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第三十一話 学園祭、終わりの始まり

「よぉ、宣伝係」

「火炎か」

校内放送を終えてから校庭に出た

クラスで決めた宣伝係の様子を見にだ

ちなみに宣伝係も執事服を着ている

「どうだ?調子は」

「なかなかだな。やっぱ始めは・・・」

まぁ、そうだろうな・・・

始まったばかりだもんな

「ところでそのまま来たのか?放送まで」

「ん?あぁ、急いでたからな。じゃ、客寄せ頼むぜ。例のセリフを忘れずにな」

「おぉ!」

俺はとりあえず喫茶に戻ることにした

「あのぉ・・・」

「はい。いかがいたしましたか?」

「その喫茶ってケーキとか食べてるんですか?」

「はい、そうです。(わたくし)ども執事がいつまでもお嬢様のお帰りをお待ちしております」

「・・・・あ、あの。場所は・・・?」


・・こっちに近づいてくる足音が聞こえる

人数は二人か・・・

そろそろだな

「さぁて、お前ら。多分そろそろ客が来る頃だ。気を引き締めていくぞ!」

「はい!」

返事と共に配置について

客の対応に備えた

「こんにちわ・・・」

「お帰りなさいませ、お嬢様。どうぞこちらにお座りください」

対応したのは坂野だった

「・・すごい・・・」

・・上出来♪

さすがは演劇部の指導だな

「こちらがメニューでございます。本日のデザートは何にいたしましょうか」

「えーと・・・じゃあモンブランを」

「私はノエルケーキって言うのを」

「かしこまりました。少々お時間を取らせて頂きます」

モンブランとノエルケーキ

了解だ

俺は一度持ち場を離れて報告をした

「瑠奈、竹内。モンブランとノエルケーキ、一つずつだ」

「わかった!」

伝え終わるとまた持ち場に戻る

その時坂野はドリンクメニューを持って二人のそばに行った

「お嬢様、食前にお飲み物をお持ちいたします。何がよろしいでしょうか」

「飲み物?うーん・・・じゃあ私はミルクティ」

「私は紅茶」

「かしこまりました」

さて坂野はどうするか

ポットは別

両方持っていくには無理がある

何を使う・・・

・・・・そうだ

その台車を使うんだ

「それではお(そそ)ぎ致します」

坂野は一度テーブルにカップを置いてから飲み物を(そそ)いだ

ケーキが出来たみたいだな

「ケーキの用意が出来ました」

俺たちはみんなトランシーバーを使い状況を伝えている

「お嬢様、少々お待ちを」

「はい」

坂野は別室へ向かいケーキを受け取ったようだ

「お待たせいたしました、お嬢様。本日のデザート、モンブランにノエルケーキにございます」

「ど、どうも・・・」

「それでは、用がございましたら(わたくし)めをお呼びください」

「ありがとうございます・・・」

完璧だ

これなら大丈夫だな

ん・・?

たま二人・・でも・・・

この足音(リズム)は・・・

男だな

「おぉ!かわいい()もいるじゃん」

「お帰りなさいませ、旦那様」

「お帰りだってよ!」

「やべぇ、旦那様だぜ!?」

イライラする・・・

さっさと帰らねぇかなぁ・・・

こういう客に限って長居するんだよな・・・

「こちらがメニューになります。本日のデザートは・・・」

「本日のだって!おもしれ!じゃあとりあえずワッフルか」

「俺タルト食ってみよ」

「かしこまりました。少々お時間を取らせて頂きます」

対応した女子はメニューの報告に向かった

それにしても嫌な奴らだ

そして戻ってくるとドリンクメニューを取り出した

「食前にお飲み物をお持ちいたします」

「コーヒー」

「同じく」

「かしこまりました」

カップに注いでからコーヒーを持って行った

「どうぞ。・・・ひゃッ!」

持って行くと男は彼女の尻を触った

「いいだろ?ちょっとくらい」

「主に従うのが執事の使命だもんな」

女子は見る見る涙目になっていく

「お、泣いてるぜ。わーかいー♪」

また彼女に触ろうとした男の腕を俺が取った

「・・何すんだよ」

「旦那様。困ります、そのような事」

「何だと?執事(おまえら)(おれら)に従っていればいいだよ!」

男は俺の腕を振り払おうとした

だが俺の腕はそう簡単に解けないぞ

「確かに、我々執事は主に従う事こそが使命」

「ならその手、離せよ」

「ですが、主の不正を正すのもまた執事の使命。曲がった事は直す事も執事として必要な事ですから」

俺の力はより一層強くなった

「いッ!」

「そして。お前らのした事は猥褻(わいせつ)罪に値するんだ」

「そ、それがどうした。俺らを捕まえるとでもいうのか?」

「そうだな。世の人々はみな、お前らのような奴のせいで乱れているからな」

「・・生意気いってんじゃねぇぞ、ガキ!!」

もう一人の男が俺に殴りかかった

「黙れ、下郎!」

だが俺に当たる直前で腕を止めた

「俺らが下郎だと・・!?」

「そうだ、瑞亦(みずまた)喜一(きいち)、それに伊都田(いとだ)修平(しゅうへい)

「お、俺らの名前をよく知ってるな」

「当たり前だ。俺は前科者、犯罪者の名前をすべて覚えている。お前らのその他の罪状は傷害罪、窃盗罪、そして詐欺罪だ」

こいつらは二人グルになって人を傷つけ、物を盗み、そして詐欺を行った

「なんで知ってるんだ・・・」

「警視庁特務調査隊長、火炎龍。お前らを逮捕する」

俺は二人に手錠をかけた

「くそっ!」

プルルルル・・・・

そして二人を連れ外に出るのと一緒に署に電話をかけた

「・・あー、俺だ。犯人二人を逮捕した。名前は瑞亦喜一、それに伊都田修平。罪状は言わんでもわかるな。今までの罪状に猥褻罪を足してな・・あぁ、学校だ。校門前に縛り上げておく。・・・あぁ、出来る限りの重い刑で頼む。署に連行しろ、頼んだ」

その頃の教室内

「・・炎って本当に何もんだ・・・?」


そして俺は犯罪者二名を動けないように縛り上げた後

即教室に戻った

そして先客の嬢ちゃん二人の前に(ひざまず)いた

「申し訳ありません、お嬢様」

「へ!?な、何ですか?」

「主の失態は私の失態。関係のないお二人に迷惑をかけてしまいました。お詫びをいたします。私の出来ることなら何なりとお申し付けください」

「そ、そんな迷惑だなんて・・・ねぇ」

一人の女子がもう一人に相槌を打った

「本当に何でも?」

「はい」

「あんた乗り気ね・・・」

「じゃあ、ここに乗ってない料理も出来る?」

一人はちょっと大人しめなのに・・・

もう一人はハイテンションだな・・・

「材料さえあれば作れますよ」

「へぇー、じゃあ私はミルフィーユ」

結局注文するのかよ・・・

「じゃ、じゃ、シフォンケーキ!」

「かしこまりました。少々お時間を取らせて頂きます」

隣の空き部屋へ行き事情を話した

「本当にいいの?そんなメニューに乗ってないの・・・」

「これは()びだ。迷惑かけちまったからな」

「私たちも手伝う?」

「作り方を知らない奴が手を出すな。はっきり言って邪魔だ」

冷蔵庫と近くのダンボールを開け材料を取り出した

とりあえず卵やケーキミックスとかか・・・

「龍の言う事ってたまにバッサリ来るよ・・・」

まぁ、バッサリ言ってるからな

そう思いながら調理場に材料を置いた

「それより本当に手を出すなよ。腕を捥ぎ取られたくなければな」

「捥ぎ・・・」

無視して必要な道具を取り出していった

準備は出来た

「・・お前ら見てるのか?」

「だって初めてだもん作ってるの見るの」

困るなぁ・・・

いつもは龍尾使ってるうえに炎を使ってるからな・・・

・・まぁ、使わなければいい話か

「驚くなよ」

「驚くような事があるの?」


その頃、喫茶の部屋では

「・・本当に頼むなんて。別にお詫びなんてしなくてもよかったじゃない」

「まぁ、そうだけど・・・・ねぇ。私に妹がいること知ってるでしょ?」

「うん、まぁね。それがどうしたの?」

「それで妹の大好物はシフォンケーキ」

「な、なんか関係あるの?」

「実は妹、海奈(かいな)は今日をすっごく楽しみにしてたの。だけど熱出しちゃって・・・お土産って訳じゃないけどせっかくだから大好きなシフォンケーキを持って帰ってあげようと思って・・・だけど場所によって味が違うからまず私が味見するんだ」

・・・それでか・・・

シフォンケーキはメニューに乗ってないからな

「妹思いなんですね」

「あ・・・」

「申し訳ありません。立ち聞きする気は無かったのですが耳に入ってきまして」

「ごめんなさい・・・それで・・・あの、持って帰れるように出来ますか?」

・・持って帰れるようにか・・・

箱があったかな・・・

「ですが、お嬢様はもう学園祭(こちら)を見て周らないのですか?たのしい出し物もたくさんあります。午後二時にまたいらして下されば用意致します。保温の水筒に紅茶もお入れいたします。ご家族でお飲みください」

「・・・ありがとう」

それからお客は幾度となく喫茶に来て休む暇が無かった

二時に約束通りシフォンケーキと紅茶の入った水筒を渡した


こうして学園祭は見事、成功に終わった


帰り道

俺は瑠奈と二人で家に向かっていた

「よかったな、大成功に終わって」

「うん、そうだね。でも・・・あの龍の調理は怖ろしかったなぁ・・・」

「怖ろしいって・・・」

ひでぇな・・・

ま、確かに腕の原型を留めてないようなスピードで調理してたらそうも思われるか・・・

「それにしてもルルはどこに行きやがったんか・・・」

匂いは家からするけど・・・

「もう帰っちゃったのかな?」

「一人じゃ危険だってのに・・・」

「大丈夫だよ。まだ明るいもん」

瑠奈は龍がルルがナンパなんかにあわないかと思っていると思ったのだろう

俺が言ってんのはそういう意味じゃねぇ

あいつは狙われてんだ・・・魔物や、ドラゴンから・・・

・・この気配は・・・

「・・・瑠奈。先、帰りな」

「何で?確かにまだ明るいけど・・・」

「いいから・・・先帰れ。俺多分帰るの遅くなると思うから晩飯は二人でどうにかしてくれ。じゃあな!」

その言葉を残して俺は走り去った

「あ、りゅ・・・・・龍・・・・」


空間術、異次元の扉!

「・・・何(もん)だ・・?」

この禍々しい気は・・・

「・・すごいな」

!!

振り返るとそこには

「今日はもう、六人目だ」

禍々しい気を放つ男が立っていた

この男!

「お前は知っているか?秘宝へと通ず鍵を」

闇の龍・・!

ダークネスドラゴン・・・・ヴァジュラ!!

「何で貴様がここに・・・」

「・・ほぉ・・・久しいな・・・・だが、覚えていないようだな」

何のことだ・・・

俺はこいつが俺の両親の命を奪った事しか知らない・・・

俺とこいつには他に何か関係があるのか・・・!?

「なぜ鍵を狙う」

「それが、我が竜界のためになるからだ」

竜界のためだと・・!?

どういう意味だ・・?

「・・だがその口振り・・・知っているようだな・・・」

勘付かれた・・・!

「しかし、そのような事、今の私には関係ない。私には私の目的がある」

「目的・・?何だよそらぁ・・・」

「私の目的・・・それは・・お前だ」

俺・・・?

俺だと・・・・

なぜだ・・・

「・・やはり、記憶が無いようだな」

「記憶ならあるさ。生まれてからの17年間すべて」

「いや、足りぬ。お前は人の寿命を超え、生きているのだ。ドラゴンとして・・・」

訳がわからねぇ

俺が人間の寿命を超えてるだと・・?

そして生きていると・・・

「そんな(こた)ぁどうでもいい。さっさとやるぞ、ヴァジュラ」

「・・・そうか・・・だがお前も、こいつらのようになるだけだぞ」

男の後ろには他に五人倒れていた

「伯父さん!爆朱さん、斬砲、勇華。それに猿翔さん!」

(みな)、お前の親族か・・・?」

俺はみんなのもとに駆け寄った

「おい・・!ひでぇ・・・」

切り裂かれた体

みんな吐血や出血が尋常でないくらい出ている

「てめぇ・・!!」

「りゅ・・く、ん・・・」

「伯父さん!」

「こいつは・・一筋縄、では・・・ぃかない・・・・た、だの・・ドラゴンじゃ・・・」

「わかった。わかったからもう喋るな、勇華。今からみんなを俺の部屋に送る」

送る前にルルに伝えねぇと・・・

俺は脳に直接連絡を取った

念話(テレパシー)と同じような物だ

『ルル。聞こえるか、ルル』

『龍・・?どうしたの?』

『俺の部屋に負傷者五名を送る。お前の治癒術で傷を癒してやってくれ』

『わ、わかった』

「強制送還」

その瞬間みんなの姿が消えた

みんな・・無事を・・・

「・・・ヴァジュラ・・・始めるぞ・・ゴラ!」

「・・ふむ、いいだろう・・・」

龍爪

「らぁぁああ!!」

「遅い!」

何!?

いつの間に後ろに・・・

「ちぃ!龍尾!!」

「私はこっちだぞ」

何だと・・!?

上に・・・

「口砲」

黒い・・・

炎・・・

「がァ・・・」

「・・・・まだ、(よわ)いな・・・人界のドラゴンよ・・・」

再び歩き出そうとしたヴァジュラ

「待てよ・・おい・・・」

しかし龍は起き上がり、そして呼び止めた

「ほぉ・・あの一瞬のうちに鱗を張ったか。しかし、最早(もはや)虫の息・・・立ち上がるだけで精一杯だろう」

「うるせぇ・・・俺は・・・みんなを護るために・・・てめぇをここで倒さにゃならねぇんだよ・・・」

「・・その精神は対した物だ。だが・・その体でどれだけ()つか・・・黒炎爪(こくえんそう)

・・黒い・・・炎の・・(つめ)・・・

「ぐふッ・・・」

俺の・・鱗が・・・・引き裂かれた・・・

執念(しゅうねん)からか立ち上がり続けた


それから俺は反撃も出来ずにただ立ち上がり攻撃を受けていた

しかし俺は立ち上がれなくなってしまった

「やはり・・まだ、早かったようだ・・・もう夜が明ける」

「それが・・・どうした・・・・」

「・・六日だ」

「何・・だと・・・」

今日(いま)よりあと六日すれば私は人界へ着く。それまでにお前の真の力を導き出すんだな」

そうしてヴァジュラは再び俺らの世界に向かった

・・俺は・・・また・・・負けたのか・・・・

・・・また・・・

・・・・くそ・・・くそぉ・・・


「・・龍!」

俺は何とか人界へ戻る扉を作りだし部屋に戻った

体を引きずりながらも・・・

「・・どうしたの!?扉の向こうで何が・・・」

「・・・くそぉ・・・・・また・・負けちまった・・・」

俺は悔しかった

ただ、ただ・・悔しかった

「親父・・・!!」

その言葉を残したまま俺は気絶した


第三十一話 終

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