砲を誘導することができる道だ

そしてそれはそれへと誘導されていた

「ほぉ・・空へと誘導したか・・口砲は駄目か・・・・ならば・・っ!」

「素手か!いいねぇ・・喧嘩!」

喧嘩かよ・・と突っ込みを入れた人間共

だがそれにしては身動(みじろ)ぎもしない雷迅

何をしようとしているのか

「っ!」

ヴァジュラは殴りかかった

しかしその拳を直前で止めた

何かに気付いたようだ

「何だ?一発入れないのか?」

「・・おかしいな・・なぜ動かん?何かあるな?」

「察しがいいな。その通りだ・・・雷鱗」

雷迅の体には黄色い龍の鱗が出来ていた

そしてそれは(でんき)を帯びているようだ

「雷の鱗か・・・なるほど・・差し詰め、それに触れたら感電する、といった感じか」

「大当たり・・まぁ、そっちが来ないなら・・こっちから行くまで!!」

雷迅はヴァジュラに向かって走った

むしろ突っ込んだ

「そんな攻撃・・簡単に避けれるわ!」

「それは、どうかな!!」

雷迅の姿が消えた

「ぐふッ・・・・がぁッ・・!」

と思ったらヴァジュラが殴られ感電した

「俺は(いかずち)の龍・・スピードは(かみなり)そのものだ」

「なるほど・・・雷帝と呼ばれていた程の事はあるな」

雷帝とは(いかずち)の王たる者が授かる(あざな)・・・

そして雷迅はかつて雷帝と呼ばれ雷の王として敬われていた

「そら大昔の事だ。今は違う・・最近竜界に帰ってねぇからしらねぇがな。とにかく、てめぇじゃ俺には触れることさえ無理だな」

「・・触れることが出来ぬなら触れなければいいだけだ。黒刀・・・」

「刀だって無理さ・・金属は雷を呼ぶだけ、ぐッ・・これは・・・」

雷迅の腕にはナイフのような短い刃物が刺さっていた

「いつ私が刀だと言った?」

()と言っていたからだろ・・・

「黒刀、忍短刀(しのびたんとう)

・・結局刀じゃね・・?

「・・・なるほど・・これはクナイか」

「そうだ・・短刀型手裏剣(クナイ)は投げの攻撃・・・私が触れない限り感電はしない」

「確かにな・・・だが・・もうてめぇの負けだ」

「何!?」

雷迅のこれほどの自信・・・

これはどこから来るのか・・・

「ふぅ・・悪ぃな・・・(おとり)なんてしてくれてよぉ・・・」

そこに立っていたのは

火炎龍だ

「龍!」

「思い出したか?」

「おぉ、おかげでな・・・」

その時、龍の体にまた異変が起きた

その(いへん)はこの世界を救うことが出来るのか


第三十四話 終

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