第二十八話 運動会!
それから約三週間くらい経った
そして今日は運動会当日だ
『えー、それでは。これより鷹三沢高等学校の運動会を開始する。みんな、怪我をしないよう気をつけるように』
今、それが始まった
赤組と白組に分かれて争ってもらう
ちなみに龍たちは赤である
『・・今日の競技は例年道理の100m走、綱引き、750mリレー、騎馬戦、二人三脚。そして運動会実行委員より提案された障害物借り物競争、パン食い競争となっている。競技の内容はその時に説明するからそのつもりで。
それでは最初の競技、100m走だ。選手は準備してくれ』
それから次に二人三極、騎馬戦をした
得点は、赤組537、白組482
『次の競技は障害物借り物競争です
これも男女別に行う
障害物の向こうにある台の上に借りるモノが記された封筒が入っている
それを借りてゴールで審査する
一致していたらOKだ
ちなみに借りるモノは生徒会が書いた
変なモノは書いてないからから安心しろ
なおその借りるモノが無かったらそのままゴールしていい
ちゃんと説明すればな
最初は一年の女子から行う
選手はその場についてくれ』
「ふぅ・・・」
「お疲れ様、龍」
といいながら瑠奈がお茶を差し出した
「おぉ、瑠奈。サンキュー」
ほとんど喋りっ放しだからのどがカラカラだ
「だいぶ喋ってたね」
「おかげでな。でもこれからは実行委員もするからな。休憩もできる」
「そっか」
ん?誰かこっちくるな
あれは・・部長か?
「なんだろう・・何か借りるモノがこっちにあるのかな」
「そうじゃなければこっち来ないだろ」
「龍さん!来てください!」
「・・俺か・・・」
「・・で、借りる内容はなんだったんだ?」
「ハァ、ハァ・・助けてもらったことのある人です・・・」
ジャストだな・・・
「それでは審査にかかります・・どのような事でたすけてもらいましたか?」
「ぶ、部活作りを手伝ってもらいました!」
「俺は生徒会長だからな」
「はい、結構です」
「第二走者、準備にかかってください・・・・」
「ただいま」
「お帰り、龍」
「位置について、よーい・・ドン!」
走者は一斉に走り出した
「・・また来た」
今度はしらねぇ奴か
「櫻井先輩、お願いします」
「うん、わかった。行ってくるね」
「いってらっしゃい」
「・・紙、なんて書いてあったんだ?」
「うん、理想の人、だった」
確かに女子の理想だよな、こいつは
『えー、次は一年男子です。位置についてください』
男子か・・・
「借りるモノの封筒って女子も男子も同じものなの?」
「いや、学年と性別で分けてあるよ。段ボール箱六つ分だ。仲のいい友達、みたいのは一箱に三つくらい入れてる」
「へぇー」
・
・
・
・
『続きまして次は二年女子です。準備にかかってください』
「じゃ、行ってくるね」
「おぅ、がんばれ」
「・・・またか・・・」
封筒を持って瑠奈がこちらに走ってきた
「ハァ、ハァ・・龍!一緒に来て!」
「はいよ」
龍は立ち上がって瑠奈の手をとりゴールへ走った
「では、審査します。封筒を・・・」
瑠奈は封筒を審査員に封筒を差し出した
審査員はそれを黙読しうん、と頷いた
「いいでしょう。合格です」
「で、なんて書いてあったんだ?」
「・・・く、クラスの男子」
「へぇー・・・ちょっとトイレ行ってくるな」
そう言って立ち上がり歩き出した
・・てか俺はそんなの書いてないけどな
「・・・・言えないよ・・・好きな人、だなんて・・・」
『それでは第八走者、準備にかかってください』
「・・・・位置について、よーい、ドン!」
今度は竹内がいるのか
またこっちに来そうだな
「・・・それにしても龍って女子に人気あるよね」
「なんだ、いきなり」
「だって龍の周りって女の子ばっかじゃない」
うわぁ・・・
否定できない
「特に何もしてないのに寄ってくるんだよ」
「・・龍、やさしいもんね」
会話が成立してないぞ
と、話しているうちに竹内がこっちに来ていた
「俺か?」
「ハァ、ハァ・・そう・・来て」
「ハイハイ」
「あなたもう三回目ですね。では、審査します」
「三回目?」
「三回目」
「・・恩人、と言うのは?」
ははぁ・・・
そういう事か
「俺はこいつを誘拐から何度も助けた」
「その通りです」
「はい、結構です」
「まさかお前が『自分の恩人』を引くとは思わなかった」
「私はそんな命令があることにビックリした」
「恩人っても勉強で助かった、とかあの人のおかげで、とかでも同じだ」
「ふぅ~ん・・・ところで三回目って?」
「借りモノとして来るのがだ」
「人気者だね」
そう理解できるのか・・・?
・・・もうそろそろだな
「俺そろそろ」
「あ、うん」
そういって立ち上がり放送席についた
11:30か・・・
『えー・・次は二年男子、といきたいところですがこれから昼食とします
時間になったら放送するからそれまで体をゆっくり休めて次の競技に備えてください』
「龍」
「・・おぉ、兄貴、姉貴。・・先週家に帰ったんじゃないのかよ」
「そら自慢の弟が出てるってのに」
「来ない分けないでしょ」
バラバラに喋るなよ
遠くからわざわざどうも
「終わったらすぐ帰るのか?」
「まぁ、そうだね。遠いから」
「出来れば龍んちに泊まりたいんだけどな。さすがに先週まで二週間も居座ってたから」
そうだ
あれから二週間もうちに・・・
「食費を払ってほしいくらいだ・・・・払わなくていいけど・・・」
「だからまた今度な」
「もう泊まりに来るな。一々金がかかるような泊まり方するから」
「そういって泊めてくれるもんな」
・・俺って甘いな・・・
「で?今日は仕事は?」
「今日一日だけ休暇をとったの」
一日のために休暇なんてとるなよ
「それで、竜界の方は・・・」
「まだ音沙汰なし」
「でもだいぶ近づいてる。油断は禁物だよ」
そうか・・・
決戦はいつになるか・・・
「龍」
「瑠奈か。どうした?」
「みんなが来てほしいって」
「いや、みんな親がいんだろ?」
迷惑をかけちまう
「そうじゃなくて」
「じゃなくて?」
「それが・・・」
「ん?」
「で、何でこうなったんだ?」
「・・・ご、ごめんなさい・・・」
親も一緒にみんなで食事をとる事にしたらしい
が、おかずの取り合いなんかでケンカになったらしい
犯人は函崎と坂野だ
「ったく。何でおかずの取り合いなんかでこうなるか!」
しかもそのせいで弁当がめちゃくちゃ
食えなくしてる
「料理はその食材があって初めて出来るもの。そしてその食材はこの大地がくれた恵みだ。本来なら感謝すべき対象だぞ!それをてめぇら・・・」
「ま、まぁ龍。ほどほどに・・・」
「兄貴は黙ってろ!これら生徒会長として生徒にいうべき注意だ!・・この世界には飯を食えなくて困っている奴らだっている。いくら恵まれていてもな・・・・・・・」
それから説教は五分続いた
「ご、ごめんなさい・・・」
「・・・・・」
今11:39か・・・・
「ちょっと待ってな」
それから少しして
「・・待たせたな」
龍はたくさんの料理を持ってみんなのもとへ行った
「済んだ事だからって言い訳ではない。だけどもういいだろう。みんなで食おうぜ」
「・・龍」
「だけどまたあるようなら・・食事が出来ないようにしてやるよ」
一瞬みんなの血の気が引いた
「・・さ、食いな」
「・・・・いっただっきまーす!」
「・・飴と鞭?」
「いや・・飴と弾丸じゃね?」
「ん?ほら、兄貴たちも」
「ん、あぁ」
昼12:30
『えー・・・一時間、休みをとり、休憩も十分出来ただろう。という事で、障害物借り物競争、二年男子、準備しな』
第一走者
函崎と坂野が出る
「・・・位置について、よーい、ドン!」
「・・なんだ函崎。俺に用か?」
「・・ハァ、ハァ・・鷹三沢高校最強の男・・・」
「はいよ」
運よく俺はまだ走者じゃない
『第七走者、準備にかかってください』
「・・俺か・・・」
「・・・・位置について、よーい、ドン!」
ダッ!
障害物は全部で四つ
忍者ネット、丸太橋平均台、蓑虫袋、そして大岩跳び箱
忍者ネットは網の下をくぐって進み
丸太橋平均台は平均台の上を駆け抜け
蓑虫袋は布袋に足を入れジャンプして進んで
大岩跳び箱は跳び箱八段(女子は五段)を跳ぶ
「楽勝!」
その障害物の向こうの台に置いてある封筒を手に取った
「・・・・・」
これは・・・
と、とりあえず・・・
俺は自分のクラスの方に走った
「・・・・瑠奈!」
「え!?」
「来い!」
「ちょ、っと・・・」
ええい!
遅い!
「掴まってろ!」
「きゃッ!」
俺は瑠奈をお姫様抱っこで抱きかかえた
「だァ!」
そしてダッシュした
「では、審査します」
審査員に封筒を渡した
「・・・なるほど。いいでしょう、合格です」
よし!
「ふぅ・・・」
「・・ねぇ、龍。なんて書いてあったの?」
「・・・・護ってあげたい女子」
俺はニコッ、と笑いながら言った
「・・むぅ・・よくサラッといえるよ・・・」
「隠しても無駄だからな」
「・・・ねぇ、何で私なの?」
「・・だって・・お前、かわいいじゃん」
ははは、っと笑った
「へ!?」
が、瑠奈がいきなり火が出るほど赤くなった
「落ち着け。俺は恋愛はしない、だろ?」
「・・うん・・・でも・・やっぱり・・・好きな人に言われるとこうなるよ・・・」
「・・・・・その気持ちに応えれる日が来るといいな」
「うん」
『えー・・それでは次の競技、パン食い競争の説明をする
パン食い競争は普通に走って吊るしてあるパンを食べたら勝ち
というやつだがこれは少しアレンジを加える
アレンジはパンを食べた後、牛乳を一杯一気飲みで飲んでもらう
そのあとゴールまで走り、テープを切ったら勝ちという物だ
これはパンを食べられなければゴールまで行けないというルールの元アレンジした競技です
では始めは一年、男女共に行う
準備にしろ』
「・・もはやパン食い競争って・・・」
「でもこうしないと詰まらんだろ?」
「・・なぁ、牛乳アレルギーがある奴がいたらどうすんだ?」
「いたらアレンジは加えない、いないから加えたんだ」
「なるほどな」
『それでは二年生、準備を』
「みんながんばれよ」
「・・はい!」
「・・応援しないのか?」
「したら逆に緊張してしまうと思っている」
「確かに・・・」
そして競技が終わり女子が帰ってきた
「おかえり。ほらスポーツドリンク、飲みな」
戻ってきた女子みんなに渡した
「あ、ありがとう・・・」
『次は二年生男子、位置についてください』
「よし!行くか」
「男子もするんだね」
「まぁな。じゃ、行ってくる」
「がんばって」
「第一走者、用意してください」
俺だな・・・
めずらしく一番最初か
「・・・・位置について、よーい、ドン!」
ダッ!
『会長は早速ダッシュで先頭に出ました!そしてもういきなりパンを銜えた!』
・・あんぱん・・・
苦手だなぁ・・・
『しかし!余裕ではないようだ!歩きながらですがゆっくりと食べている!あんぱんは苦手か!?』
・・でも、まぁ、後ろの奴らが来るまでまだ時間はある
と思ったら結構近くじゃねぇか!
『会長がのんびりしている間に他の走者が追い上げてきた!と、同時に会長は走り出しパンを口の中に押し込んだ!』
もたもたしてらんねぇ!
『みんながパンを取り次に向かう中!会長は口の中のあんぱんをどうにか飲み込み牛乳に手を伸ばした!そしてあっと言う間に牛乳を飲んでしまった!早業か!?』
あとはゴールに・・・
『ゴール!やはり速さのリーチが勝負を分けたか!?』
「・・ふぅ・・・」
「龍、大丈夫?」
「あ、あぁ・・・な、何かあんぱん食ったら気持ち悪くなって・・・」
小豆・・苦手・・・
「意外。龍があんぱん苦手なんて」
「あんぱん・・というか、小豆だな・・・・だいぶ・・甘すぎる・・・」
「甘いのが苦手なんだ」
「・・ちょっと寝ていいか?」
いいながら横になった
「う、うん・・いいよ・・・・・枕とか・・」
「必要ない。ありがとう、おやすみ・・・」
・・・ひ、膝・・・
「膝枕ですか?」
「しょ、鐘ちゃん!」
「龍くんが寝るからって膝枕でも?」
「――――――・・・」
「ふふっ・・・それにしてもよく寝てるね」
「・・うん・・・・」
・・・・かわ・・・
「かわいい?」
「た!竹内さん」
「かわいい、って思ったでしょ」
「確かに起きてる時とではギャップがあってかわいいですね・・・」
二人はニヤニヤして瑠奈を見ている
「・・うぅ・・・・二人してからかわないでよ!」
「よっぽど龍は愛されてるんだね」
「べ、別に・・・」
「隠してもバレバレだよ。転入した時にすぐわかるぐらい」
「うぅ・・・」
「・・・でも、本当に龍くんってモテモテですね。たくさんの人から愛されてれる」
「龍の周りって女の子ばっかりだからね」
「男子での友達って少ないよね」
「近づきづらいんじゃない?」
「殴られた男子も多いそうだし」
「アハハ――――ッ」
「それでは第八走者、位置について、よーい、ドン!」
「ん!」
「おはよ、龍」
「・・・あぁ・・おはよう」
『さぁ、最終走者、赤組、函崎と斉藤、白組、亜原と裄鎖。デッドヒート!』
四人は並んでパンまで走行中
『しかしルールによりパンが取れなければ取れるまでチャレンジしなければなりません!』
・・第八まで来てたか・・・
「ん・・?」
・・この位置・・・膝枕されてたか・・・
「・・あぁ・・・悪かったな、重かったろ?」
「あ、ううん!大丈夫!全然・・・」
「そうか・・・ま、ありがとな」
「・・うん・・・」
『いっせいに跳んだ!・・最初にパンを銜えたのは・・・・函崎と裄鎖だ!』
あいつら運動神経いいからなぁ・・・
『二人とも走りながらパンを食べている!行儀がわるい!』
「そこは注意すべき事じゃねぇ!」
『突っ込まないでください、会長』
「言っちゃだめだろ!」
『す、すみまぁあっと!パンを食べ終わり今!牛乳一杯を一気飲み対決!どっちが早いか!』
白熱した中継だな
先に飲みきったほうが勝ちだな
『こ、これは・・・・・ど、同時だ!飲みきった時間差はほぼゼロ!同時だ!』
な、なんてこった・・・・
これは・・・
『先にゴールした者が勝者です!』
「「だぁぁああああ!」」
・・テープを切った
『・・こ、これは・・・・写真判定!』
「写真なんてあるのか?」
『大丈夫です。カメラ部の部長さんが撮ってくれました!今校長先生が審査中です』
『・・・・・判定が出ました』
この勝負、どっちだ!
『勝者・・白組!裄鎖!』
・・・函崎の負け、か・・・
点数は・・・
『ただいまの得点、赤組793、白組725。白組が追い上げて来ました!これはどちらが勝つか分からなくなった!』
「・・め、面目ねぇ・・・」
「いや、いいよ、気にすんな。勝負は次の競技からだ」
『次の競技は綱引きです!
それぞれの学年で赤、白綱引きをし勝利の数ポイントが増えます!』
全赤組を集めての話し合い
「用は、こっちの組が二勝すればいいんだな」
「大丈夫か?もしここで二敗したら・・・」
「きっとポイントはぬかれるだろう」
「それじゃまずいじゃねぇか!」
一気に空気が変わった
それはそうだ
二年では俺がいる、負ける事は無いだろう
しかし、一年と三年の体育会系は大半が白組に行ってしまった
「俺らが勝っておけば抜かす事が出来る」
「お前、ここで負けてもいいと思ってるな」
「負けていいとは思わない。けど、俺はここで勝てるとも思わない」
「直球だな・・・・ここはどうするんだ・・・」
「だからって負けようなんて思ってない。全力でやって、負けたらリレーで取り返せばいい」
勝負は全学年合同のリレーだ
「・・・わかった、全力で!」
「一年も三年も、わかったか?」
「はい!」
『綱の準備が出来ました。一年生、位置についてください!』
「じゃあそろそろ位置につこう。とにかく全力でやり、負けたら次で勝負だ。絶対勝つぞ!」
「おぉ!」
「・・炎、お前は一年の事どう思う?」
「負けるだろうな・・・白組には翼がいる」
「翼って・・男が束になっても勝つっていう・・・あいつか?」
「あぁ、そうだ。男が束になっても、て事はだいぶ力がつよいんだろう」
それでは・・・
『では、二年生、準備してください』
「すみません、先輩・・・」
「気にすんな。まだまだ余裕だ」
「龍、行くよ」
「あぁ。落ち込むなよ、これはお前たちのせいじゃない。お前たちはよくやった」
「・・・ありがとうございます」
俺は一番後ろについた
「・・よし、いくぞ!」
「おぉー!」
「・・・・よーい、ドン!」
『さぁ、始まった。だがしかし、綱がまったく動きません!』
赤い印が中間線から1mこちらに動いたら赤組の勝ち
向こうに動いたら白組の勝ち
「いくぞ!引けぇーーーー!!」
「オー、エス、オー、エス、オー、エス・・・・」
『ここで赤組が本気を出したか!しかし会長はまだ余裕があるようだ!』
「龍!お前も引け!」
「あぁ・・・引くぞぉぉおおお!だぁーーー!!」
さすがに・・・
重い・・・
「どらぁぁあああ!」
『会長が引き始めた!だが苦戦しているようだ!流石に重いか!』
「引っけーーーッ!!」
『あと少しだ!あと少しで会長率いる赤組が勝利を手にする!それに対抗しがんばれ白組!』
「だぁーーー!ラストだぁーッ!渾身の力で引けーーーーーーッ!!!」
「おぉーーーー!」
『・・ラインを超えた!赤組の一勝だ!』
終わったと同時に赤組はぶっ倒れた
「だぁ・・ハァ、ハァ・・・」
「お疲れ。リレーをするやつは十分休め」
「お、おぉー・・・」
『勝ったはいいが疲れ果てているようだ』
疲れて動けん・・・
・・どうするか・・・
「移動、手伝います」
「・・おぉ、一年共。助かる!」
「女子は女子に、男子は男子に肩を貸せ」
「ありがとう」
それぞれが互いを助ける、か
「・・お前、リーダーシップが取れてるじゃねぇか。将来が楽しみだ」
「・・・先輩のおかげっす」
「・・サンキュー」
『・・さて、チームワークのおかげでコートが使えるようになったので、次の勝負に移ります。三年生、準備してください』
「・・どうする・・・みんな・・・」
「どうするって・・・?」
「これじゃあリレーはムズカシイ・・・」
「最初は一年が走り、次は二年生、そして三年生、そして最後にアンカーが走ります」
・・順番って変えられるかな・・・
「順番は変更不可ですし・・・」
不可か・・・
「・・アンカーは誰だ?」
「俺」
「炎か・・・なら余裕じゃね?」
「二周分向こうに取られたら流石に無理」
一周は可能だろうと思うが・・・
「走者は?」
「全学年、全員が陸上部だ」
・・そういえば・・・
「・・陸上部」
「・・・あい・・・」
「例の作戦、実行したか?」
「ふふふ・・もちろん・・・」
・・よし・・・
これなら・・・
「作戦・・?」
「あぁ。俺は兎も角、陸上部は疲れて走れないと負けるからみんながいない時に作戦を立てたんだ・・・・それが「手抜き作戦」だ。文字通り、リレー前の綱引きは全学年の陸上部は手を抜いて余計な体力を削らない様にする作戦だ。だが陸上部。今は起き上がらずゆっくりしとけ」
「あぁ・・・」
『綱引きが終了しました。では次の競技、750mリレーです。選手は準備してください』
「よぅ、三年生、勝ったか?」
「ギリギリな」
「よし、あとは走るだけ。少し距離を離されても俺が埋める。だがなるべく離されないように」
「・・おう!」
『では第一走者、第二走者共に位置についてください』
「がんばれよ」
「はい!」
「位置について、よーい、ドン!」
『さぁ始まりました、750mリレー!これは一周200mのコートで50m毎にランナーを変え、750m走りきる競技!各組二つコースを使い、一コースにランナーは十二人、各学年から四人。合計各組から二十四人!そしてラストを走るアンカーはコート一周を走ってもらいます!』
なんか・・・
説明口調だな・・・
「陸上部、ちゃんと休めたか?」
「あぁ、大丈夫だ。全力は無理だけど普通になら」
「十分だ。もうすぐ、一周だな。がんばれよ、一年」
「はい!」
・・・それから
『第十一走者、そしてアンカー、位置についてください』
俺らのチームはビリ
ラストを走っている
一番は同じ赤組だがこれではポイントが稼げない・・・
「よぅ、火炎よ」
「何だ、三年」
「俺がなるべく間をつめる。・・・あとは頼んだぞ」
「・・おぅ!任せときな!」
『さぁ、次々にアンカーにバトンが渡り後は会長だけだ!』
「ハァ、ハァ・・頼んだぞ!火炎!」
「任せとけ!!」
『会長の手にもバトンが渡った!そしてどんどん追い上げていく!さすがは50m走を五秒台で走る男!』
二人抜いた!
『しかしトップは残り約40m、会長は約70m!間に合うか!』
・・・間に合わせてみせる・・・!
『おぉっと!これは速い!陸上部の速さを超えている!もともと超えているがさらに超えている!!速い!速いぞ!!・・抜いた!そしてゴール!!一着を取ったのは火炎生徒会長だ!!・・・そして倒れてしまった!どうしたのか!?』
「大丈夫か、炎!」
「・・大丈夫じゃないな・・・・さっきの疲れが残ってたようだ・・・脚が動かん・・・」
「・・・肩貸すよ」
「あぁ、サンキュー」
『さぁ!運動会の最終競技を終えて、得点はどうなったか!・・得点は!』
『出ました!得点は、赤組1329点、白組』
緊張が走る
どっちが勝った
『1154点!優勝は、赤組!!』
赤組のほとんどが歓声を上げた
「よし!」
ギリギリだが、勝った
さて、どうするか・・・
『それでは全員で手分けして片付けを始めてください』
片付けがたいへんだ
第二十八話 終