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第三十二話 眠れるドラゴン、目覚める記憶

その日の朝

「龍?」

瑠奈が部屋の前に来ていた

「龍、返事して。どうしたの?」

瑠奈は部屋に入ろうとドアを開けた

その時、ルルが部屋から出てきた

「ルルちゃん?」

「櫻井さん。ちょっと話しが・・・」

「?」

下へ降り居間に向かった

そしてテーブルを挟んで向かい合って座った

「ルルちゃん。話しって?」

「・・あの・・龍の事なんですが・・・」

「そういえば龍っていつ帰ってきたの?」

「夜明け前に帰ってきて・・・」

ルルは歯を食いしばった

龍の体について嘘をつく事にしたのです

「事故にあって今部屋で療養してます」

「事故に!?だったら病院に連絡を・・・」

「だ、ダメです!!」

ルルは止めた

龍の体の損傷はとてもひどく、人の手では十年以上もかかってしまう

それどころかひど過ぎて死んでいると思い誰もが治癒を放棄するやもしれない

陰陽術を使ってでもすぐには治せない

「何で!?事故にあったんでしょ!?なら――――」

「じ、事故っていってもたいした事なくて・・後頭部に小さな傷があるくらいで・・・だから数日間家で大人しくして自宅療養って先生が・・・」

「・・・そう、なんだ・・・よかったぁ・・・」

瑠奈は安堵しため息をついた

でもそんな時間は無い

「さ、櫻井さん!そろそろ出ないと遅刻・・・」

「え・・あ!本当だ!じゃあ龍の事よろしくね!いってきまーす!」

ルルは玄関で手を振り見送った

彼女の表情はどんどん曇っていった

そして龍の部屋に向かった

「こんな姿・・・見せられないよ・・・・龍・・私のやった事って・・あってたのかな・・・」

龍の傷はとても生きてるとは思えないくらいひどかった

体を貫き、内蔵は引き裂かれ

腕と脚は骨を砕かれ

所々では肉が(えぐ)り取られていた

ルルは脚から崩れ落ちた

そしてルルの(まなこ)には涙が溜まっていた

「龍・・・・・いつ・・目を覚ますの・・・」

彼女の(ほほ)に一筋の涙が(こぼ)れ落ちた・・・


数日後

昼間に突然家の扉が開きドタドタと誰かが入ってきた

「龍!!」

「・・炎次さん・・・」

振り向いたルルの目は赤くなりそして少し腫れていた

彼女はずっと龍に治癒術を使いそして毎夜泣いていた

「ど、どうしたの・・・目が腫れてる・・・泣いてたの・・?どうして・・・」

「炎次さん・・・龍が・・・目を・・・・」

何かに感づいた炎次はベッドに寝ている龍に目をやった

これは普通の人なら20回は死んでるだろう

「・・これは・・・まさか!」

「・・理由は・・わからないんです・・・扉の向こうで何があったのかも・・・・わからないんです・・・・・」

「・・・これは・・ヴァジュラとの戦いでついた傷・・・」

傷を見てか(かす)かに残る気配を感じてか

それがわかったようだ

「ヴァジュラ・・?」

「そう・・・ヴァジュラは闇の龍、ダークネスドラゴン。闇を作り出すドラゴン」

「何でそんな事・・・」

「・・龍の事だからきっと・・私たちを護るために足止めを・・・」

「・・・・この傷・・全治二ヶ月・・いえ、それ以上なんです・・・私が全力で治癒をし続けてもなかなか癒えない・・・」

ルルは再び泣き出した

龍はもう目覚めないのかと思いながら・・・

「・・私がもっと・・早く伝えることが出来たら・・・・」


これは・・夢・・・?

見た事のある・・場所の・・・

「炎を纏いし龍よ。そなたに(めい)(さず)けよう」

このドラゴンは・・・?

俺は・・知っているのか・・・?

「龍、お前は・・光を持って生きるのだぞ・・・」

この人は・・・誰・・?

この時代は・・・?

見た事が・・ある・・・?

「あなた・・産まれたわ・・・私たちの仔が・・・」

「あぁ・・私たちの光が・・・」

光・・・?

光って・・何・・・

・・・俺は・・・誰・・・?

「・・あなた・・龍っていうのね・・・」

・・俺を・・知ってる人・・・

俺は・・知ってる・・・

この人を・・・知っている・・?

「私は、飛鳥・・・あなたは・・火炎龍」

俺は・・火炎龍・・・

ブレイズ・・ドラゴン・・・

白銀の炎を持った・・・光・・・


その時・・・

龍が目覚めたのだ・・・

「・・龍!!」

「龍!!」

ルルが龍に抱きついた

「ルル・・・」

「あ、ゴメン・・・傷が・・・」

「大丈夫だ・・・・それより、俺はどのくらい・・寝てたんだ・・・」

何かはっきりしないのか

周りを見回している

「六日くらい・・・」

「六日・・・」

『あと六日すれば私は人界へ着く』

六日・・・

そうだ・・・

奴が・・ヴァジュラが・・・

龍はいきなり動き出した

「うッ・・ぐぅ・・・」

しかし傷が痛み

その場にしゃがみこんだ

「龍!まだ動いちゃダメ!重傷なんだから」

「・・んな、悠長な事言ってられねぇんだよ」

「どうして!?これ以上動いたら傷が・・・」

そんな事も耳に入れずに立ち上がった

確かにこれ以上動いたら俺の体は・・・

だが、しかし

その時龍の傷は見る見る癒えていった

「傷が・・・」

「・・思い出したんだ・・俺が何者か・・・」

「え?」

龍翼

俺ら(・・)には・・時間がねぇんだよ・・・」

「俺ら・・?」

「ルル・・ここから、動くなよ」

龍は天井を突き破り空へ向かった


その頃、街では

「・・あれ・・なんだろう・・・」

一人の少女が空を見て言った

そしてその一人の言葉で周りの人間が上を向いた

「え?」

「空に・・穴が・・・?」

その先には大きく口を開けた空があった

そしてそこから何かが降りてきた

「お、おい!何だあれ!!」

「ど、ドラゴン!?」

現れたのは・・・ヴァジュラ


「・・頼む・・・間に合ってくれ・・!」


第三十二話 終

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